■対象になる人
日本国内に本社と事業実施場所がある中小企業など。
業種ごとに「従業員数」や「資本金」の上限が決まっている(例:製造業なら従業員300人以下かつ資本金3億円以下)。
組合や一部の社会福祉法人も対象。
過去に採択された企業も応募できるが、回数によって減点される場合あり。
医療法人は基本的に対象外。
■対象となる事業内容
新しい製品・サービスの開発や、海外展開のための設備投資。
ただ機械を入れるだけではダメで、新しい付加価値を生み出す取り組みであることが必要。
古いやり方の単なる改善だけでは対象にならない。
■満たさなければいけない基本ルール
付加価値額を年平均3%以上アップさせる。
(付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)
賃金を年平均2%以上アップさせる、または最低賃金の伸び以上に賃金をアップさせる。
最低賃金より30円以上高い社内最低賃金を毎年維持する。
従業員が21人以上いる場合は、子育て支援に関する行動計画の策定・公表が必要。
■グローバル枠(海外展開を目指す場合)では追加条件
海外事業計画をきちんと立て、調査もする。
海外ビジネスに詳しい人材が社内にいるか、外部専門家と連携する。
海外展開によって国内の生産性を上げることが求められる。
■特例措置について
賃金を大きく引き上げるなどの取り組みをする場合は、補助金の上限や補助率がアップする特典あり。
ただし、特例を受けるには別途条件をクリアする必要あり。
■補助の対象となる経費
機械装置、システム構築、運搬費、技術導入費、知財関連費用、外注費、専門家費用など。
50万円(税抜)以上の設備投資が必須。
事務機器のような汎用的なものは基本的に対象外。
■申請の流れ
電子申請のみ。
GビズIDプライムアカウントが必要なので、早めに準備を。
申請時には、事業計画書や必要書類を提出する。
■審査について
書類審査があり、場合によっては面談審査も。
事業の新規性、実現性、経営力などが評価される。
加点・減点ルールもあるので注意。
■補助金返還について
賃金アップや最低賃金条件を達成できなかったら、補助金の一部または全部を返還しないといけない。
ただし、赤字だったり天災などで達成できなかった場合は返還免除のケースもあり。
■最後に
詳しい内容や申請方法は、「公募要領」と「概要版」を必ず確認。
わからない点は、事務局サポートセンターへ問い合わせること。
付加価値額・給与支給額の条件についての具体的な例
① 付加価値額を年平均3%以上アップさせる
付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
例:
現在の付加価値額:5,000万円(営業利益1,500万+人件費3,000万+減価償却費500万)
計画期間:3年間
年平均3%以上アップ → 3年後に必要な付加価値額
→ 計算式:5,000万円 ×(1.03)³ ≒ 5,463万円
→ よって、3年後には**約463万円の増加(3年合計)**が必要
② 賃金を年平均2%以上アップさせる
または、都道府県の最低賃金の過去5年間の伸び率以上の成長率を達成する
例:
従業員給与支給総額:3,000万円
計画期間:3年間
年平均2%以上アップ → 3年後に必要な給与支給総額
→ 計算式:3,000万円 ×(1.02)³ ≒ 3,183万円
→ 3年後には給与総額が約183万円多くなる必要あり
※役員給与も含めた総額で判断(ただし福利厚生費・退職金は含めない)
最低賃金基準にする場合:
最低賃金の年平均上昇率が仮に2.5%なら、
一人当たり給与支給額を年2.5%以上アップさせる必要がある。
③ 最低賃金より30円以上高い社内最低賃金を毎年維持
例:
北海道の最低賃金:960円(2024年度)
必須条件:960円 + 30円 = 最低でも990円以上を全従業員に支給
→ 年度ごとに最低賃金が上昇した場合、それに応じて社内の最低時給も引き上げる必要がある
(例:翌年最低賃金980円なら、1,010円以上が条件)
【ものづくり補助金採択に向けた留意点】
現在申請を進めている「ものづくり補助金(第20次公募)」においては、単なる設備投資の実施にとどまらず、付加価値額の向上および従業員給与の引上げが達成必須の条件である。
具体的な必達目標は、以下の通りである。
付加価値額を年平均3%以上増加させること
従業員及び役員給与支給総額を年平均2%以上増加させること、または最低賃金上昇率以上に1人あたり給与を増加させること
毎年、事業所内最低賃金を地域の最低賃金より30円以上高い水準とすること
これらの目標を達成できなかった場合、補助金の返還義務が発生するため、特に留意しなければならない。
したがって、補助金を活用して進める事業によって得られる収益増加分の一部または全部は、確実に従業員給与の引き上げに充当することが求められる。
補助金は単なる資金援助ではなく、中小企業の生産性向上と持続的な賃上げ実現を促すための制度であることを十分に理解する必要がある。
また、当該賃金引上げ目標は事業計画書に明記し、事業実施後も進捗状況を定期的に報告しなければならない。目標未達成と判定された場合には、補助金の一部または全額返還を求められることとなる。
以上を踏まえ、事業計画の達成とあわせて、従業員の賃金改善施策を確実に進める体制を整え、補助金の適正な活用と企業の持続的成長を実現することが重要である。