このシリーズを読むのが2回目以降の方は、目次より、4.本編メッセージ~短所を認める 自己受容から生まれるもの~へお進みください。
初めての方は、このまま読み進めてください。
1. なぜこのシリーズを始めたのか
人生の中で、成し遂げたい欲求は年齢とともに変化します。人生の“正午の時”と言われる40歳になると、私たちは様々な悩みや課題に直面します。それはキャリア、家族、人間関係、自分自身の在り方など、多岐にわたります。
なぜならば、ある時は、配偶者であり、ある時は親として、ある時は子として、ある時は管理職をはじめとする職場の中心として、ある時は地域活動の中心として、ある時は保護者として等、自分自身の社会的役割が多く、悩みやすい時期であるとも言えます。毎日、忙しい忙しいと感じますよね。
また、仕事や家庭生活での安定を求めつつも、自己成長や新たな挑戦への欲求が葛藤する時期ではないでしょうか。特に30代後半~40代では「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」を経験することがあると言われています。
私自身も、成し遂げたい欲求に変化がありました。安定を求めて、安定した生活をしていた自分に「それでいいのか?それでどうした?」等と自分自身の生き方に疑問を持つようになり、働いていても、本質的では無い業務をやらされると、アクセルを踏んでもほとんど前進しないバスに乗せられているような感覚になりました。いつしか、アクセルを踏めば踏んだ分だけ前に進むバスに乗りたいと思うようになっていました。
人は、思考・発言・行動の3つが一致しないとストレスを感じます。心理学では”認知的不協和”と言って、不一致の場合は、調整する機能が働きます。例えば、お酒が体に悪いのは理解しているけど、今日くらいは飲んでいいかと飲んだ場合は、思考と行動の不一致が発生しています。そこで、調整機能が働いて、”今日はお祝いだから特別”とあたかも正当な理由付けをすることで、この不協和を解消しようと調整します。ですが、これは一時的な”処置”であって、問題の根本にアプローチする”対策”ではありません。そのため、無意識のうちにストレスが蓄積されます。
私もこの蓄積された不協和に耐えられず、本当の自分の欲求に従う方法を模索して、15年勤めた組織を退職して、研修講師として起業する道を選んだのです。
お陰様で、今では不協和が解消され、”嬉しい”や”楽しい”、”ありがたい”と思えることが日常的に見つけることができるようになりました。
そこで、このシリーズでは、同じような悩みを抱く40歳のあなたの悩みを受け止め、和らげ、心の余白をつくって、人生を楽しむ環境を整えるお手伝いをしたいと思っています。人生のカーナビゲーションだと思っていただけたら幸いです。また、私自身の思考の整理にもなりますので、お互いにゆっくり、心の余白をつくって、歩いていけたら嬉しく思います。
これらの悩みを解決するには、まず自分自身を理解することが必要です。あなたは、自分自身が何者であるか、すぐに説明できますか?
このシリーズでは、自分を深く理解し、心に余裕を持つためのヒントや方法を一緒に考えていきましょう。
ここでは、読者の皆さんを、「あなた」と呼ばせていただき、より近くにいるイメージで進めていきます。
2. このシリーズが向かう先
悩みと言うのは、マイナスをゼロにしたいという悩みと、ゼロをプラスにしたいという悩みがあるかと思います。共通しているのは、今どこで、どこまで行きたいのか。どうやって行けば良いのか。という事が分からないから、悩んでいます。
皆さんは、悩みがあるということをどう捉えていますか?私はネガティブに捉えていた時期もありましたが、今はラッキーくらいに思っています。
と言いますのも、実は、悩んでいることのメリットを見つけたからです。それは、「分析力が格段に上がる」という事です。
人は、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)から情報を得ます。しかし、五感の情報を全て得ようとすると、脳がパンクします。脳は、「安全・満足・快楽」が大好きなので、パンクは回避しようと働きます。現に、今あなたは「座っている」というお尻の触覚は無かったのではないでしょうか。
これは、脳の中にどの情報を優先するかを判断する機能があるからです。具体的には、脳幹網様体賦活系という部分が、それを判断しています。今のあなたは、視覚情報を優先しています。
悩みがある時は、脳幹網様体賦活系がその悩みに係る情報の優先度を上げてくれます。例えば、車を買い替えたいなと思えば、車のCMが目に付いたり、道路を走っている車が気になったりしませんか?しかし、その悩みが始まる前は、そんなことを気にしていませんでしたよね?
また、音楽を聞いたり、映画を観たり、夕日などの素敵な景色を見るにしても、悩んでいる時とそうでない時では、受け止め方に差があります。失恋した時に、感情的なメロディーを聴いて、胸に刺さったという経験はありませんか?映画を観て、泪が自然と出た時、悩んでいることがありませんでしたか?
このように、悩みは、普段気にしていなかった情報や自分自身の内に秘めた感情に気付けるようになります。その結果、「分析力が格段に上がる」のです。
言い換えれば、今まで”無意識”で見過ごしていたことが、”意識化”されたことにより、物事を多角的に捉えることが可能となり、今までと違った答えを導き出せる可能性が高まっている状態にあります。無色透明だったものが、悩んだことで、見えるようになったのです。ラッキーですね。
この分析力を使って、まずは、現在地を確認しましょう。それができたら、目的地を、それができたら、目的地までの道のりと必要な準備を一緒にしていくイメージで伴走させていただきます。
3. このシリーズを読むことで何が得られるのか
このシリーズを通じて、読者の皆さんは以下のようなメリットを得ることが期待できます。
自分の立ち位置を明確にする方法のヒントを得られる
問題解決の視野を広げるヒントを得られる
自分の価値観や目標を再確認し、前向きに進む力を養える
4.本編メッセージ~短所を認める 自己受容から生まれるもの~
今回のテーマ「短所を認める~自己受容~生まれるもの」です。
ライフマップで言うところの、現在地にあたります。
あなたには、受け入れられない短所はありますか。私は、たくさんあります。ですが、今は、受け入れたいと思っています。
その象徴が、髪の毛です。髪質は、遺伝的要素であって、変えられない「定数」であるにもかかわらず、私は変えようと25年間も努力してきました。具体的には、「くせ毛」を短所だと思って、認められない思いで15歳からずっと「縮毛矯正」をかけ続けて、せっかくの個性を隠してきました。だいたい3か月に1度、1回2時間をかけて髪の毛を真っ直ぐにします。年間4回ですので、25年間でちょうど100回かけたことになります。1回1万5千円だとして計算すると、200時間と150万円かかっています。今思えば、150万円かけて、自分の個性を隠してきたなんて、、、と思いますが、梅雨時期のイライラを解消できるので、全くの損だったとは思いません。
そんな私が、なぜ短所を認めようと思ったのか、自己受容することが「うんうんそうだよね。確かに大切だよね。」のレベルだったのが、「自己受容できないのは、損かもしれない」というレベルに上がったのかというと、「否定的な態度をしてしまう」本当の原因は、「自己受容」できていないことにあるのではないかと仮説を立てたからです。気づくのに40年かかりました。お恥ずかしい話です。
5.自己受容できないことのリスク
自分の短所を愛せないと、短所をマイナスだと捉えます。マイナスを0にするために、必死で努力します。これが問題の発端です。
マイナスを0にするためにした努力を持っていると、私は”正しい”という感情が芽生えるような気がします。そもそも正しいとか間違っているとかは存在しないのにです。
例えば、上述のような努力をした経験のある上司が、部下の短所を見つけた時に、「努力でマイナスを0にした」経験を”正しい”と捉え、部下に「もっと努力が必要」等と言ってしまうのではないでしょうか。努力自体は必要なのですが、努力の目的は、マイナスを0にするのではなく、長所をより引き立たせるためにする方が良いと私は思います。そうすることによって、”正しい”という概念を持たずに、他人と接することができます。”正しい”という概念を持ってしまうと、そうでない人とコミュニケーションを図る時に、「否定」してしまう可能性が高まります。
否定は百害あって一利無しです。否定は言葉だけではなく、体から非言語でも伝わります。例えば、視線がそれたり、ため息が出てしまったり、腕組みをしてしまうのも、否定している姿勢ではないでしょうか。心と体はつながっていますので、自然とそのような姿勢になることがあります。
漫画、「スラムダンク」を読んだことのある40歳の方は多いのではないでしょうか。主人公の桜木花道は、バスケットボールはど素人です。当然、シュートは下手です。安西先生は、桜木にシュートが下手だ。そもそもバスケットボールはシュートを決めるスポーツだ。あなたは努力が足りない。もっと練習しろ。等とは言っていませんよね。
桜木花道の長所は潜在的な運動能力の高さです。それを活かすリバウンド力は相手チームの脅威です。オフェンスリバウンドをとった時、すぐにシュートができたらどうだろうか。4点分の価値があるんじゃないか。その貢献はチームに欠かせない。しかも、相手チームはあなたが素人だと知っている。だからシュートは入らないと思っているんではないか。もし、そこでシュートを打てたらどうなる?といった具合で、主人公の長所をさらに強化するために、シュート20,000本という練習をしました。その結果、全国大会の試合を決める大事な場面で、見事そのシュートを決めることに繋がっています。
これは、仕事でも、部下を育成する40歳のあなたにとって、有益な考え方ではないでしょうか。
6.自己受容が生む好循環
自分の弱い部分を認めることができると、努力する目的が変わります。マイナスを0にする必要はありませんので、長所をさらに強化する目的で努力します。
それができるようになると、他者の価値観を受け入れることができます。なぜならば、マイナスを0にする努力をすることが”正しい”という概念が消滅するからです。特に、マイナスを0にする目的で努力していた時期に、成功体験が多いと、それを部下に押し付けたくなります。恥ずかしい話ですが、私も自分の交渉力は努力した結果だと思っていたので、その方法をそのまま部下に押し付けていた時期がありました。これでは、桜木花道のような成果は期待できません。
話をもどしますが、”正しい”という概念が消滅すると、他人を否定しなくなります。他人を否定しなくなると、他人の長所が見えるようになります。それを言葉や気持ちで表現すると、「共感」が生まれます。共感があるコミュニケーションは、人間関係を良好なものに変えていきます。
つまり、自己受容は人間関係を良好にする鍵なのです。
7.否定の始まり
私は、否定の根幹は、「防衛本能」ではないかと考えます。その防衛本能をつくっているのが、「弱い部分を認めれない自分」ではないかと思います。自分が弱点だと思っているから、それを隠そうとしたり、「弱くない」と否定したりすることに繋がっています。この時、胸は苦しいのではないでしょうか。なぜならば、心と体は繋がっているからです。
この時に起きている現象は、「認知的不協和」です。人は、「思考・発言・行動」が一致していないとストレスを感じます。ストレスが心のSOSを「痛み」で伝えます。思考は「弱い」と認識しているのに、「弱くない」と発言することによって、思考と発言の不一致が発生するのです。
弱い自分を認めることができれば、認知的不協和を発生させずに済みますね。思考・発言・行動が一致している状態は、心身の健康にとって大切なことです。健康であるからこそ、余裕が生まれます。余裕は気遣いを生みます。気遣いは良好な人間関係を育てます。良好な人間関係は、チャンスを創ります。チャンスが多い人は夢を叶える確率が上がります。
8.エンディングメッセージ
弱い自分を認めることは、決して簡単なことではありません。しかし、弱さを認めることができる人こそ、結局のところ、強いのではないでしょうか。
自分の弱さを認め、自分自身を愛し、他人の価値観を受け入れることは、とても良い人間関係を築くことに繋がります。
きっとあなたの明日を創造する大きな鍵になるでしょう!
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