あのとき、正直に話してよかった。
でも、あの瞬間の私は、正直かなり迷っていました。
ある女性からのご相談でした。
「彼とは結婚できますか?」
文章は落ち着いていましたが、
行間には、不安と期待と、祈るような気持ちが滲んでいました。
何度もやり取りを重ねてきた方でした。
この恋にどれだけ時間をかけてきたのか、私は知っていました。
チャートを開き、
ダシャーの流れを追い、
相性を重ね、
何度も見直しました。
でも、どこから見ても同じ答えが出る。
このご縁は、結婚に向かう流れではない。
むしろ、
「執着を手放すことで次が始まる」
そんな配置でした。
画面の前で、しばらく動けませんでした。
少し言葉を選べば、
「可能性はあります」とも書ける。
未来は変わるから、と逃げ道をつくることもできる。
本当のことをそのまま書けば、
きっと傷つく。
私はカーソルを何度も消しては打ち直しました。
送信ボタンの前で、指が止まりました。
「これでいいの?」
「優しさって、何だろう?」
でも、心の奥で分かっていました。
この方は、もう気づいている。
だからこそ、答えを外側に求めているのだと。
私は、覚悟を決めました。
結婚の可能性は高くないこと。
このご縁は、終わることで役目を終える可能性が高いこと。
そして、その後に入ってくるご縁のタイミングまで、具体的に書きました。
「この恋は、あなたが自分を後回しにしてしまう癖を教えてくれています」
「次のご縁は、もっと対等で、追いかけなくても大切にされる形です」
送信したあと、胸がざわざわしました。
既読がつくまでの時間が、妙に長く感じました。
返事が来なかったらどうしよう。
怒らせてしまったらどうしよう。
「冷たい占い師」と思われたらどうしよう。
正直に言うと、怖かったです。
しばらくして、メッセージが届きました。
「本当は、自分でも分かっていました。
でも、誰かにちゃんと言ってほしかったんです。」
その一文を読んだ瞬間、
胸の奥の緊張が、すっとほどけました。
優しい嘘は、その場を穏やかにします。
でも、本音は、その人を前に進ませることがある。
私は、アゲ鑑定ができません。
嘘や誇張で安心させることがどうしてもできない性分です。
その不器用さで、人との関わりに疲れてしまったこともあります。
それでも今、こうして続けているのは、
あのときのような瞬間があるからです。
正直さは、突き放すことではない。
それは、
「あなたはちゃんと受け止められる人です」と信じること。
私は、相談者さんの心を奪いたくありません。
決めるのは、いつもその人自身。
私はただ、灯りをともすだけ。
そしてもし今、
あなたが誰かに本音を伝えるか迷っているなら。
その迷いは、
相手を大切に思っている証かもしれません。
あなたは最近、
「言わなかった本音」と
「言えなかった優しさ」を抱えていませんか。
ここでは、取り繕わなくて大丈夫です。
少し怖い気持ちも、
まだ言葉にできない迷いも、
そのまま置いていける場所でありたいと思っています。
またどこかで、
あなたのタイミングで。
正直な言葉が必要になったときに、
思い出してもらえたら嬉しいです。