「最近の若者はすぐに辞めてしまうんです」
そんなご相談を、私は経営者や管理職の方からよく受けます。
でも、私はそれを“根性のなさ”や“甘え”の問題とは思っていません。
本質は、「時代の変化によって価値観が大きく変わったこと」にあります。
■時代が違えば、価値観も違う
今、企業や組織の中核を担っているのは、50~70代の世代です。
この世代の多くは、モノや情報が不足していた時代に育ちました。
当時は「まず生きること」「家族を養うこと」「安定した生活を得ること」が最優先でした。
報酬のために、好きではない仕事にも我慢して取り組む。
そんなスタイルが、当たり前だったのです。
マズローの欲求段階説でいえば、「生理的欲求」「安全の欲求」などが働く動機になっていた時代です。
■今の時代、スタートラインが違う
一方、現代はどうでしょうか。
モノや情報は溢れ、生活インフラも整っています。
衣食住に困ることなく育った若い世代にとって、仕事は「生きるため」ではなく、「どう生きたいか」を問う場になっています。
つまり、動機は外発的なもの(お金、安定)から、**内発的なもの(成長、承認、自己実現)**へとシフトしているのです。
■「成長できるか」「大切にされているか」が働く理由
今の従業員が職場に求めているのは、
自分の成長が感じられること
自分の存在が認められ、大切にされていること
この2点が大きなキーワードです。
それが感じられない職場では、いくら報酬があっても働き続ける理由にはなりません。
なぜなら、現代は**「誰でもチャンスがある時代」**だからです。
■誰にでも、可能性がある時代
インターネットが普及し、発信・ビジネスのハードルが劇的に下がりました。
やろうと思えば、誰でも低コストでフリーランスや副業を始められる時代です。
実際に、スキルや経験を積んだ30~40代の社員が、
「会社員でいるよりフリーランスの方が稼げる」と独立していくケースも増えています。
■離職を防ぐために必要なこと
では、どうすれば離職を防げるのか。
ポイントは、「内発的動機づけを高める環境」を整えることです。
そしてもうひとつ。
「あなたのことを大切に想っている」というメッセージを、コミュニケーションと制度の両面で伝えることです。
■「大切にされている」と感じてもらうために
①コミュニケーションの文化
否定しない、受け入れる
出来ていることに目を向ける(Yesセット)
日々の声かけや対話を大切にする文化
②人事制度の整備
透明性のある評価指標
ミッションとつながる行動目標の設定
ライフイベントに寄り添う柔軟な休暇制度と周囲の理解
特に30~40代の社員は、家庭や育児・介護などのライフイベントとキャリアの転換点が重なりやすい世代です。
彼らが「ここで働き続けたい」と思える柔軟さと成長の見通しを、企業が用意できるかどうかが鍵になります。
■まとめ:価値観の違いを「否定」ではなく「理解」する
離職は、働く人の“やる気のなさ”ではありません。
「その人に合った理由がないだけ」かもしれません。
時代が変われば、働く理由も変わります。
価値観の違いに気づき、受け止め、そしてそれを越えていくこと。
そこから、本当のエンゲージメントが生まれるのではないでしょうか。