2月17日の新月から、【季節の空間づくり】として定番記事を月2回お届けしていきます。
そして、その合間に【暮らしのエッセイ】や【事例紹介】も不定期でお届けしていく予定です。
定番記事が始まる前に、まずは少しずつutakata designの世界観を感じていただければと思い、今日から公開を始めます。
日々の暮らしの中で大切にしていることや、これまで携わった空間づくりのこと。
気軽に読んでいただければ嬉しいです。
クワイエットラグジュアリー
日々の暮らしの中で、本当に豊かさを感じる瞬間はどんなときでしょうか。
新しいものを手に入れる喜びも、もちろんあります。
けれど、使い込んだ道具の手触りに心地よさを覚えたり、時間を重ねた空間に安らぎを感じたり——そんな豊かさもあるのではないでしょうか。
目を引く華やかさだけではない、静謐で知的な「もう一つのラグジュアリー」。
素材の質や丁寧な仕事に価値を見出す美意識。
それが「クワイエットラグジュアリー」と呼ばれるものです。
この言葉を知ったとき、私はずっと大切にしてきた価値観に、ようやく名前がついたように感じました。
utakata designが提案する空間づくりの根底にあるのは、永く愛用できるものを選び、時間と共に育つ空間をつくること。
即物的な豊かさだけではない、心が安らぐ場所を大切にすることです。
そして、私自身も日々の暮らしで実践したいと考えています。
10年使い続けているチェア
我が家には、購入してから10年になる国産のダイニングチェアがあります。
安い買い物ではありませんでしたが、新生活をはじめるにあたり、長く使えるものを選びたいと思い、木部の美しさと座り心地に惹かれて購入を決めました。
10年経った今、その椅子の木部には艶が増し、座面の革にはからだに馴染んだ柔らかさがあります。時間がこの椅子を美しく育ててくれた、そう思います。
そして昨年、夫の読書空間のためにラウンジチェアを購入しました。私も仕事の合間にくつろぐことがあり、心を落ち着けるひとときを過ごしています。
時間と共に育つ家具を選ぶこと。それは産地を問わず、長く使う価値を理解することだと思うのです。
思い出ごと使う器
器が好きで、時間を見つけては産地まで買いに行くことがあります。
作家さんの工房を訪ねたり、窯元の直売所で手に取ったり。そうして選んだ器は、購入時の思い出と共に暮らしの中にあります。
佐賀まで買いに行った唐津焼の鉢
台湾の茶屋で出会った茶器
骨董屋で偶然見つけた昭和初期の犬山焼
使うたびに、その日の空気や思い出がよみがえります。そんな器に対しては、より大切に扱おうという気持ちが自然と湧いてくるのです。
高価なものである必要はありません。愛情を持って選び、丁寧に使い続けること。それが、モノとの豊かな関係性を育むのではないでしょうか.
家具をご紹介する際、背景もお伝えできればと思っています。
作り手のこと、素材のこと、仕上げに込められた想い。
以前、そうした話を聞いて「愛着が増しました」と言ってくださった方がいて、とても嬉しく思いました。
背景を知ることで、モノとの関係が変わる。
それは、私自身の暮らしの中でも感じていることです。
日常に触れるものを、丁寧に選ぶ
時間と共に育つもの。
思い出が重なるもの。
背景を知り、愛情を持って使い続けられるもの。
クワイエットラグジュアリーとは、そんな日常の選択の中にあるのだと思います。暮らしの中で毎日触れるものを、少しだけ丁寧に選んでみる。その積み重ねが、豊かな暮らしを育てていくのかもしれません。
utakata design 松田