高齢社会問題 公務員試験論文例題

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高齢社会問題 例題 
東京都では、2020年頃を境に人口が減少に転じることが予測されています。一方、現在すでに20%を超えている高齢化率は、今後も更に上昇を続けることが見込まれています。
特別区が、これまで経験したことのない人口減少社会、高齢社会を迎える中で、暮らしやすい地域はどのようなものかを述べた上で、それをどのように実現していくか、あなたの考えを論じなさい。

次に、一般的に陥ってしまいがちな列挙形式答案を提示します。一部に不具合があるため、それを添削することで、公務員として相応しい着眼点を養います。そして適宜、自分の構成メモも修正してみましょう。
これは、昔の基準であれば合格レベルとされたかもしれません。しかし、今では減点される要素を多く含んでいます。さあ、採点者になったつもりで、この答案を添削し、何がダメなのかを考えてみましょう!

<旧来型列挙形式答案>
 わが国における高齢化率は極めて高く、政府の推計によると、2050年には1人の若者が1人の高齢者を支えなければならない時代を迎えると予想されている。このような超高齢社会の下、高齢者が抱えている問題とは何か。
 第一の問題としては、就業意欲があるにもかかわらず、雇用につながりにくいという現状が挙げられる。社会保障制度による所得填補が難しくなってきている以上、行政は高齢者の雇用の機会を創出する責務があると考える。第二の問題として、健康上の問題に不安を抱えている高齢者が多い点が挙げられる。高齢者が第二の人生をいきいきと全うするためには健康維持が重要となる。特に健康寿命をいかに延ばしていくかを考えなければならない。第三の問題としては、身近に頼れる人がおらず、ないしは地域とのつながりを上手く持てずに孤立してしまう高齢者が多い点を挙げたい。これでは人が生活する上で最も重要となる生きがいを喪失する高齢者が増えてしまう。では、このような問題を解決していくために、行政はどのような取組みをしていくべきか、以下具体的に述べる。
 第一の高齢者の雇用問題については、高齢者の就業意欲が高いことから、高齢者の就業支援体制を拡充する取組みが必要である。この点については、既に法律が整備されており、ほとんどの企業が継続雇用制度を採用している。また、各自治体も「シルバー人材センター」や「シルバーワーク」などにおいて就労に関する相談や職業紹介を行い、高齢者の雇用を行う事業所に対して助成金を支給している。今後は、各人のライフスタイルに合わせて就業できるよう、在宅勤務やフレックスタイム制の導入を呼びかけるなど、場所的、時間的な勤務形態の自由化を推進していくことが求められる。さらに、高齢者の職業選択の幅を広げるべく、各種職業訓練を実施し、今までとは違う職能を身につける機会を設けたり、独立開業支援を行ったりしていく必要がある。
第二の高齢者の健康問題については、まずは高齢者の介護予防、生活機能の維持、向上を実現していくために、健康づくりの機会を提供する取組みを行うべきである。そのためには、健康づくりの基礎知識や高齢でも取り組みやすく続けやすい運動の紹介、参加しやすい健康づくり教室の開催などの取組みが必要である。これは、行政の力だけでなく、医療機関やボランティア団体を中心とする地域社会全体との協働により実現していくことが大切になる。また、行政としては、今後とも医療、介護、介護予防、住まい、生活支援の5つのサービスが身近な地域で包括的に確保される体制である「地域包括ケアシステム」の構築に努めるとともに、国民の利便性向上の観点から、医療分野における情報の活用を推進していくことも必要である。例えば、医療や介護の現場での情報共有により患者の利便性を高める地域医療連携の取組みの推進や、医療情報の分析により健康管理を行うサービスの構築に努めていくべきであろう。
 第三の高齢者の孤立の問題については、行政は高齢者が参加しやすい行事やイベントを積極的に企画、運営していく必要がある。具体的には、町内会や自治会の主導による見守り・安否確認のシステムを構築することはもちろん、生きがいや地域とのつながりを持ちつつ生活することが高齢者の精神面の充実につながることから、大学やNPOなどと連携し、生涯学習の場を多く設けていくべきである。これにより、同年代だけでなく、異なる世代との交流も深まり、それがひいては地域の結びつき自体を強めていくことにつながる。現在、各自治体は様々な生涯学習に関する取組みを行っているが、今後は高齢者の参加率をいかに高めていくかという視点が重要になる。
 高齢化は、少子化と相まって、労働力人口の減少による経済の低迷や、社会保障制度全般の崩壊など、深刻な社会問題を引き起こすことが予想される。今後行政は、高齢化の流れを前提にしつつ、いかに高齢者がいきいきと暮らせる社会を実現していくかを考えていかなければならない。

<添削>
法律が整備されており、ほとんどの企業が継続雇用制度を採用している。
→報酬面で大幅に減額となる場合が多く、高齢者から不満の声があります。企業側は費用対効果が悪いため、できれば高齢者よりも若い人を雇いたいというのが本音です。
各自治体も「シルバー人材センター」や「シルバーワーク」などにおいて就労に関する相談や職業紹介を行い、
→高齢者用の相談窓口は、朝から晩まで居座る高齢者が出てくるなど、問題が生じやすいため、その対処まで考えて提案しましょう。
各人のライフスタイルに合わせて就業できるよう、在宅勤務やフレックスタイム制の導入を呼びかけるなど、場所的、時間的な勤務形態の自由化を推進していくことが求められる。
→これは寧ろ若い世代の働き方を高齢者に押し付けることになってしまいます。
さらに、高齢者の職業選択の輜を広げるべく、各種職業訓練を実施し、今までとは違う職能を身につける機会を設けたり、
→今まで仕事一筋だったため、新しいことに適応できない高齢者が問題となっています。訓練すればすぐに職能を身に付けられるような人を想定してはいけません。
医療機関やボランティア団体を中心とする地域社会全体との協働により実現していくことが大切
→協働は大切ですが、具体的な方法を提示しないと単なる丸投げになります。
医療や介護の現場での情報共有により患者の利便性を高める地域医療連携の取組みの推進や、医療情報の分析により健康管理を行うサービスの構築
→情報共有は有効ですが、同時に悪用の恐れもあります。セキュリティ面にも言及しましょう。
大学やNPOなどと連携し、生涯学習の場を多く設けていく
→また丸投げです。外部機関と連携する際は特に、趣旨や目的、方法を具体的に明示しないと実行に移す際に食い違いが生まれます。
異なる世代との交流も深まり、それがひいては地域の結びつき自体を強めていく
→世代間の交流は理想ですが、実際には価値観の相違から上手く機能しないことが多いため、交流の場を作れば交流して結び付きが強まる、というのは短絡に過ぎます。
各自治体は様々な生涯学習に関する取組みを行っているが、今後は高齢者の参加率をいかに高めていくかという視点が重要
→現在、生涯学習の高齢者の参加率はとても高くなっており、寧ろ、高齢者ばかりで他の世代の参加が滞っていることが課題となっています。
経済の低迷や、社会保障制度全般の崩壊など、深刻な社会問題を引き起こすことが予想される。
→深刻な社会問題と書いたのに、これらの解決策が論文中に一切提示されていません。深刻になるなら、それに対して対策を考えるのが公務員の務めです。

(参考)例題模範解答例
これまでは、若年・壮年世代が高齢世代を支える構造で社会が成り立ってきたが、人口減少および超高齢社会の到来により、若者の負担を減らし、高齢者の自立を促す方向に移行していく必要が生じている。本稿では、1、老後と言う価値観自体を転換する必要性、2、高齢者自立のための新たな市場形成を活動支援する施策を提案する。
1、「退職して老後」を転換
日本は終身雇用制が主流であり、定年まで働き、退職をして退職金と年金で老後の短い余生を送ると言う概念が強かった。だが、平均寿命および健康寿命が延び、人生百年時代が現実になると、老後が従来より長い見通しとなる。先行き不安から文化健康活動よりも労働現場への再雇用を選択する者も増えているが、AIなどの技術の発達により需要が低下して高齢者再雇用の市場は縮小すると予想される。しかし、何も取り組むことがない状態は生き甲斐を失い心身を損う恐れがある。人口減少により年金の賦課方式や社会保険制度が現状のままだと成り立たなくなると言う指摘もあり、旧来の「定年退職後の年金余生」と言う概念を転換し、高齢者も自ら働いて生涯現役の「自立した生活」に移行していくことが望ましい。「学業」→「勤労」→「残りの老後・余生」と言う人生の捉え方ではなく、人生全体の中で、それぞれの時期のどこに「学業」「勤労」「自己実現」を配置するかフレキシブルにデザインしていく発想に変えて社会を設計し直すことが求められる。
2、高齢者の新たな市場を形成を支援
生涯現役と言っても、旧来の職場に留まり続けることは、世代交代を妨げる。よって、老年期を一つの独立したライフタームとして捉え、そこに新たな市場を形成したい。体力や先端技術では高齢者は若年層に劣るかもしれないが、芸術や芸能、学術などの分野では年齢に関係無く活躍することが可能である。伝統のある分野では、高齢にならないと一人前と認められないものもあり、高齢期での活躍のために壮年期に訓練を受けて自己投資していく選択も生まれる。かつては高齢になってから一人前になるのは困難であったが、健康寿命の延伸によって文化的な活動に年齢による壁が無くなりつつある。
高齢者の文化的活動による市場形成を、行政として支援することを提案する。現状においても高齢者の文化的活動を促す取り組みはなされているが、参加者を募ることを重視するあまり、公共施設などで無料や低額費用での芸術や芸能、学術分野の催しを行うことが多い。利用者にとっては、その低料金が利用基準となる。高齢者が手軽に講座を利用できる反面、料金の低止まりが起きており民間の市場が形成され得ぬ要因となっている。
よって、公共施設では裾野を広げる入門講座および指導者養成講座のみに限定する。一方で、一定レベルに達した者は指導者として独立活動を促し、助成金などの資金面や広報面で支援をする。技能はあるがマーケティングのスキルがない者も多いので、必要な人材をマッチングさせ自立運営を促す。また、指導者として独立した者を今度は公共施設での入門講座講師として採用し、生徒獲得の足がかりとさせる。このようなサイクルが軌道に乗ると、民間において様々なバリエーションが生まれ、市場が活性化し高齢者の経済的自立が促進する。

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