10回シリーズ その5【完全版】特定事業所加算を徹底解説!~質を収益に変え、未来を拓く経営戦略~ 第5回:重度な支援を必要とする方へ【重度者対応要件】を理解する

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皆さん、こんにちは! こんばんは!!kaigo_全力サポートです。

特定事業所加算シリーズ、第5回となる今回は、加算(I)や(III)といった、より高い評価を得るために避けては通れない「重度者対応要件」について掘り下げていきます。

この要件は、その名の通り「支援が特に必要な、重度の利用者様に積極的にサービスを提供している事業所」を高く評価するものです。

「うちは重度の方が多いから、もしかしたら対象かも?」
「『看取り』の対応でも要件を満たせるって聞いたけど、具体的にどうすればいいの?」
そんな疑問をお持ちの経営者様も多いでしょう。

実はこの要件、ただ単に大変なケースに対応している事業所を評価しているだけではありません。
ここには、「病院から在宅へ」という、日本の医療・介護政策の大きな流れが色濃く反映されています。
国は、重度の介護や人生の最終段階のケアを、地域で、住み慣れた自宅で支えることができる事業所を、まさに今、求めているのです。

この要件をクリアすることは、加算による収益増だけでなく、これからの時代に不可欠な事業所として、地域での存在価値を確立することに直結します。

今回は、そのための2つの道筋を、具体的に解説していきます。

道筋①:「重度者比率」を計算する!対象者と計算方法のすべて

重度者対応要件を満たすための、最も基本的な方法が「重度者比率」をクリアすることです。

【介護保険(訪問介護)の場合】
前年度または直近3ヶ月の利用者総数のうち、以下のいずれかに該当する方の合計が20%以上であること。

● 要介護4または要介護5の方
● 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準がランクIII、IV、Mの方
● たんの吸引や経管栄養などの医療的ケア(喀痰吸引等)を必要とする方

【障がい福祉(居宅介護など)の場合】
サービスによって基準が少しずつ異なりますが、概ね以下のいずれかに該当する方の合計が30%以上(加算(I)・(III))または50%以上(加算(IV))であることが求められます。

● 障害支援区分4、5、6の方
● 医療的ケア(喀痰吸引等)を必要とする方
● 重度障害児(居宅介護)や行動関連項目合計点数が18点以上の方(行動援護)など

【自社の比率を計算してみよう】
まずは、ご自身の事業所の利用者様名簿を見て、一人ひとりが上記の条件に当てはまるかを確認してみましょう。

計算例(訪問介護事業所)
● 全利用者数:50名
● うち、要介護5の方:3名
● うち、要介護4の方:5名
● うち、認知症自立度IVの方(要介護3):2名
● うち、たんの吸引が必要な方(要介護2):1名

この場合、重度者対応要件の対象となる利用者様は、3+5+2+1=11名です。
重度者比率は、11名÷50名=22% となり、20%以上の基準をクリアしていることになります。

この計算は、利用者様の「実人員」で行う方法と、サービス提供の「訪問回数」で行う方法の、どちらか有利な方を選べます。

利用者様の人数では基準に届かなくても、重度の方への訪問回数が多ければ、回数ベースで計算するとクリアできる可能性があります。

道筋②:これからの時代の中核を担う「看取り期対応体制」を構築する

「うちは重度者比率が20%に届かない…」という訪問介護事業所様、諦めるのはまだ早いです。2021年度の改定で、もう一つの新しい道が拓かれました。

それが「看取り期対応体制」の構築です。

これは、人生の最終段階にある方が、ご自宅で穏やかに過ごすための支援体制を整え、実際にその支援を行った実績がある事業所を評価するものです。

要件は少し複雑ですが、一つひとつ着実に準備すれば、必ず実現できます。

【看取り期対応体制 5つの必須要件】

1. 24時間連携体制の構築
地域の病院、診療所、または訪問看護ステーションと正式に連携し、「何かあったときには24時間いつでも連絡・相談できる」という体制を整える必要があります。
これは口約束ではなく、「連携協定書」のような文書を取り交わすことが望ましいです。

2. 「看取りに関する指針」の作成と説明
「当事業所では、看取り期にある利用者様に対し、このような方針でケアを提供します」という指針(ポリシー)を文書で作成します。
そして、サービス開始時に、その内容を利用者様やご家族に丁寧に説明し、同意を得る必要があります。

3. 対応方針の定期的な見直し
指針は作りっぱなしではいけません。
医師や看護師、ケアマネジャーなど多職種で定期的に協議し、実際の看取り経験などを踏まえて、常により良いものへと見直していくプロセスが求められます。

4. 職員への「看取り研修」の実施
看取りケアは非常にデリケートで、高度な知識と精神的な強さが求められます。
職員が自信を持って対応できるよう、ターミナルケアやグリーフケアに関する研修を計画的に実施する必要があります。

5. 看取り期ケアの実績
上記の体制を整えた上で、前年度または直近3ヶ月の間に、実際に看取り期の利用者様(医師が回復の見込みがないと診断した方)を1人以上支援した実績が必要です。

【実践のためのヒント】
これらの要件は、まさに「地域包括ケアシステム」の中核を担うための体制づくりそのものです。

まずは、日頃から連携している訪問看護ステーションやクリニックに相談し、協力体制を築くことから始めましょう。

「看取りに関する指針」や「研修計画」については、専門家が作成したサンプルなどを参考に、自社の理念に合わせて作成していくのが近道です。

重度者対応要件をクリアすることは、介護・福祉の専門家として、地域で最も支援を必要としている方々に手を差し伸べるという、私たちの仕事の原点に立ち返ることでもあります。

それは、事業所の収益性を高めるだけでなく、職員の誇りとやりがいを育み、地域社会からの揺るぎない信頼を勝ち取るための、最も確かな道筋なのです。

次回は、少し視点を変えて、「障がい福祉サービス」に特有の加算要件について解説します。

まずは「居宅介護」と「重度訪問介護」。介護保険とは異なる、独自のルールを分かりやすく解き明かしていきます。

お楽しみに!

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