重くなる一方のWindowsは、Linuxに乗り換えてパソコン買い替えを回避する

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あと、3、4日でMicrosoft(マイクロソフト)の新しいOS「Windows 11(ウィンドウズイレブン)」がリリースされます。新しい物好きな人には楽しみでしょう。

しかし、Windows 10に比べてメモリ容量など必要なパソコンスペックが格段に高くなります。Windows 10のサポート切れはまだ先とはいえ、「いずれ、またパソコンを買い替えないといけないのか」と憂うつになっている人もいるのではないでしょうか。

低スペックで動くOS・Linuxに乗り換えることで、パソコンの買い替えをせずに済みます。しかも、Linux自体は無料です。少し手間が増えるもののPhotoshopなどのWindows用ソフトも使えます。

ここでは、Linuxを使うメリットと、Windows用のPhotoshopやIllustratorをLinuxで使う方法をご紹介します。

OSの一種、Linuxとは

Linux(リナックス)とは、オペレーティングシステム(OS、コンピューターの基本ソフトウェア)の一種です。イメージがわきにくい人は、「WindowsやMacのライバル」と覚えておけばいいでしょう。

ただ、アバウトにいって、シェアは「Windowsの1/10がMac、Macの1/10がLinux」です。なじみがないのも無理はありません。

Windowsがマイクロソフト社、Macがアップル社の製品であるのに対し、Linuxは「オープンソース」です。技術情報が公開されていて、世界中のボランティアが改良を進めています。

また、このようなスタイルのために、さまざまなディストリビューション(配布形態)があります。「WindowsがVista、7、8、10と一本道で進化してきたのに対し、Linuxは、さまざまな“流派”に分かれていき、同時期にいろいろな種類がある」と理解しておきましょう。その“流派”でよく知られているものには、RedHat(レッドハット)、Debian(デビアン)、Ubuntu(ウブントゥ)などがあります。

この中で、個人ユーザーがよく選んでいるのは、Ubuntuの“一門”です。さらに、この一門の中でもユーザーが多いのは、このUbuntuそのものやLinux Mintなどです。

また、スマホのOS・AndroidはLinuxをベースに開発されています。Linuxのディストリビューションの一種と考えていいでしょう。

ごく一部の例外を除いて、どのディストリビューションも無料です。といっても、Windowsに機能や安全で劣るわけではありません。詳述は避けますが、機能については安定性で、安全についてはパソコンウイルスにかかりにくいことで、Windowsよりも上とされています。

「ならば、なぜシェアが小さいか」はさまざまな理由がいわれていて、定説がないようです。その中の一例を挙げると、「操作が難しい」があります。ただ、これも「近年のものは、操作でも問題がない」とする声も少なくありません。

Windows XP時代のパソコンでも動くLinux Mint

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「Windows用に作られたパソコンへの、MacOSのインストール」は「やってやれないことはないが、ハードルが高い」ようです。「WindowsからMacOSに乗り換える」場合は、「MacOSがインストールされ、ハード(ノートパソコン、デスクトップパソコン)もMac用に作られたものを手に入れる」がほとんどでしょう。

一方、最初からLinuxがインストールされているハードはごくごく少数です。また、特にLinux用として作られているハードもありません。Windows用がそのまま使えます。しかも、SSDやハードディスクの余裕次第ですが、デュアルブートもできます。「デュアルブート」とは、異なる2つのOSをインストールし、切り替え次第でWindows機としても、Linux機としても使えるやり方です。

ただ、デュアルブートはデュアルブートなりにそこそこ面倒です。私としてのおすすめは、「Linux専用機を1台持つ」です。

「また、1台買わないといけないのか」と思うかもしれません。多くの人は買わなくて大丈夫です。「壊れているわけではないけれど、Windows 10にはスペック不足なので使えないパソコン」は残していないでしょうか。あるいは、友人・知人から譲ってもらうことはできないでしょうか。これにインストールすればいいのです。

ディストリビューションによって異なりますが、大半は一時代前のWindows 機で十分に動かせます。たとえば、私が使っているLinux Mintならば、Windows XP機のスペックで問題ありません。メモリを例にすれば、「1ギガバイトで大丈夫、2ギガバイトで余裕」とされています。ディストリビューションの中には、Windows 2000機でも動かせるほど軽いものまであります。

Linuxでもアップグレードはあります。ただし、Windowsのように、急に必要なスペックが跳ね上がるのは見たことがありません。

LinuxでWindows用Photoshopを使うには

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通常、Windows用のソフトは、OSとしてMacをインストールしたパソコンでは使えません。逆も同様です。WindowsとLinuxの間でも同じことがいえます。

ただ、専用のソフトがあり、これでかなりのところ解決します。この「専用のソフト」には、大きく分けて、「Linuxの上で、Windows用ソフトを動かす」ためのソフトと、仮想化ソフトの2種類あります。

まず、「Linuxの上で、Windows用ソフトを動かす」ためのソフトで、よく知られているのは、「PlayOnLinux」です。写真加工ソフトのPhotoshopやIllustratorについての情報が提供されていますが、CS4やCS6などバージョンの一部で、「NvidiaのビデオカードとAMDのビデオカードでは作動するが、Intelのものは作動しない」となっています。また、骨とう品ともいえる古いバージョンのCS2では、Photoshopを私が実際にインストールして使っていますが、Illustratorは無理でした。

ほかのWindows用ソフトもいくつか試しましたが、Playon Linuxは対応しているとするWindows用ソフト、対応しているとするバージョンでも、確実性に欠けるようです。

もう、一方の「仮想化ソフト」ならば確実です。これは、「Linux機の中でWindowsを立ち上げ、そのWindowsに各種のWindows用ソフトをインストールする」手順になります。デュアルブートがLinuxかWindowsのどちらか一方のパソコンとして使うのに対し、仮想化は「パソコンとしてはLinux機だが、そのLinuxを起動したあとに、Windowsを間借りさせる」とイメージすればいいでしょう。

仮想ソフトで比較的知られているのは、VirtualBox、KVM、VMwareあたりでしょう。私は実際にVirtualBoxを使っていて、Photoshop CS2やIllustrator CS2を使うのもこのVirtualBoxでです。

仮想ソフトでの注意点はいくつかありますが、ひとつだけ挙げると、「“間借り”させるWindowsは少し古いほうがいい」です。LinuxとWindowsでCPUやメモリを共有することになるので、Windowsは軽いほうがいいのです。

メモリを4ギガバイト積んでいる私のLinux Mint機では、Windows XPは問題なく使える一方で、Windows 10は重く、全く使いものにはなりません。

放っておくと、いつまでもマイクロソフト&インテルに振り回される

Linuxに興味が出てきても、なかなか実際にLinux機を持つところまで踏み切れる人は少ないでしょう。また、乗り換えたところで、すぐにWindows機に戻るかもしれません。併用している人は、使うのはWindows機ばかりになるかもしれません。

みなさん、Windows機に慣れきっているので、ほんの少しでも使い勝手の違うものは、大きなストレスになりそうです。よほど大きなモチベーションがないと、最初の山を乗り切れないように思えます。

私の場合は、2014年4月のWindows XPのサポート切れがきっかけになりました。デスクトップパソコンが3台あり、いずれもXPをインストールしていました。パーツもその時点でも古めでした。Windowsを使い続けるのならば、Windows 10のキーを3台分購入し、パソコンも3台とも大幅にパーツを入れ替えなければいけません。

「ここで一度追いついても、数年たったら、また同じことの繰り返しだ。一生、Windowsを作るマイクロソフト社と、CPUを作るインテル社に振り回される」と思えました。そこからの脱却が、Linuxへの乗り換えでした。

今回のWindows 11のリリースにも、「どれだけのスペックがあれば、問題なくパソコンが動くのか」と、周りは疑心暗鬼になっています。一方、私は7年前に乗り換えたおかげで、ひとごととしてながめることができています。

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