はじめまして。校閲ガールもはやたくさん年(2年以上と思え)のスナツキンです。前回の記事は読んでいただけましたか。
では最初(から2番目?)の記事として、まずはこのブログシリーズのねらいを書きますかね。
結論から言っちゃうと、ライターをやりたい・小説を趣味で書きたいとお考えの方は、ぜひお読みください! 特に書こう書こうと思ってまだ書けないお方や、書いても評価が伸びずお悩みのお方は、大歓迎でございます。
どうしてこれを書こうと思ったのか
この記事の目的は「正しい文法にならって、正確でしっかりとした文章を書けるようになる」ことです。その結果、2つのメリットが見込めます。
1つ目は、文字を書く皆さん自身が自信を持てることです。
2つ目は、皆さんの文章を読む読者が、少ない労力で気軽に楽しく読めるようになることです。
ライター志望者皆さんが、書くことを継続していくには、自信を持つことが大切。特に、文法というしっかりした根拠に従って書くことで、自信を持てるようになると思うのです。
えっ……ひとりで書いた文章、誤り多すぎ……!?
私は副業および本業で校正に関わってきました。その中で、さまざまなライターさんの原稿を見てきましたが、文法的な誤り・誤字が非常に多く見られました。そのため、論理展開に矛盾が生じたり、文章に集中できなかったりすることもしばしばありました。
例えば、「彼女はそのTシャツを着る」と「彼女はそのTシャツを切る」では「彼女」の動作がまったく異なり、大きな意味の違いが生じます。
彼女はそのTシャツを着るつもりだった。
その服はすっかり使い込んでいて、使える部分に分けてリメイクするしかなかったのだ。
1文目だけならまだしも、2文目も合せて考えると、「切る」にしなくては意味が通らなくなります。
誤りの少ない文章は比較的疲れず読める
とはいえ「わしそんなん気にならへんで」という層もあるでしょう。事実、人間の脳は、最初と最後の文字さえ合っていれば、誤字があってもなんとなく正しく変換し、理解できると言われています。
タイポグリセミアという言葉をご存知でしょうか。これは、単語の文字の順番が入れ替わっていても、最初と最後の文字さえ合っていれば、人間はなんとなく読めてしまうという現象です。
例えば、「こんちには」を「こんにちは」、「ふいんき(誤字)」を「ふんいき」と読むようなものです。
ただし、誤字が多すぎると、脳が余計なエネルギーを使い、読者は疲れてしまう可能性があります。先ほど挙げたような「服を着る/切る」の使い分けでも、意図せぬミスリード(後述)につながることがあります。
そのため、じっくり読んでもらうには、たとえ内容がそれほど濃くなくても、文法がしっかりしていることが重要です。
さらに、誤りの少ない文章は読者に信頼感を与えます。文章が正確であれば、読者は内容に集中しやすく、作者の意図がスムーズに伝わります。また、誤字や誤解を招く表現が少ない文章は、読者がストレスなく読み進められるため、読了率が高くなる可能性もあります。
誤りの少ない文章を書くことは、読者に快適な読書体験を提供し、結果的に作品の評価を上げることにもつながります。
基本ができてればアレンジも自由自在!
文法をしっかり学べば、あえて崩した表現を使って、文章をアレンジして目立たせることもできます。演出としてわざと誤った表現を入れる場合は、それ以外の部分に誤りが生じないようにするとよいでしょう。
ここではまず、目立ちやすい誤字を逆手にとった表現を紹介します。
皆さんは『バイオハザード』の「かゆい うま」をご存知でしょうか。ゾンビウイルスにかかった男性がつけていた日誌で、日が経つごとに誤字が増え、文章が崩れていく様子から、彼が次第に正気を失っていくことが伝わってきます。
以下に一部の抜粋を。
May 12, 1998
昨日からこのいまいましい宇宙服をつけたままなんで、背中がむれちまって妙にかゆい。
いらいらするんで、腹いせにあの犬どもの飯を抜きにしてやった。
いい気味だ。
May 13, 1998
あまりに背中がかゆいんで医務室にいったら、背中にでっけえバンソウコウを貼られた。
それから、もう俺は宇宙服を着なくていいと医者がいった。
おかげで今夜はよく眠れそうだぜ。
May 14, 1998
朝起きたら、背中だけでなく足にも腫物ができてやがった。
犬どものオリがやけに静かなんで、足引きずって見に行ったら数が全然たりねえ。
めしを三日抜いたくらいで逃げやがって。
おえら方に見つかったら大変だ。
May 16, 1998
昨日、この屋しきから逃げ出そうとした研究いんが一人、射さつされた、て はなしだ。
腕のはれ物 かきむしたら 肉がくさり落ちやがた。
いったいおれ どうな て
May 19, 1998
やと ねつ ひいた も とてもかゆい
今日 はらへったの、いぬ のエサ くう
May 21, 1998
かゆい かゆい スコットーきた
ひどいかおなんで ころし
うまかっ です。
4
かゆい
うま
出典「バイオハザード」作中キャプション
上記の文章では、ゾンビになる前~完全に変化したあとで、文章の正しさ・正確さに大きく差が出ています(脱字が目立つ、「飯」→「めし」のようにひらがなが増えるなど)。
しかし、絶対落としたくないところ(この場合はゾンビ化前の部分)に「犬どもの飯を抜きてやった」など、意図しない誤字があると大変。「これは単なる誤字なのか、それとも伏線なのか?」と読み手に混乱されてしまいます。
校正の徹底は、このような技を活かすことにもつながるのです。
とはいえ、小説を書き始めたばかりの皆さんは、こういった小手先の技に無理に挑戦しない方が良いでしょう。料理も同じで、初めからアレンジばかりしていると、本来の味がわからなくなってしまいます。まずは素材の味を活かすためにも、この文章で基礎的な文法をしっかり学び、書き進めてください。
まとめ;慣れないうちは文法を守って自信をつけようね
文法を正しく理解して書くと、以下のような嬉しいことが考えられます!
*自分なりの書き方にアレンジを加えやすくなります
*閲覧数が伸びなくても「最低限読みやすいものにはできてるし、大丈夫!」と気楽に考えられます
*嫌なコメントが来ても、「私は文法を学んで基礎固めをしっかりした上で書いているから、大丈夫。今に見てろ!」と、毅然とした態度を取ることができます
目の肥えた読者に質の高い文章を求められる現代において、こうして文法を学ぶことは有効! ぜひ、お試しあれ!
【おしまい】※毎月第一金曜に更新予定。見てね。