締切前日の作家が言いがちな嘘、5選

締切前日の作家が言いがちな嘘、5選

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小説
 自戒を込めて書きます。

■1.「あと少しで終わります」

 翻訳すると「半分書けました」です。

 なぜこう言ってしまうかというと、書き手の体感では本当にあと少しだからです。頭のなかでは物語が最後まで見えている。あとはそれを文字にするだけ。ところが、その「だけ」に全体の7割の時間がかかる。

 見えていることと、書けていることは違います。

■2.「構成はもうできています」

 翻訳すると「頭のなかにはあります」です。

 紙にもファイルにも存在しません。本人の記憶のなかにだけ、ふわっとある。この状態のものを人は「できている」と呼びがちですが、三日後には自分でも思い出せなくなっています。

■3.「今日中に送ります」

 正確には「今日という概念が続く限りにおいて」です。

 作家にとっての一日は、寝るまで終わりません。深夜3時は前日です。世間とのあいだにこの認識の差があるため、翌朝メールを開いた依頼者が「あれ、来てない」と思う事故が起きます。

■4.「あとは推敲するだけです」

 推敲は「だけ」ではありません。

 推敲中に「この人物、そもそも要らないのでは」と気づくことがあります。そうなると、だけ、では済まない。推敲は仕上げの作業ではなく、最後の関門です。

■5.「早めに出せそうです」

 出たことがありません。

 早めに出せそうだと感じている時点で、まだ全体像が見えていないだけ、という可能性が高い。書き進めるほど、書くべきことは増えます。

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■というわけで、私はこう言うようにしています

 上記はすべて、書き手なら一度は口にしたことがある言葉です。悪意はありません。ただ、見通しが甘いだけです。

 なので私は、進捗をお伝えするとき、次のようにしています。

・「あと少し」ではなく、残り文字数で伝える
・構成は必ず文書にして、着手前にお送りする
・納品時刻は「◯日中」ではなく「◯日の18時まで」と時刻で切る
・推敲の時間を、最初からスケジュールに組み込む
・早めに出せそうなときは、黙って早めに出す

 締切を守るというのは、根性の話ではなく、見積りの精度の話だと思っています。

 だから初回のご相談で、少し細かく質問をさせていただきます。あれは、嘘をつかずに済む納期を出すための作業です。

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