不安にさせる恋は、近づいているようで少し遠い
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コラム
恋愛の中で、
『このまま素直すぎると軽く見られるのかな』
と不安になることがありますよね。
すぐ返しすぎないほうがいいのか。
少し距離を見せたほうが相手は気になるのか。
やさしくしすぎると、追われなくなるのか。
そんなふうに考えはじめると、
恋はいつのまにか
『どう関わるか』より
『どう思わせるか』に変わっていくことがあります。
もちろんそれは、
駆け引きが好きだからではないんですよね。
本当はただ、
大切にされたい。
自分ばかりが好きになりすぎたくない。
安心できる立場にいたい。
その気持ちがあるからこそ、
少し引いたほうがいいのかな...
少し追わせたほうがいいのかな...
と迷ってしまうことがあります。
でも、ここでひとつ立ち止まりたくなるのは、
不安にさせることで動く恋って、
たしかに反応は起こるけれど、
その反応がそのまま安心につながるとは限らないからです。
相手が気にしてくれる。
連絡が増える。
少し追ってくる。
そういう変化があると、
『やっぱりこのほうが効くんだ』
と思いたくなる瞬間もあるかもしれません。
でも実際には、
そのとき相手の心が動いている理由は、
好意そのものだけではなく、
【不安】や【気になる空白】によることもあります。
人は、はっきり見えないものに心を引っ張られやすいです。
少し距離があると、
その意味を考えたくなる。
急に態度が変わると、
どうしたんだろうと気になってしまう。
だから、
距離を作ることや温度を落とすことが、
一時的に相手の意識を強く向けることはあります。
ただ、それは
『安心して惹かれている状態』とは少し違うんですよね。
気になっている。
反応している。
追いかけている。
でもその土台にあるのが不安だと、
関係はどこか落ち着きにくくなります。
恋が長く苦しくなりやすいのは、
嫌いだから離れるときより、
不安の上でつながろうとするときなのかもしれません。
相手の心を動かすために距離を使う。
すると相手は、その距離を埋めようとする。
でも埋まったと思ったら、
また不安になる。
また試したくなる。
そういう流れができてしまうと、
恋は『近づくこと』より
『離れないか確かめること』が中心になっていきます。
本当は、
好きだから関わりたいはずなのに。
大切だからやさしくしたいはずなのに。
いつのまにか、
どちらが不安になっているかで温度を測る関係になって
しまうこともあるんですよね。
ここが少し切ないところで、
不安にさせる恋は、
近づいているように見えて、
実は心の深いところでは少し遠いことがあります。
なぜなら、
そこで確認しているのは
『好きかどうか』より
『失いそうで怖いかどうか』になりやすいからです。
もちろん、
恋の最初には多少の揺れがあるものです。
相手の反応が気になるし、
自分の立ち位置も気になる。
だから多少の駆け引きっぽさが生まれること自体は、
そこまで珍しいことではありません。
でも、
それを続けないと成り立たない関係なら、
少しだけ立ち止まって見てみてもいいのかもしれません。
安心させると冷める相手なのか。
自然体だと雑に扱われる関係なのか。
それとも、
自分が不安なぶんだけ、
強く見せる形でしか関われなくなっているのか。
そこを見つめることのほうが、
相手を動かす方法を探すより、
ずっと恋を軽くしてくれることがあります。
たぶん恋って、
追わせることより
『この人といると変に試さなくていい』
と思えることのほうが大事なんですよね。
無理に遅らせなくていい。
わざと冷たくしなくていい。
気にさせるための距離を作らなくていい。
そういう関係は、
派手さはなくても、
心が少しずつやわらかくなっていきます。
人は、安心できる相手に対して
気持ちが止まるわけではありません。
むしろ、安心があるからこそ、
ちゃんと好きになっていけることもあります。
追わせることが必要かどうかより、
不安を使わないと近づけない恋になっていないか。
そこを見るほうが、
ずっと大事なのかもしれません。
恋は、
相手を揺らすことで続くものではなくて、
揺れたときに戻ってこられる場所があることで
深まっていくものだと思います。
だからもし今、
『少し引いたほうがいいのかな』
『不安にさせたほうが大事にされるのかな』
と迷っているなら、
その前にひとつだけ確かめてみてほしいんです。
自分が欲しいのは、
追いかけられることなのか。
それとも、
無理をしなくても大切にされる感覚なのか。
たぶん本当に欲しいものは、
後者であることが多いのではないでしょうか。
不安にさせる恋は、
近づいているようで少し遠い。
でも、自然なやりとりの中で育つ恋は、
派手ではなくても、ちゃんと心の近さを残していきます。
駆け引きの正しさを探すより、
自分が息をしやすい関わり方を選べたとき、
恋はもう少しあたたかいものになっていくのだと思います。