文章が上手い人は五感を使っている【元国語教員が解説】

記事
小説
元国語科教員で、現役作家の寿じゅげむと申します。
前回に引き続き今回も、
国語科教育を通じて私が感じている、
【魅力ある文章を書くためのポイント】についての考えをまとめていきます。
創作に悩んでいる方や、行き詰まっている方の一助になれば幸いです!

今回取り上げるのは、
【五感を駆使した文章を書く】というポイントです。

私は教員時代、「国語表現」という科目で、高校生に小説を執筆させ、その指導を行う授業を実施していました。
授業の中で初めて小説を書くという生徒も多かったのですが、文章を書き慣れていない生徒がよく陥りがちな、あるパターンがあることに気づきました。
今回は、よくありがちな「惜しい」パターンと、「魅力ある」文章だと感じるパターンの違いについて、実例を元にして一緒に考えていきましょう!

たとえば次にあるのは、
「主人公が目覚めると見知らぬ場所にいた」という状況を書き表した2つの文章表現です。
2つの文章のうち、どちらがよりわかりやすい表現になっているでしょうか?みなさんも考えてみてください。

【A】
目覚めると天井が目に入った。
僕はコンクリートの床の上に倒れていた。
その床には赤茶色の、血のような汚れがある。
あたりを見回してみると女が倒れていて、
「ようやく目覚めたのね」と言った。
すると、重いドアがゆっくりと開いた。

【B】
揺れる視界の中でゆっくりと目をひらくと、高い天井が見えた。
頭が重い。頬に触れたコンクリートの床はざらざらとしていて冷たかった。
血の匂いがする。鉄が錆びたような汚れが目に入り、胃酸が込み上げるような感覚を抱く。
「ようやく目覚めたのね」
声がした方に目をやる。そこには女が倒れていた。
ギイ、と音がして、重いドアが軋むようにゆっくりと開いた。

……さあ、いかがでしょうか?

もちろん好みにもよると思いますが、
視覚情報がメインの【A】に比べて、
【B】の文章には、
触覚や聴覚、そして視点人物が実際に抱いている感覚についての情報が盛り込まれていますね。

【A】と比べると、【B】の方がより作品の世界に、読み手が興味を持ちやすくなる傾向があると思います。
また会話文が先行することによって、読み手を惹きつける働きも盛り込まれていることがわかりますね。

このように、作品に引き込まれるような文章を書くには、
読み手がその世界の住人になれるような、【五感を駆使した文章を書く】ことが有効です。

ただ、ここまで読んでいただいた方は
「じゃあ五感を全部入れればいいのか!」と思ってしまいませんか?
しかし、それだけでは魅力ある文章にはならないのですね。
それでは仮に、五感を全て入れて文章を書いてみると、どのような印象を与えることになるのでしょうか。

たとえばまた1つ例を挙げてみます。

次にある文章を読んでみて、何かひっかかるところはありますか?


僕はカレー屋に入った。
カレーの匂いがする。
店員の声が明るくて、入り口までよく聞こえてきた。
座った椅子は思いの外固かった。
出された水は、とても冷たかった。
今日は恋人に別れを告げられた日だった。


……どうでしょうか?
少し考えてみていただきたいのですが、
「恋人に別れを告げられた」という主人公の心情に、
用いられている五感の描写が、まったく寄り添えていないんですよね。
だから、読んでいて「ん?」と、少しちぐはぐな印象を受けてしまいます。

必要ではない描写に対しても五感を用いて書いてしまうと、
せっかく強調したいようなポイントが流れて、
かえって読みづらい文章に感じられてしまう危険性があるのですね。

つまり、五感を用いた描写をする際に最も大事なことは、
【主人公が何を感じているかを伝えるために、五感を活用すべき】であるということです。
先ほどの【B】の例を挙げるとするならば、
周囲の見知らぬ場所の状況を観察しようとする主人公の不安さや、
不潔な環境に対する嫌悪感が、
五感を用いることで描き出されていたのですね。

せっかく今回ここまで記事をよんでくださったあなたに、
「今日から使える」アドバイスをひとつお伝えします。
それは、
★小説を書いた後、「視覚以外の情報が入っているか」というポイントを念頭においてチェックをすることです。

特に会話だけで展開している場面の間には、
視点人物の五感を用いた描写を入れ込むだけで、感情表現を説明的でなく自然に盛り込むことができ、単調な文章に彩りを加えることができます。

もちろん、ときには坦々と読ませたいシーンもあるかもしれませんが、
五感をスパイスのように用いて加えられるようになると、表現の幅も確実に広がっていきますよ。


今回は、【魅力ある文章を書くためのポイント】として、
【五感を駆使した文章を書く】ことと、そのポイントに関する私の考えをお伝えしてきました。
また次回以降も、創作するあなたの役に立つような情報を発信していきますので、ぜひこのブログを役立ててもらえるとうれしいです!

ただし、こうした五感の描写は、自分で書いていると意外と気づきにくい部分でもあります。
作者の頭の中では情景が見えているため、「書いたつもり」になっていることが少なくないからです。
ココナラでは、作品の特徴や文章の癖、改善点などを分析する
【文章分析サービス】も提供しています。

たとえば、
「視覚描写に偏っていないか」
「会話文ばかりで場面が単調になっていないか」
「感情表現が説明的になっていないか」
といった点を含め、読者の視点から作品を丁寧に読み解きながらお伝えしています。

今回の記事を読んで、
「自分の作品では実際にどうなっているんだろう?」
と気になった方は、ぜひご活用ください。

また、
「分析やアドバイスも気になるけれど、まずは純粋な読者としての感想がほしい」
という方もいらっしゃると思います。

そんな方向けに、私は「元国語科教員」という視点を活かしながら、あなたの作品を読み、その感想をお届けするサービスも提供しています。

アドバイスがほしいという方には、
「より読み手に伝わりやすい文章になるには?」という観点で、
今回取り上げた以外のたくさんのポイントを織り交ぜながらお伝えすることも可能です。
もちろん、「アドバイスはいらないから、とにかく創作のモチベーションを上げられるような感想がほしい!」
というご要望も承ります。

「自分では情景を書いているつもりだったのに、読者にはほとんど伝わっていなかった」
「逆に、何気なく書いた描写が印象に残ったと言われて驚いた」

そんな発見があるのも、第三者に作品を読んでもらうおもしろさです。

もし「自分の文章がどう読まれているのか知りたい」と思った方は、ぜひお気軽にご相談ください!

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら