霊というのはそれほど恐ろしいものではない、と常々感じています。
非科学的で説明が付きにくいのですが、古今東西で形を変えて信じられていますので見えなくても存在すると言っても良いでしょう。それでも信じないとおっしゃる方には、申し上げることはありません。
しかし、霊の中には明らかな悪意を持った存在もあるという事をお話ししておこうと思います。
それは30年ほど前のこと、私は結婚したばかりでした。親同士で気に入られて嫁いだ見合い結婚だったこと、同居で職場も舅姑と顔を突き合わせていたことなど、今から考えると時代錯誤で苦しいことが多かったと思います。ただ、夫は優しくて、その晩は夕食後ドライブに誘ってくれました。
夜景がきれいなドライブコースで、初夏だったと記憶しています。週末には暴走族(死語ですか)が走りに来るとかそういう場所でしたが平日で誰もいませんでした。無人の駐車場に車を止めると夫はタバコをふかしていました。私は何も考えず、海の向こうに見える島の明かりを眺めていました。その時奥の草むらから真っ黒い念の塊が軟体動物のように、こちらににじり寄ってくるのを感じました。全身の毛穴が開くような感覚を覚え、私は夫に「すぐ、すく帰ろう!」と叫びました。私のあまりの形相に夫はアクセル全開で家まで戻りました。
「なにかいたのか」と夫が尋ねました。感じたままを伝えると、「あそこは心霊スポットだと聞いたことがある」というではありませんか。見えない人、感じない人は心霊スポットを甘く見ていると実感しました。本人は何も感じないと言っていますが、夫は非常に強い霊に守られています。霊の外見は背の高くないがっちりした田舎のおっちゃんですが、なかなかの人物のようです。リトルビッグマンとでも言いましょうか。私を守ってくださる霊とは格が違うようです。
話がそれました。霊は正しく怖れることが必要でしょう。むやみに恐れることはありませんが、あの霊は悪霊でした。後日、映画『もののけ姫』の「タタリガミ」を見たとき、こんな感じのだった!と驚きました。あの感覚を可視化できるのですね。タタリガミほど俊敏でも狂暴でもありませんでしたが、捕まっていたらアシタカのようになっていたかもしれません。
あれから30年経って私は占いをしているわけですが、見えないもの、科学では説明できないものに触れる時、畏れの気持ちを失ってはならないと肝に命じています。例えばご祈祷をあげておきますね、と言っても相談者の方は本当にしているかどうかを確かめるすべがありません。ですが、見えないこと、確かめようのないことをごまかすと、自分にしっぺ返しが来るでしょう。
幸せを呼ぶ占い師、と名乗るのはそうでありたいという言霊を込めてです。
なにかございましたら、ご用命くださいませね。