働き方問題 公務員試験論文例題

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働き方問題 例題
人口減少社会における労働力不足の解消に向け、不当な重労働を課すことなく生産性を向上させるための施策として、従前の働き方の見直しが不可欠である。労働者が職場や仕事に対し建設的な姿勢を見出せない状態を改善する働き方改革を実現する上での課題や取組などを論じなさい。

次に、一般的に陥ってしまいがちな列挙形式答案を提示します。一部に不具合があるため、それを添削することで、公務員として相応しい着眼点を養います。そして適宜、自分の構成メモも修正してみましょう。
これは、昔の基準であれば合格レベルとされたかもしれません。しかし、今では減点される要素を多く含んでいます。さあ、採点者になったつもりで、この答案を添削し、何がダメなのかを考えてみましょう!

<旧来型列挙形式答案>
 良好な職場環境はブラック企業を根絶するところから始まる。ブラック企業は、労働者を酷使・差別し、使い捨てにする企業を総称する用語である。その形態は様々であるが、長時間労働を強制する、職場で賃金不払いやパワーハラスメントが横行しているなど、働く人々の健康や精神を害する過酷な労働環境になっていることが多い。特に長時間労働の強制については過労死やうつ病による自殺につながることもあり、大きな社会問題となっている。このようなブラック企業は、就業後3年内の離職率が極めて高く、年齢構成では30~40代が極端に少ないなどの特徴を有している。金融危機の影響で就職難が深刻化した2000年代後半から、労働者、とりわけ若年労働者を蝕む新たな社会問題として急速に出現してきた。では、このような現状を踏まえ、若者が安心して就労できるようにするため、行政はいかなる対策を講じるべきか。以下具体的に述べる。
 第一に、企業に対する対策として、労働法ないし労働関連法規を遵守させる取組みを行う必要がある。日本は欧米とほぼ同レベルの労働法制が整備されているにもかかわらず、実際のところこれらがあまり遵守されておらず、法制度と現実の運用との間に齟齬が生じている。そこで、働き方の見直しに向けた企業への働きかけや、長時間労働が疑われる事業所に対する監督指導を継続的に行っていく必要がある。この点、厚生労働省は、長時間労働や賃金不払いなど法令に違反した疑いで送検された企業の一覧を作成し、公式サイトで公表している。今後はこのような調査を各自治体でも行い、法令違反を犯している事業所に対しては厳正な態度で臨むべきである。一方、ブラック企業ではないことを企業側から提示し、それに対して優良企業である旨の認定を与える制度も併せて用意していく必要がある。このような優良企業の認定を受けられれば、就職活動中の若者へのアピールにもなるため、職場内の労勳環境を見直すきっかけとして有効に機能するであろう。
 第二にこれから就職をする学生に向けた取組みを行う必要がある。ブラック企業は、学生の法制度に対する無知や社会状況に抵抗しない態度につけ込んでくる傾向が強い。例えば、外部からは認識しにくい形で給料に長時間の残業代を忍び込ませたり、入社直前になって急きよ「最初は契約社員で」などと話をすり替えたりしてくるケースが挙げられる。若者がこのような企業で認められようと努力すればするほど、心身ともに追いつめられてしまう。そこで、ブラック企業に就業しないことこそが予防的観点からは重要になってくる。そのため、行政はリーフレットの作成・配布やセミナーの開催を通してブラック企業の実態や弊害などを広く発信していくことが求められる。また、教育という視点で働くことの意味や労働者の権利などを理解させておくことも重要であるため、高校や専門学校、大学などの教育・研究機関で労働法制や労務管理に関して学ぶ機会を設けることも必要であろう。
 第三に、啓発活動として、ブラック企業は許さない」という社会的風潮を作り出していく取組みが必要である。これにはマスコミやSNSなどを利用した呼びかけやイメージ戦略、有識者によるシンポジウムの開催、NPOなどとの連携か不可欠である。また、現にブラック企業で働く人々の悩みを解決するべく、各自治体において相談窓口を設置したり、電話相談を受け付けたりする体制を整える必要がある。この点については既に多くの自治体で行われてはいるが、今後は相談員の更なる質の向上が課題になってくるであろう。ブラック企業対策に先進的に取り組む自治体とノウハウや情報を共有するためには、自治体相互の定期的な合同研修の場が必要になるのではないだろうか。さらに行政は、公益通報窓口の周知徹底を行うべきである。自治体は労働者からの公益通報や相談を受ける窓口を設置しているが、それを知らないために泣き寝入りをしてしまう労働者も多い。そこで、厳正かつ適切な処分または勧告につなげていくため、通報の対象となる法令違反行為や窓口の活用法などを周知していく必要がある。
 ブラック企業を野放しにすれば、今後より多くの若者の将来が危険にさらされることになる。そして、そのような社会では自分らしいライフスタイルを全うすることはできない。行政は今後とも社会全体との協働の下、ブラック企業の根絶に向けて力を注いでいくべきである。

<添削>
このような調査を各自治体でも行い、法令違反を犯している事業所に対しては厳正な態度で臨むべきである。一方、ブラック企業ではないことを企業側から提示し、それに対して優良企業である旨の認定を与える制度も併せて用意していく必要がある。このような優良企業の認定を受けられれば、就職活動中の若者へのアピールにもなるため、職場内の労勳環境を見直すきっかけとして有効に機能するであろう。
→いわゆるブラック企業は小手先の繕いに長けているため、ブラック企業ほど巧妙に表面データの辻褄を合わせて優良企業と見せかけます。外部からの規制や働きかけは実質的にはあまり有効ではありません。やはり内部から変えていくことが、従業人の意欲につながり、結果として企業の業績につながる、と言う流れを周知させていくことが大切です。
第二にこれから就職をする学生に向けた取組みを行う必要がある。ブラック企業は、学生の法制度に対する無知や社会状況に抵抗しない態度につけ込んでくる傾向が強い。例えば、外部からは認識しにくい形で給料に長時間の残業代を忍び込ませたり、入社直前になって急きよ「最初は契約社員で」などと話をすり替えたりしてくるケースが挙げられる。若者がこのような企業で認められようと努力すればするほど、心身ともに追いつめられてしまう。
→一方でお金よりもやりがいを重視する者も存在します。問題はそのミスマッチをどう防ぐかです。
そこで、ブラック企業に就業しないことこそが予防的観点からは重要になってくる。そのため、行政はリーフレットの作成・配布やセミナーの開催を通してブラック企業の実態や弊害などを広く発信していくことが求められる。
→行政が発信することで逆にブラック企業が悪用し、そこの部分のみを繕って強調するでしょう。一筋縄ではいかないことを念頭に置き、行政の取組みを逆手に利用されないように注意しなければなりません。
但し、また、教育という視点で働くことの意味や労働者の権利などを理解させておくことも重要であるため、高校や専門学校、大学などの教育・研究機関で労働法制や労務管理に関して学ぶ機会を設けることも必要であろう。
→学んで行動に移せる学生はそもそも被害に遭わないため、学ぶだけではなく、そこから行動に移す支援が別途必要となります。
啓発活動として、「ブラック企業は許さない」という社会的風潮を作り出していく取組みが必要である。これにはマスコミやSNSなどを利用した呼びかけやイメージ戦略、有識者によるシンポジウムの開催、NPOなどとの連携が不可欠である。
→風潮を作り出すための取り組みが抽象的過ぎます。具体的にどのようなことに取り組むかの中身が必要です。
今後は相談員の更なる質の向上が課題になってくるであろう。ブラック企業対策に先進的に取り組む自治体とノウハウや情報を共有するためには、自治体相互の定期的な合同研修の場が必要になるのではないだろうか。
→合同研修が必要と言っていますが、何を研修するのか中身が全く提示されていません。
ブラック企業を野放しにすれば、今後より多くの若者の将来が危険にさらされることになる。そして、そのような社会では自分らしいライフスタイルを全うすることはできない。行政は今後とも社会全体との協働の下、ブラック企業の根絶に向けて力を注いでいくべきである。
→ブラック企業を根絶すること、より良い職場環境が構築されることはイコール関係ではありません(世の中の職場がブラックか優良かのどちらかであれば、残りは優良職場となりますが、殆どの職場はグレーゾーンにあるため、線引きができません)。論点を絞って深く論じることは大切ですが、内容が設問の要求と異なってしまうと全く点数がもらえません。

(参考)例題模範解答例
労働者が職場や仕事に対し建設的な姿勢を見出せない原因には、①仕事に意義を見出せない、②仕事を一人で上手く処理し切れない、と言う二点が存在する。かつては①は賃金や立身出世、②は残業など長時間労働で取り組むことで補っていたが、価値観の変容により「やりがいを持って効率良く」仕事をこなすことに価値を置く若者が増え、職場環境の改善が要請されている。本稿では、1、旧来型の改善とその問題点を述べ、2、やりがいそのものを見出す方法、3、積極的ワークシェアリングの導入を提案する。
1、旧来の価値観による職場改善とその問題点
 現在の職場改革は、上層部が旧来型の価値観で仕事を捉えているため、賃金や時間と言ったものに対しての不満と結論付けて処理をしている傾向がある。そのため、賃金を上げる、もしくは残業時間を減らすことで解決を試みている。かつては、職場における不満は賃金が低いことや、勤務時間が長すぎると言ったものが主であった。しかし、若い世代は、お金よりもやりがいに価値を置き、やりがいのない作業は短時間でも苦痛を覚え、反対にやりがいのある仕事であれば時間や労力は厭わないと言う者が多い。よって、形式的に解決を図るのではなく、仕事そのものの捉え方に対するアプローチが必要である。
2、趣旨を共有し仕事にやりがいを見出す
 やりがいを得られない要因は、仕事が与えられたノルマをこなすだけの機械的な作業になっていることが大きい。これまでは、やりがいを得られない作業を強制される心理的苦痛と賃金との衡量および苦痛を軽減する休暇の取得に焦点が当てられていたが、根本的解決は「仕事にやりがいを見つけること」であり、ここではその方策を提案する。
 ある仕事を受けるに際し、自分の役割が組織や顧客に対してどのように貢献するのかを必ず提示するようにシステム化する。これまでは、仕事のやり方自体の指導はされてきたが、何故この仕事が必要なのか、この仕事をすることでどのような利点が生まれるのか、と言った意義の部分の説明はほとんどなかった。情報漏洩の危険を考慮し、必要最低限の情報しか与えられてこなかったが、そのために何のために仕事をしているのかが見えにくい状態であった。しかし、意義を確認してから仕事に取り組む、と言う極めてシンプルな方法で、個人はやりがいを見出し、且つ、同じプロジェクトに従事する者がその仕事の意義を共有することでチームの結束が強まり、成果が上がる。情報漏洩の防止については、機密事項に関してはミーティングの際に紙面で共有し、その紙を必ず回収するなど、共有範囲を制限することで対処可能である。制限のある関係の中で情報を共有することで、特別な存在であることを自覚させる効果も期待できる。
3、積極的ワークシェアリングの導入
 現在もワークシェアリングを導入している職場は多いが、チームの人数を多くして仕事を割り振り、一人当りの労働時間を削減する形式的なものになっている。本来のワークシェアリングとは仕事を分散することではなく、積極的に仕事を共有し、チーム全体で達成していくことを指す。
 かつては仕事を分割することで、自らの受け持つ仕事の全体から見た位置付けが分からないまま、ただ割り振られた作業をこなすのみであった。労働時間が減ってもこれではやりがいは見出せない。更に近年、普及しているリモートワークは遠隔で仕事ができる反面、やりがいや意思共有に分断が起きやすい。1にて提案した、趣旨の共有を徹底し、携わる全員が全体像を把握することで、各々の仕事の全体から見た位置付けを理解することができる。そして皆が全体を把握していることで、受け持ち作業の食い違いを防ぎ、工程の遅滞を補い合いながら、全体で最も効率良く仕事を仕上げることが可能となる。これらの、全員で協力して一つの仕事を達成するシステムがやりがいを生み出し、生産性を向上させる。

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