これは、わたくしが「魂を結ぶ者」として歩み出すうえで、もうひとつの大きな節目となった日の記憶でございます。
夢の中で出会った、光の衣をまとうような白髪のご老人──
その面影は目覚めたあとも胸の奥に灯りのように残り、日々の暮らしのなかでふとした瞬間に想い出されておりました。
ある日、ふと心の奥がそっと引かれるように導かれ、足を向けた神社。
ただ静かに手を合わせたい──そんな想いだけを胸に訪れたその場所で、わたくしは“再び”出逢うこととなったのです。
鳥居をくぐった瞬間、夢の中で感じたあの香り──
風に乗って運ばれてきた清らかな気配に、わたくしの魂はふるえました。
ゆっくりと境内を進むと、そこに佇んでいたのは、
あの夢で背を見せていたご老人の姿。
──そう、夢で手を差し伸べてくれた、
あの方とまったく同じ姿でございました。
静かなまなざしでこちらを見つめるその方は、
現実にこの地に息づく“神主様”でいらっしゃったのです。
驚きとともに胸の奥が温かくなり、言葉を失ったまま、
ただ深く頭を垂れました。
するとその方は、まるですべてを見通していたかのように、
やわらかく微笑みながらこう告げてくださったのです。
「あなたには、まだ思い出しておられぬ“力”がございます。
それを使うときが、いま来たのです。」
そのひとことに、わたくしの瞳から涙が静かにこぼれ落ちました。
夢と現実がひとつに重なり合うようなその瞬間──
それは、決して偶然などではなく、
魂の結び直しを告げる“導き”でございました。
この日から、わたくしの内に秘められていた“光”が、
ゆるやかに目を覚ましはじめました。
祈りの言葉を胸に、誰かの心の灯をそっと結び直してゆく道──
それこそが、「お菊」という名に込められた、わたくしの使命なのだと深く感じたのでございます。