勤め始めた頃、私は先輩教師の背中を追いかけるように、厳しく接することこそが「毅然とした教師」だと信じていました。
子どもをほめることも、寄り添うことも少なかったように思います。
今となれば、それは“当時の常識”だったのかもしれません。
思い返すと、流れが変わり始めたのは2007年。
文科省が特別支援教育の推進を本格的に打ち出した頃から、学校の空気も少しずつ変わっていきました。
私自身、特別支援学級の担任となり、多くの研修に参加し、特別支援の免許も取得しました。
その学びを通して、これまで関わってきた子どもたちの顔が次々と浮かんできたのです。
——もし当時、あの子に合った環境や支援がもう少し整っていたら。
——いま思えば、もっと過ごしやすくできたのではないか。
そんな思いが胸に残っています。
特に忘れられない一人が、K君です。
K君は学習が苦手で、授業の50分はきっと耐えるだけの時間でした。
本当はとても優しい子なのに、周囲からからかわれることが多く、次第に教室を飛び出したり、暴言を吐いたりするようになりました。
やがて学校に来られなくなり、そのまま進学もできませんでした。
今あらためて思うのです。
もし、彼が安心して一人で取り組める学習スペースがあったなら。
もし、彼のペースに寄り添える支援があったなら。
K君の人生は、どこかで変わっていたかもしれません。
学校は少しずつ変わってきました。
でも、当時の子どもたちが感じていた苦しさに、もう少し早く気づけていたら——。
そんな後悔とも祈りともつかない気持ちが、今も私の中に静かに残っています。