未払賃金があるかも知れない働き方①

記事
法律・税務・士業全般
今回は、どんな働き方をしている方に未払賃金が発生しやすいのか?を解説していきます。事前に言っておきますが、あくまで一般論でありこのブログを読んで当てはまると自身で思われたとしても必ずそうだと断言するものではありません。会社ごとに業種や職種が違いますし、ちゃんと法的な措置を踏んでいる会社も沢山あるはずです。あくまで一般論であるという事をご理解のほど宜しくお願い致します。また、労働者の立場から読めば「これって私も当てはまるんじゃない??」と感じる方もおられるかも知れませんし、経営者の立場から読めば「今のままでは、まずいかも!?」と、お気づきになる方もいるかも知れません!どちらの視点からお読みいただいても参考になる内容であれば良いなと思いって書いてます。そして労使の良好な関係の構築に役立てばと思いますので、お時間あれば御一読いただきたく存じます。

未払賃金が発生しているかも知れない働き方①

休憩時間が曖昧な働き方をしている労働者
労働基準法では休憩時間とはどういう時間なのかが明確に定義されています。
①途中付与の原則
②一斉付与の原則
③自由利用の原則
この3つの要件が揃ってこそ休憩時間と成り得るのです。このうち①の途中付与の原則には一切の例外がありません。また、それとは対照的に②の一斉付与の原則は法律上当然に免除となる業種もありますし、労使協定を締結する事で免責となりますので、一斉付与に関しては「うちの会社守れていないんじゃない!?」と思ってもよくよく確認が必要です。そして、③の自由利用の原則も法律上当然に自由利用が保障された休憩を与えなくともよいとされている職業があります。例えば警察官や消防吏員などがそれらに該当します。要は公益性が高く緊急時対応が必要とされる人達ですね。ですので、一般的な民間企業の従業員が該当する事はなかなかありません。例外的に所轄労働基準監督署長の許可を得られれば義務を免れる場合もありますが、よほど拘束時間中の労働密度が低い仕事となります。

ですので、ちょっとした事例を示せば例えば事務員が1人しかいない営業所でお昼休憩を取っている事務員が居たとします。12時から13時が昼休憩だと定められていたとしましょう。しかし、現実には電話がかかってくる事もあれば来客や郵送物の受取などの業務が発生していたとします。確かに他の時間帯に比べれば、それらの頻度は稀だったかも知れません…。ですが、この事務員さんが退職後に昼休憩はなかったと主張してきたとしたらどうでしょう?この時間はずっと働いていて、その後の勤務時間中も代替的な休憩時間はなかったと言ってきたら…会社からすれば「そんなバカな!?」と言いたいですよね!
でも、言えないんです。本当にその人が12時から13時まで、ちゃんと労働から解放されていたと立証する責任は会社側にあるのです。○月○日12時○分、取引先A社から問い合わせの電話対応、同日12時○分郵便物の受取なんて感じでメモを取って残していた上に「いつ電話がかかってきても対応できるように休憩ではなく待機でした!」と主張してきたら…残念ながら何も対策をしていなければ、この主張を覆すことは困難です。すると、どうなるのでしょうか?お昼休憩って普通1時間と設定してある会社が多いのではないでしょうか?その人の時間給が1,000円だとして1ヶ月平均20日働く人だったとしたら1ヶ月で20,000円の未払賃金という事になってしまいます。これが3年遡れるのですから最大で20,000円×36月=720,000円の請求があり得るという事になってしまいます!
上場企業のボーナスのような金額を突然支払えと言われるのです!!もちろん、これで1日8時間の法定労働時間を超えるようなら割増にもなり時間単価は1,250円となり請求総額900,000円となりますし、退社日までに支払われていないという理由で遅延利息を請求される可能性だってあります。その上、これらを弁護士に相談したり金額を計算したり当事者だけの話で終わらなくなれば期日に労働局や裁判所に行かなければならなくなったりとお金だけではなく人的な経営資源も相当失ってしまう事となってしまいます…。

では、どうすればよかったのか!?12時から13時は留守番電話を設定する。荷物を持って来てもらう時間は昼休憩の時間を避けるよう配達する会社と事前調整しておく。宅配ボックスを活用する。また、事務所とは別で休憩室を用意する。などなど、全てできずとも、とにかくできるところから手を付けていくしかないと思われます。特に留守番電話設定というのは私としては有効かと思われます。

長々と書いてきましたが、これでも全然かいつまんで記載していますし、本当は未払賃金が発生しているかも知れない働き方②や③まで書きたかったのですが、それは次回以降にしておきます。最後まで読んでいただき誠に有難うございました。
※ここに記載した例はあくまで一般的な事例であり全てがこのまま当てはまるという事ではない事をご理解ご了承願いますm(_ _)m

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す