「この話、いつ言おうか…」
誰でも一度は、そう迷った経験があるのではないでしょうか。
たとえば、営業で見積もりを提示する場面。
「実は少し高くなるんです」と言い出せず、契約間近にポロっと出す。
その瞬間、相手の心にはこう浮かびます。
「なんで最初に言わなかったの?」
同じ情報でも、先に伝えれば「誠実な説明」に。
後に伝えれば「言い訳」「ごまかし」と受け取られてしまう。
これはビジネスだけでなく、人間関係全般に通じる大事な原則です。
悪い情報こそ“最初”がカギ
営業の現場では特に顕著です。
都合の悪い情報、デメリット、注意点。
これらを先に出しておくと、逆にメリットの信頼性がぐっと増します。
「ここだけ注意してください。でもそれ以外の点では、こんなに効果があります。」
こんな風に、両方提示されると「この人、信用できるな」と感じるものです。
これは、心理学でいう”両面提示”のテクニックにも近いですね。
デメリットも伝えることで、聞き手は「きっと正直に話している」と感じ、プラスの情報にも納得感が生まれます。
自己紹介も「完成形」より「未完成の物語」が刺さる
「はじめまして」の場面では、誰でも緊張します。
だからこそ、“自分を大きく見せたくなる”のは当然のこと。
でも、そこで一歩踏み込んで自分の失敗談や、苦手なことをさらけ出してみると、驚くほど場がなごみます。
例えば——
「昔、緊張しすぎて名刺を逆さまに渡したことがあるんです(笑)」
これだけで、一気に相手との距離が縮まり、「この人、正直な人なんだな」と思ってもらえる。
完成したパズルを見せられても「へぇ~」で終わりますが、
完成までの物語には、人は心を動かされます。
伝え方のコツ:順番を意識するだけで、信頼はつくれる
つまり、「何を言うか」よりも「いつ、どう言うか」が大切。
不利な情報こそ、先に出す
失敗談や弱みを最初に話すことで、信頼の土台をつくる
メリットは、正直さの上に置くと、より説得力が増す
これは、営業・プレゼン・自己紹介・人間関係のあらゆる場面に応用できる、伝え方の黄金ルールです。
最後に
言いづらいことを、あえて最初に言う。
それは時に、勇気がいります。
でも、その一言が“信頼”をつくり、その後の関係を大きく変えてくれます。
説明になるか、言い訳になるか。
その違いは、ほんの少しのタイミングだけなんです。