2026年10月1日から何が変わる?会社が確認したい労務の変更点まとめ

2026年10月1日から何が変わる?会社が確認したい労務の変更点まとめ

記事
法律・税務・士業全般
「10月から法律がいろいろ変わるらしいけど、うちの会社には関係ある?」

そんな経営者の方も多いのではないでしょうか。

2026年10月1日からは、会社の人事・労務に関係する変更がいくつかあります。

今回は、2026年10月1日から変わる主なポイントをまとめます。


① 愛知県の最低賃金が1,195円に

まず、愛知県の会社にとって分かりやすい変更が、最低賃金です。

2026年10月1日から、愛知県の最低賃金は、

時間額1,195円

に改定されました。

これまでの1,140円から55円の引上げです。

愛知県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。パート・アルバイトも対象です。

例えば、これまで時給1,150円で働いていたパート社員がいる場合、10月1日以降はそのままの時給では最低賃金を下回ることになります。

会社としては、

* パート・アルバイトの時給
* 試用期間中の賃金
* 求人票に記載している賃金

などを確認しておきましょう。

② パート・有期雇用労働者の「労働条件の明示」が変わる

10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件の明示事項が追加されました。

追加されるのは、
「通常の労働者との待遇の相違の内容・理由等について、説明を求めることができる」
旨の明示です。

例えば、

「正社員には賞与があるけれど、パートにはない」

「正社員には住宅手当があるけれど、パートにはない」

というように、正社員とパートで待遇に違いがある場合があります。

待遇が違うこと自体が、直ちに問題になるわけではありません。

ただし、

「なぜ違うのか」

を会社として説明できるようにしておくことが大切です。

10月1日をきっかけに、現在使っている労働条件通知書の様式も確認してみましょう。
厚生労働省のHPにサンプルがあります!


 ③ 「同一労働同一賃金」のガイドラインも改正

同じく10月1日から、同一労働同一賃金ガイドラインも改正されます。

今回の改正では、

* 賞与
* 退職手当
* 無事故手当
* 家族手当
* 住宅手当
* 福利厚生施設
* 病気休職
* 夏季・冬季休暇
* 褒賞

などについて、裁判例などを踏まえた記載が追加・見直しされています。

例えば、

「正社員には住宅手当を出しているけれど、パートには出していない」

という場合。

「パートだから」

だけで判断するのではなく、**その待遇の性質や目的、仕事内容や責任などを踏まえて、待遇差が不合理ではないか**を考える必要があります。

10月1日から突然すべての手当を同じにしなければならない、という話ではありません。

一度、

「正社員とパートで、どんな待遇の違いがある?」

と書き出してみるとよいでしょう。


 ④ カスタマーハラスメント対策が義務化

10月1日から、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」への対策が、すべての事業主に義務付けられました。

会社には、例えば、

* カスハラに対する会社の方針を明確にする
* 従業員に周知・啓発する
* 相談に対応する体制を整える
* カスハラが発生した場合に適切に対応する
* カスハラを防止するための措置を講じる

などが求められます。

「お客様からのクレームだから、従業員が我慢するしかない」

という考え方ではなく、

従業員を守るために会社としてどう対応するのか

をあらかじめ決めておくことが重要になります。

なお、顧客からの苦情がすべてカスハラになるわけではありません。

正当な苦情や問い合わせまでカスハラとして扱うものではないことにも注意が必要です。


 ⑤ 求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策も義務化

同じく10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメントについても、事業主に防止措置が義務付けられました。

対象となるのは、現在働いている従業員だけではありません。

採用活動などの場面で、

* 面接
* インターンシップ
* 就職活動
* 求人への応募

などの際に、性的な言動によって求職者等の就業環境が害されることを防ぐための対策が求められます。

「まだ採用していない人だから、会社のハラスメント対策とは関係ない」

というわけではありません。

採用担当者や面接を担当する人にも、会社としてルールを周知しておく必要があります。

 ⑥ 社会保険の「月額8.8万円」の賃金要件がなくなる

10月1日から、短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の加入要件の一つだった、

「所定内賃金が月額8.8万円以上」

という賃金要件が撤廃されました。

これまで、いわゆる「106万円の壁」として知られていた部分です。

ただし、

「10月から、週20時間働くパートは全員社会保険に加入する」

という意味ではありません。

現時点では、短時間労働者について、

* 週の所定労働時間が20時間以上
* 学生ではない
* 2か月を超えて雇用される見込み
* 勤務先が一定の企業規模に該当する

などの要件があります。

そのため、パート・アルバイトを雇っている会社は、

「月8.8万円未満だから社会保険は関係ない」

と判断せず、現在の加入要件を確認する必要があります。


・ 10月1日からの変更、会社は何を確認する?

ここまでの内容をまとめると、会社が確認したいのは次のようなことです。

 給与関係

□ 最低賃金を下回っていないか
□ 求人票の時給は大丈夫か
□ パート・アルバイトの賃金を確認したか

労働条件関係

□ 労働条件通知書の様式を確認したか
□ パート・有期雇用労働者への明示事項を確認したか
□ 正社員とパートで待遇にどんな違いがあるか整理したか

 ハラスメント関係

□ カスハラへの対応方針を決めたか
□ 従業員からの相談体制を整えているか
□ 採用担当者に求職者等へのセクハラ防止を周知しているか

 社会保険関係

□ パート・アルバイトの労働時間を確認したか
□ 社会保険の加入対象者がいないか確認したか



・まとめ

2026年10月1日から、会社の人事・労務に関係するさまざまな変更が行われました。

特に会社が確認しておきたいのは、

① 最低賃金の引上げ
② パート・有期雇用労働者の労働条件明示事項の追加
③ 同一労働同一賃金ガイドラインの改正
④ カスタマーハラスメント対策の義務化
⑤ 求職者等へのセクシュアルハラスメント対策の義務化
⑥ 短時間労働者の社会保険加入における賃金要件の撤廃

です。

「法律が変わった」と聞くと難しく感じますが、まずは、

「うちの会社に関係するところはどこ?」

という視点で確認してみましょう。

特にパート・アルバイトを雇っている会社は、今回の改正をきっかけに、労働条件・待遇・社会保険の3つをまとめて確認してみてください。

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