【阪田和典】なぜか「カレンダーの余白」を埋めるほど、チャンスが減る話
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ビジネス・マーケティング
独立してからずっと、スケジュールの埋まり具合を「安心感」と勘違いしていた。打ち合わせ、広告設計、提案書作成。予定がびっしり詰まっていると、自分がちゃんと働けている気がした。でもある日、何となくGoogleカレンダーを眺めていて、ふと気づいた。僕の時間は、ほとんど「誰かのための予定」で埋まっていた。
空白が怖かった。予定がない日が続くと、「今月やばいかも」と焦って、無理に仕事を入れようとした。でも、ふと気づいたんだ。余白がないと、新しい発想も入ってこない。カレンダーを隙間なく埋めることは、自分の成長のチャンスを閉じ込めているのと同じだ。
そこで試しに、一週間に一度「予定禁止日」を作ってみた。どんな仕事も入れない。ただ、その日だけはスマホもSlackも見ず、頭の中を自由にさせた。最初の数日は落ち着かなかった。でも三週目くらいから、逆に不思議なことが起こり始めた。アイデアが湧く。広告のコピーも自然に浮かぶ。クライアントの課題が、ふとした瞬間に整理される。つまり、働いていないときのほうが、仕事が進む感覚になったのだ。
カレンダーの余白は、怠けの証拠ではなく、次の戦略の準備期間だった。詰め込みすぎると、思考が「反応モード」になる。相手の要望に応じるだけの仕事になる。でも余白があると、「創造モード」に入れる。何を仕掛けるか、どんな価値を生み出すかを考えられる。マーケティングでいうところの“施策前の仮説構築”は、まさにこの余白でしか生まれない。
面白いことに、余白を増やしたことで売上も上がった。仕事の数は減ったのに、質が上がった。自分の集中力が高まり、提案の精度も上がるからだ。人は時間を埋めることで満足しがちだけど、本当は「何もしていない時間」をどう扱うかで、成果が決まるのかもしれない。
今はカレンダーの白い部分を見るのが楽しみになった。そこに新しい発想が入る余地があると思えるからだ。もしかしたら人生も同じで、予定のない時間こそが一番価値のある瞬間なのかもしれない。余白がある人ほど、次のチャンスをキャッチできる。それを知ってから、僕はあえて埋めない勇気を持つようになった。