化学メーカー在籍のエンジニアが熱交換器を担当したとき(1)設計

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化学メーカーにとっては欠かせない熱交換器。反応させる前のプロセス温度を上げる場合、冷やす場合、液体を蒸発させる場合、蒸発させた蒸気を回収するための凝縮器など熱交換器は色々な場面で使用されます。このシリーズでは熱交換器について徒然なるままに書いていきたいと思います。

1.型式
 熱交換器には本当にいろいろなタイプがあり、目的に合わせて適切なタイプを選定するのが設計者の腕の見せ所となります。最も一般的なシェル&チューブ式、スパイラル式、プレート式、それぞれ中でもタイプが分かれてます。日本では高圧ガス保安法,一圧・二圧などの圧力容器などの法的要件で選択肢が決まる場合がありますのでまず法的要件の調査が必要です。シェル&チューブはチャンネルカバー(チューブを挟んでいるカバー)が開放できるので、法的検査が可能ですが、他のタイプは溶接タイプがあるので、検査できないと運転後の定期検査が困難なため、事前調査が不可欠です。導入後に困らないようにしておきましょう。
 シェル&チューブ(S&T)は単位操作的には伝熱になるので、伝熱を抑えておくと理論通りに設計・解析できます。チューブ側はパス数(何往復させるか)の選択ができます。パス数の設定については、一般書物が有用ですが、設計部分で説明します。チャンネルカバーとチューブ管板のガスケットは金属ガスケットを用いる事ができ、熱応力を緩和できる措置がとれるため、最も汎用性があるタイプとなります。
 スパイラル熱交は渦巻タイプです。シェル&チューブよりU値(総括伝熱係数)が高くとれるため、効率が良いタイプです。上蓋・下蓋が開放できるので法的要件を満足することができます。同じ伝面で考えるとS&Tより高額になる場面があると思います。熱応力の吸収には不向きなため、冷却側と加熱側の温度差が少ないケースで採用するのに向いています。
 プレート熱交はU値がかなり高くとれる効率よい熱交です。法的要件も満足できるタイプがあるようですが、メーカー確認必要です。一般的にはU値はメーカー設計に頼らざるを得ません。内部構造がユーザー側では分からず、流速などはユーザー側では把握困難です。流速を高めてU値を高めるため、圧損が大きくなる特徴があります。他のタイプに比べて定期メンテがややこしくなる傾向があります。水系の加熱冷却は得意とする熱交換器です。ただし、プレート毎にガスケットが組み込まれていますが、ゴム系のため有機溶剤で膨潤するタイプには向いていません。メーカーに適用可否を要確認ですが、メーカー側よりユーザー側は取扱いの有機溶剤を熟知しているので、必要あれば浸漬テストなどをした方が良いでしょう。
 個人的な印象で言うと、
 汎用性:S&T > スパイラル > プレート
 価格高い:プレート ≒ スパイラル > S&T
 メンテナンスの容易さ:S&T > スパイラル > プレート

2.設計
 熱交換器の設計は色々な部分がありますが、一番重要なスペックは伝熱面積となります。伝熱面積の決定は下記のヒートバランスが成り立つように決定されます。設計条件として、冷却側と加熱側の交換熱量が決まりますので、U値が決まれば伝熱面積A[m2]が決まります。
 Q=冷却側の交換熱量(冷却流量×冷却物質比熱×温度差)
   =加熱側の交換熱量(加熱流量×加熱物質比熱×温度差)
   =U(総括伝熱係数)×A(伝熱面積)×⊿T(対数平均温度差)
 熱交換器を設計するにはU値をどのように設定するかで伝熱面積が変化し、熱交換器の費用が異なってきます。U値をどのように決めるかが、設計者の腕の見せ所となります。以下、熱交のタイプ別にU値の算出について記載していきます。
 S&T設計の基本は伝熱工学です。良く引用される下図で説明すると、黒線がチューブを表しており、青線が流体の温度を表してます。管の内側と外側に境膜という概念があり、境膜伝熱係数と言われる抵抗値があります。それとステンレスやカーボンスチール(鉄系)での材料内の伝熱抵抗。材料内の伝熱抵抗は材料の熱伝導率、物性で決まります。境膜伝熱係数は、主には流速で決まり、理論と言うよりは実験式に近い形で表現されることが多いですが、境膜伝熱係数でU値は支配されます。算出方法などについては、ご依頼をかけて頂ければ何でもサポートさせて頂きます。
伝熱.jpg
 スパイラル熱交,プレート熱交の設計も同様に専門のハンドブックでないとなかなか記載されている書物がないところではあります。この辺りもご依頼をかけて頂ければと思います。
 それと、熱交換器はベンダーに一括設計をお願いするも良し、自身でチューブ配列を決め、板厚設計し、設計した熱交を製作発注するも良し、です。自身で設計する方が当然、製作できるベンダーが多く、競争原理で安く仕上げることができますし、設計冥利に尽きると言えます。設計者であれば後者を選ぶべし、と言うは歳のせいかもしれません。
 熱交換器は温度差が大きい機器ですので、熱応力の緩和を検討することが
不可欠です。熱で本体が伸びるので、ベースプレートは固定側と反固定側を決め据付ボルト穴は長孔とします。
 シェル側は邪魔板を設置してU値を上げる工夫ができるので、圧損との見合いで邪魔板数や形状を決めたり、圧力容器では法的に検査できるようにハンドホールを設ける必要があったり、設計考慮する必要があるポイントが多数あります。その当りもリスト化して提供できますので、ご依頼をお願いします。


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