自戒を込めて書きます。
■1.「あと少しで終わります」
翻訳すると「半分書けました」です。
なぜこう言ってしまうかというと、書き手の体感では本当にあと少しだからです。頭のなかでは物語が最後まで見えている。あとはそれを文字にするだけ。ところが、その「だけ」に全体の7割の時間がかかる。
見えていることと、書けていることは違います。
■2.「構成はもうできています」
翻訳すると「頭のなかにはあります」です。
紙にもファイルにも存在しません。本人の記憶のなかにだけ、ふわっとある。この状態のものを人は「できている」と呼びがちですが、三日後には自分でも思い出せなくなっています。
■3.「今日中に送ります」
正確には「今日という概念が続く限りにおいて」です。
作家にとっての一日は、寝るまで終わりません。深夜3時は前日です。世間とのあいだにこの認識の差があるため、翌朝メールを開いた依頼者が「あれ、来てない」と思う事故が起きます。
■4.「あとは推敲するだけです」
推敲は「だけ」ではありません。
推敲中に「この人物、そもそも要らないのでは」と気づくことがあります。そうなると、だけ、では済まない。推敲は仕上げの作業ではなく、最後の関門です。
■5.「早めに出せそうです」
出たことがありません。
早めに出せそうだと感じている時点で、まだ全体像が見えていないだけ、という可能性が高い。書き進めるほど、書くべきことは増えます。
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■というわけで、私はこう言うようにしています
上記はすべて、書き手なら一度は口にしたことがある言葉です。悪意はありません。ただ、見通しが甘いだけです。
なので私は、進捗をお伝えするとき、次のようにしています。
・「あと少し」ではなく、残り文字数で伝える
・構成は必ず文書にして、着手前にお送りする
・納品時刻は「◯日中」ではなく「◯日の18時まで」と時刻で切る
・推敲の時間を、最初からスケジュールに組み込む
・早めに出せそうなときは、黙って早めに出す
締切を守るというのは、根性の話ではなく、見積りの精度の話だと思っています。
だから初回のご相談で、少し細かく質問をさせていただきます。あれは、嘘をつかずに済む納期を出すための作業です。