虹色の魚

虹色の魚

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コラム
夢の中で、私は濁ったお湯の風呂に入っていた。それは小さい頃に住んでた家のようで。
「そういえばこのお湯って何年も替えてないな」ぼんやり思っていたら、
その濁ったお湯の中に、七色のキラキラ光り輝く小さなお魚が数匹見えた。
あ!掬い出さなきゃと思ったところで目が覚めた。

その日は日曜日。私は、少し歳上の素敵な女性に会いに行く予定があった。
遠くまで車を走らせ、私たちは再会を喜びあった。
「今度は菖蒲の季節にね」
前回お会いしたときのそんな約束を果たすために、私たちは彼女の家のそばにある大きな公園へと向かった。

彼女は少し不思議な雰囲気を持つ人で、言葉に説得力があり、とても謙虚。
だけど軸がしっかりしている。
菖蒲を眺め、紫陽花の道を歩きながら、たくさん話をした。

散策の途中、彼女は持参した中国茶をまるで美しい茶席のように振る舞ってくださった。
お茶の香りと木の香りが交わり、なんとも言えず解きほぐされていく。
「こんなふうになりたいな」と背中を追いかけたくなる憧れる女性。

その贅沢な会話の中で私はたくさんのヒントをもらった。
私はこの先に頑張りたいことがあって、泥臭くやっていくつもりだということ、そんな自分にワクワクもしているということ。
彼女は温かいお茶を淹れながら、それを黙って聞いてくれた。

その上で、彼女は言った。
「あなたは本来は直感型なのに、ものごとベースで考えていて、まず知識に頼ってるところがある。これからは理(ことわり)ベースで感じていくといいよ」
さらに、「鎧は脱いできたけれど、まだ心の奥底に小さな矛と盾をしっかりと持っているようだよ」とも。

ああ、なんかわかる、と思った。
私は昔から周囲と違う感じ方をしていて、それがあまり理解されなくて寂しかった。だから、みんなが理解している「なんだか正しい答え」があれば自分を守れると思ってた。
知識からくる正しさを信じ込んで、自分の感じ方をずっと後回しにしてきたのだ。

「むしろエビデンスがない方が、信頼できると思わない?」
「なぜそれが好きなのか?なぜ選ぶのか?説明できないことの方が、しっくりくる。それにエビデンスなんてある?」
澄み切った瞳で彼女は言った。

私は自分の直感は人から受け入れられないと無意識に警戒してるから、自分を守らないといけないと思い込んでいるから、だからまだまだ矛と盾を捨てきれないのかもしれない。そんな風に思った。


変わった木を見て「この中で眠りたいよね」なんて言いあいながら、それにも共感し合える居心地のいい時間。
やがて園内の沼のような池に差し掛かったとき、突然、閃いた。
「あ!この池、今朝夢で見た色をしている、今朝の夢はまさにこれだ!」
深いグリーンの濁った水面を見て、私は確信した。
絶対そうだと直感が走った。

その感覚を信じるなら、こういうことだ。

私は今までの自分(古いお湯)に浸かっていたけど、そろそろ替え時だよ、ということ。
夢の中で「掬いださなきゃ」と思ったあのキラキラ光り輝く魚たちは、今日お茶をいただきながら彼女からもらえた、たくさんのヒントだったのだ。

それらが宝物のように、私の未来の変化を指し示してくれているように思えてならなかった。




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