初めまして、レコーディング・ミキシングエンジニアのNAka(ナカ)です。
普段は歌手や声優、アイドル、V Singerなど幅広くレコーディング・ミックスに携わっています。ココナラでは歌い手さん、V Singerさん向けに【歌ってみた】のボーカルミックスのサービスを出品しています。
※このブログは娯楽コンテンツです。
[挨拶 おわり]
表題のとおり、宅録環境で良い歌を録るにはどうすればいいか考えてみました。
結論から書きましょう。
「跡部様のタペストリーの前で歌ってください」
...大真面目ですよ、もちろん。
跡部景吾(あとべけいご)
テニス漫画「テニスの王子様」の登場人物。人気投票では女性票も男性票も入る言わずと知れた人気キャラ。原作、面白いから読んで。
① 良い歌ってどんな歌?
みなさん「良い歌」録りたくないですか?
ということで、まずは良い歌の定義をしておきましょう。
・音割れしていないこと
・不要な部屋鳴りが入っていないこと
上にあげた2つは確かに"良い音"をレコーディングをする際に気をつけなければいけないことですが、"良い歌"の条件ではないと思うわけです。
"良い音"と"良い歌"は分けて考える必要があります。
私が思う良い歌は「歌っている姿、ステージが想像できる歌」です。
(良い歌の定義は十人十色だと思いますので、この記事においては私の思う良い歌が正義ということで何卒。)
そこで私が提案するのが「"推し"のタペストリーの前で歌う」方法です。
・・・ん?
② 聴かせたい相手を間違えないこと
そこで私が提案するのが「"推し"のタペストリーの前で歌う」方法です。
[前回のあらすじ おわり]
だって無機質な吸音材の前で歌うより、目の前に"推し"がいた方がテンション上がると思いませんか?
というか、真っ黒なスポンジの壁が目の前にあるのってテンション下がりませんか?
私は吸音ブース苦手なんですよ。圧迫感があって。
・・・話を戻しましょう。
良い歌=「歌っている姿、ステージが想像できる歌」について考えてみます。
好きなバンドの曲を聴いて、想像してみてください。
小さな部屋で真っ黒なスポンジに囲まれて歌ってる姿...カッコいいと思いますか?
会場をお客さんで埋めて、堂々としたパフォーマンスを披露する姿を想像したくないですか?
歌詞と曲が生み出す情景に身を委ねたくないですか?
プロの歌が私たちに素晴らしい景色を見せてくれるのは、聴いてくれるお客さんを想いながら歌っているからだと思います。
歌詞や曲が持つ情景をイメージして歌うのは、きっとお客さんにその景色を共有したいからです。
誰もマイクに歌を聴かせたくて歌ってないはずです。
いざRecボタンを押したとき、あなたは何を考えていますか?
・歌詞を間違えないようにしよう
・歌い出しがずれないように注意しよう
それはまだレコーディングするときではないです。
何度も聴いて、歌って、まずは曲を身体に叩き込みましょう。
あなたの歌を聴いてくれるリスナーのことを想像しながら歌えたとき、きっと良い歌が録れているはずです。
私が今考えていることは「我ながら良いこと言うじゃん」です。
邪念が入りました。まだブログを書くときではなかったかもしれません。
③ アイドルのレコーディングの話
せっかくここまで読んでもらえたので、私だから伝えられることも書いてみようかなと思います。
お仕事でアイドルの歌を録らせていただく機会が多いのですが、観察してみた傾向としてざっくり3パターンに分けられました。
・緊張知らず!歌いながら軽く踊ったりしてる!!
・THE真面目!目の前のマイクに全集中!!
・レコーディングやばい!無理無理、緊張で震えるやばい全然声出ない〜〜!!
で、レコーディング現場にはエンジニアの他に「ディレクション」という歌の表現を欲しい方向に導いたりテイクのOK/NGを判断する専門の人がいるんですけど、OKが出やすいのは圧倒的に1つ目のパターンです。マイクで声が止まらずにしっかりこちらまで届く、感情が乗った歌になります。
2つ目は大抵「リラックスして」「もう少しテンション高く」という指示が入ります。テイク数を重ねてしまうので最後は喉の消耗との戦いになります。
3つ目のパターンは緊張を和らげられなかったこちらの落ち度なので、もう反省しかないですね。
私はアイドルのレコーディングをするとき、ほぼ毎回「曲のお披露目楽しみですね。目の前にお客さんがいて盛り上がってるのを想像しながら歌ってくださいね。楽しく元気にいきましょう〜」と声掛けします。
どれくらい効果があるか分かりませんが、真っ黒な吸音材の先に少しでも自分色のペンライトが見えてたらいいなと思ってます。
私が今考えていることがわかりますか?
そう、「我ながら良いこと言...
④ 本日の結論
「歌っている姿、ステージが想像できる歌」を録るには、その歌を聴いてくれる人の存在が不可欠です。
というわけで、最初に書いたことにつながります。
「跡部様のタペストリーの前で歌ってください」
別に跡部様じゃなくてもいいんですけど、私のおすすめは跡部様です。
例えば、あなたの推しがフリーレンだったとしたらどうでしょう?
「ヒンメルならこう歌った」と言って録り直しを要求してくるかもしれません。
Snow Manの目黒蓮だったらどうでしょう?
見惚れて歌に集中できないかもしれないですよね。
跡部様はあなたの歌を聴いてくれます。ちょっとピッチやリズムがよれてしまっても、あなたがそのテイクに全力を出したなら跡部様は笑ったりしません。そして、全て録り終わったとき、あなたに惜しみない拍手を送ってくれるでしょう。
それはまさしく、あなたの歌を待っているリスナーの姿です。
あなたの録音環境はどうですか?
マイクの前に真っ黒な景色が広がっていませんか?
リフレクションフィルターを置いたり、壁に吸音材を貼って録り音を良くしようとするあなたの努力は間違っていません。
その努力の上に1枚、推しのタペストリーを飾ってみませんか?
ポップガードやマイクに向かってではなく、その先にいるリスナーに向けて歌ってみてください。
推しのタペストリーの前で録ったよって方は、ぜひ私に聴かせてくださいね。