建設業で業務アプリが続かない理由。70代の親方は、LINEなら毎日開いている

建設業で業務アプリが続かない理由。70代の親方は、LINEなら毎日開いている

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ビジネス・マーケティング
建設業界向けのIT企業で、建設会社60社に伴走してきました。その中で、何度も同じ光景を見ました。

70代の親方が、LINEは毎日使っているのに、会社が入れた専用のアプリは開かない。

最初は「慣れていないだけだろう」と思っていました。使い方を丁寧に説明すれば、そのうち開くようになるはずだと。でも、何度説明しても、開かれないアプリは開かれないままでした。

親方の意識が低いわけではない

開かない理由を並べると、だいたいこうなります。

・画面に並んだ数字を見る時間が、そもそもない

・どこを押せばいいかを覚えるより、現場のことを覚えたい

・ログインで一度つまずくと、二度と開かない

これを「親方の意識が低い」と片付けるのは違うと思っています。親方の本業は現場です。新しい画面の使い方を覚えることは、本業ではありません。

会社が入れたい道具と、現場の人が使える道具は、別物でした。そこに気づくまでに、僕はずいぶん時間がかかりました。

LINEだけは、毎日開いている

一方で、同じ親方がLINEは毎日開いています。家族からの連絡、元請けからの段取り、職人仲間との写真のやりとり。わざわざ「使おう」と思わなくても、手が勝手に開く場所です。

だったら、新しい場所を覚えてもらうのではなく、もう開いている場所に仕事を置けばいい。そう考えるようになりました。

置き場所を変えると、夕方がこう変わる

建設業の黒子の「LINEの事務員」は、この考え方で作っています。新しいアプリは入れません。

よくある夕方は、こうです。17時半に現場を出て、事務所に寄ってダッシュボードから領収書を出す。家に帰ってから、誰が何日出たかをノートと電話で数える。明日の見積を書くころには、夜の10時を回っている。

LINEに置き場所を変えると、こうなります。

・職人さんは、現場で領収書を撮ってLINEに送るだけ。日付・金額・取引先を読み取って、勘定科目のついた帳簿の1行になります

・誰がどの現場に出たかは、社長が1日の終わりに、出た人と現場のボタンを押すだけ。文字は打ちません

・「今月儲かってる?」と普段の言葉で聞けば、数字が返ってきます

職人さんにお願いするのは、領収書の写真を送ることだけです。出勤のボタンは社長が押すので、職人さんに新しいことを覚えてもらう必要はありません。

事務所に寄らずに家に帰って、夕飯のテーブルに領収書の束がない。取り戻したいのは、その夜です。

正直に言っておくこと

全部が自動になるわけではありません。読み取りは100%ではないので、読み違いは起きます。その場で気づいて直せますし、元の写真も残ります。どの現場の経費かは、送った人に選んでもらいます。機械に推測させると、あとでやり直す手間が大きくなるからです。

やめたあとのことも、先に決めておく

新しい道具を入れるとき、社長が口に出さずに気にしていることがあります。「やめたら、それまでの記録はどうなるのか」です。

LINEの事務員の帳簿は表計算のシートに、写真はドライブに入ります。どちらも御社のGoogleアカウントの中です。こちらのサーバーに帳簿をためる作りにはしていません。いつでも解約できて、解約すれば受付や読み取りは止まりますが、それまでの帳簿と写真は手元に残ります。

道具に記録を人質に取られない。毎日開く場所に置くのと同じくらい、ここも大事だと思っています。

近いのは、新しい画面より写真1枚

それでも、新しい画面を覚えるより、いつものLINEで写真を1枚送るほうが、親方にとってはずっと近いと思っています。

道具を選ぶとき、機能の多さより先に「それを毎日開くのは誰か」を考える。60社を見てきて、僕がいちばん大事だと思うようになったのは、そこでした。

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