ある日、友人とお茶をしていた主婦のAさんは、先日契約した掃除機の話を切り出しました。
「この前、突然訪問してきたセールスマンに勧められて、つい高い掃除機を契約しちゃったの。でも、クーリングオフで取り消せるって聞いたのよ」
すると一緒にいた友人Bさんが首をかしげます。
「え、じゃあ私がこの前ネット通販で買ったエアロバイクもクーリングオフできるの?」
さて、ここで問題です。
二人のケース、どちらもクーリングオフはできるのでしょうか?
クーリングオフができる契約
クーリングオフが認められているのは、消費者が冷静に判断する余裕を与えられにくい契約です。
訪問販売(突然来たセールスで契約)
電話勧誘販売(電話で強引に契約)
マルチ商法(連鎖販売取引)
先物取引や投資まがいの勧誘
一部のエステや学習塾の契約
こうした場合は、原則 8日以内 に書面で通知すれば契約をなかったことにできます。
👉 つまりAさんの「訪問販売の掃除機契約」はクーリングオフ可能です。
クーリングオフができない契約
一方で、すべての契約にクーリングオフが使えるわけではありません。
通信販売(ネットショッピング・カタログ通販など)
自動車の売買契約
その場で使い切ってしまう消耗品(食品など)
3,000円未満の現金払いの契約
これらは「自分で比較検討する余地があった」と判断され、原則としてクーリングオフは認められません。
👉 したがってBさんの「ネット通販で買ったエアロバイク」は残念ながら対象外です。
一目でわかる!クーリングオフの対象一覧
まとめ
・クーリングオフは「冷静に判断できなかった契約」に適用される。
・ネット通販や自動車売買などは対象外。
・期間は原則8日以内(マルチ商法は20日以内)。
Aさんの契約は取り消せるけれど、Bさんは対象外…。
こうした違いを知っているかどうかで、後の安心感は大きく変わってきます。
おわりに
クーリングオフについて詳しくは独立行政法人国民生活センターのサイトをご覧ください。
クーリングオフは、ハガキに「特定記録郵便」または「簡易書留」など、発信の記録が残る方法で郵送して行うこともできます。ただその際は、必ずコピーや送付の記録は一緒に保管しておきましょう。
内容証明郵便は、①内容の写し(謄本)が手元およびに残る、②「配達証明」を併せることで、相手方が受け取ったことを証明できるので、より確実にクーリングオフをすることができるでしょう。
次回は「実際にクーリングオフをする方法」を、具体的な通知文例とともに解説していきます。
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