『認知症の親と同居しています。
認知症だとわかっていても、何回も同じことを聞かれたり、何度注意しても直らないことに、ついイライラしてしまいます。
脱いだオムツを洗濯物と一緒に入れて洗濯機を回されてしまい、そのたびに注意するのですが忘れてしまうため何度も繰り返しています。
仕事から帰ってきて洗濯機がひどい状態になっているのを見ると、心底疲れてしまいます。
また、私が仕事に行っている間の昼食も用意して行きますが、食べずに居間のテーブルに放置されていたり、かと思えば仏壇にあげてある冷めて固くなったごはんを食べた形跡があったりします。
秋に渋抜きをしようと思って台所の隅に置いておいた柿がなくなっていたときは、ぎょっとしました。
私は独身で、兄弟も遠く離れたところにいるため頼れる人はいません。
デイサービスやショートステイは定期的に利用していますが、仕事をしながら介護をすることに限界を感じ始めています。
ついイライラして怒ってしまうこともあり、冷静になったあとで怒られたことを覚えていない親を見て申し訳ない気持ちになり、自分を責めてしまいます・・・』
1対1で介護をしている方は、こういう気持ちが手にとるようにわかるのではないでしょうか。
家族や兄弟など、一緒に介護をしてくれる相手がいるのといないのとでは、肉体的な負担だけではなく、精神的な負担もかなり違ってきます。
仕事をしながら介護をしている場合、寝る時間を削って留守にしていた間の後始末をする方もいます。
やっと布団に入っても、オムツ交換や物音、声で夜中に起こされてしまうことも少なくありません。
デイサービスに行っている間はご家族も仕事に行っていることが多いので、ゆっくり休めるとしたらショートステイに行った日の夜くらいではないでしょうか。
そういった限られた時間でも、職場の付き合いで気を遣う飲み会に参加しなければいけないことだってあると思います。
人は肉体的に疲れてくると、精神的な部分にも影響が出て、ネガティブになりやすくなったりイライラしやすくなってしまう傾向があります。
精神的に追い詰められているときに、いつもなら気にならないような些細なことが心にひっかかってしまったり、何気ないことで無性に腹が立ってしまったりするのは、誰にでも経験があるのではないでしょうか。
在宅介護を続ける理由は人それぞれだと思いますが、親にできるだけ長く家にいさせてあげたいという気持ちで施設入所に踏み切れない方はたくさんいます。
そういった気持ちとつらい現実の狭間で悩んでいる場合、解決する方法はあるのでしょうか。
ここからは、介護施設で働いた経験や、認知症の方のご家族から生の声をお聞きした経験から、解決できそうな方法を3つご紹介します。
1.訪問介護を利用する
2.デイサービスの回数を増やす
3.ショートステイの利用を増やす
総じて言えることは、誰かに頼りましょうということです。
誰かと言っても、遠くに住んでいる兄弟に頻繁に来てもらうなどということは現実的に難しいので、介護保険で使えるサービスを目一杯利用するということに絞ってみました。
1つ目は、昼食の準備をして食事を摂るように促してくれる訪問介護を利用する方法です。
決まった曜日の決まった時間に自宅に来てもらうことで、ご家族は昼食の準備にかかる労力や時間がなくなります。
また、訪問介護に入ってもらうことで、日中ずっとひとりでいることがなくなり、ご本人にとっては話し相手ができるというメリット、ご家族にとっては心配が薄れるというメリットが生まれます。
実際に訪問介護を利用していて、「ヘルパーさんが来るのを楽しみにしている」「家族よりもちゃんと話を聞いてくれるから助かっている」と喜んでいる方もたくさんいます。
ご家族からも、「留守にしている間の心配事が減った」「自分が様子を見に行けない時間に行ってもらえて助かる」という話を聞きました。
2つ目は、デイサービスの回数を増やすことです。
訪問介護は時間が限られていますが、デイサービスであれば朝から夕方までの長い時間みてもらえるので、ご家族にとってはより安心です。
ご本人にとっても、毎日のリズムが整ったり、日中ずっとひとりで寝て過ごすということがなくなります。
毎日デイサービスに行くようにすると、毎朝の準備がご家族にとって少し手間になってしまいますが、ご本人は慣れてくると、「また明日ねー」と職員に手を振って帰ったり、朝は「ただいまー」と施設に入ってきたりと、第2の我が家のように過ごせるようになってきたりもします。
3つ目は、ショートステイの利用を増やすことです。
例えば、月に1回だけ利用していたのを、2週間に1回や毎週に増やしてみたり、1回の利用が1泊だったのを2泊に増やしてみる。
ご家族にとっては、3つの中ではこれが一番休息をとれる方法です。
定期的に睡眠時間をきちんと確保できたり、しっかり体を休めることができると、イライラすることが減ったり、気持ちに余裕ができたりします。
ご本人にとっても、規則正しい生活になったり、同年代の友達と一緒に過ごす時間が楽しみになったりと、慣れてしまえばメリットは大きいです。
3つほど解決できそうな方法をあげてみましたが、いかがでしたでしょうか。
介護サービスをどれくらい利用できるかは、その方の介護度によって変わってきます。
ケアマネージャーさんが管理してくれているので、まずはケアマネージャーさんに希望を伝えてみましょう。
また、それでも一緒に暮らすことが難しいと感じた場合は、施設入所という手段もあります。
なるべく家で生活してほしいという気持ちはよくわかりますが、そのためにご家族が体調やメンタルを崩してしまっては、元も子もありません。
私が介護施設で働いていたときも、実際にこのような状況になってしまい、最終的に施設入所を選んだご家族がいました。
自宅から車で5分の距離にある施設を選んだそのご家族が、しばらくしてから挨拶に来たことがありました。
「本当に悩んで、たくさん相談に乗ってもらったけれど、施設入所を選んで良かったです。
今は休みのたびに父親に会いに行っています。
父親も一緒に住んでいた頃より落ち着いた表情になってきました。」
と、スッキリした顔で話されていたのをよく覚えています。
施設入所に対する不安や迷い、罪悪感はとてもよくわかります。
ですので絶対にそうした方がいいとも思いません。
ただ、ショートステイを長めに利用するなどして体験してみることで、もしお互いにその方がいいかもしれないと思ったら、それもひとつの選択肢だと思います。
絶対にこれだという正解はありません。
残された時間をお互いに気持ち良く過ごせる方法を見つけられることを、心から願っています。