「採用を外に頼んだこともあるけど、うまくいかなかった」
建設会社の社長から、ときどきこう聞きます。理由を聞くと、だいたい似ています。担当の人がすぐ替わった。建設の現場を知らない人が求人票を書いた。結局、媒体に出すところで終わった。
外に頼むこと自体が悪いとは思いません。ただ、何を任せて、何を任せないかを決めずに丸ごと渡すと、うまくいかないことが多いように感じます。僕自身が採用を外で引き受ける立場なので、その線引きを書いておきます。
外に任せていいこと
社長の時間を食っているのに、社長でなくてもできることです。
求人票を書くこと
ただし、中身は会社の中にしかありません。だから書く前に、今いる職人さんに話を聞きます。何時に現場に出るのか、誰と組むのか、最初の1か月で何を覚えるのか。現場の言葉を集めて、応募する人の目線で書き直します。建設を知らない人が机の上で書いた求人票が「アットホームな職場」で終わりがちなのは、この取材がないからだと思います。
媒体に出して、応募に最初の返事をすること
応募が来たときに、社長は現場にいます。最初の返事が遅れると、応募した人は別の会社と話を進めてしまいます。ここは外に置いておくほうが、取りこぼしが減ります。
面接の日程をすり合わせること
応募した人と日程をやりとりして、決まった日時を社長にお渡しします。夜に日程調整のメールを打つ時間が、まるごとなくなります。
数字を見て、次に直す所を決めること
媒体ごとに、見られた数、応募、面接、採用を毎月1枚にまとめます。どこで止まっているかが分かれば、次に直す場所も決まります。
任せないほうがいいこと
面接と、採るかどうかの判断
ここだけは、社長にお願いしています。一緒に働けるかどうかを決めるのは、一緒に働く人であるべきだからです。外の人間が採否まで決めると、入ってから「思っていたのと違う」が起きやすくなります。
社長の一日で見ると、こうなります。応募が来たことも、返事をしたことも、日程が決まったことも、外で進んでいく。社長がするのは、決まった日時に面接に出ることだけです。
返事をしても反応がない応募もあります。2回ご連絡して返事がない方は、見送りとして整理し、毎月のレポートでご報告します。社長が「あの人、どうなった?」と気にし続けなくて済むようにするためです。
半年後、1年後にどうなっていたいか
任せる範囲を決めると、どこまで行けるかも見えてきます。
半年ほどで、応募から面接の日程が決まるまでが、社長の手を離れます。社長の頭の中から「返事をしなきゃ」が消える状態です。
1年たつころには、四半期ごとに求人票を見直しながら、人が入るまで続けてきた結果が出始めます。現場に出られる人が増えれば、社長が現場を抜けられる日ができます。目指しているのは、採用の担当者を置くことそのものではなく、その日を作ることです。
引き受ける側が、決めていること
建設業の黒子の「人も」「全部まとめて」では、同じ業種の会社は1社だけお受けしています。同じ地域で同じ職種の人を取り合う2社の求人票を、同じ人間が書くわけにはいかないからです。受付も30社までにしています。1社ずつ職人さんに話を聞いて書くので、手が回る数を超えないためです。
料金は「人も」が月12万円、「全部まとめて」が月20万円です。成果報酬はいただいていません。人材紹介会社を使うと、採用1人につき年収の30〜35%ほどが相場で、1人採るたびに120万円前後かかります。どちらも、何人採っても月の料金は変わりません(求人媒体の掲載料や広告費は別にかかります)。
最低1年からお願いしているのは、求人票と媒体の準備が先に発生することと、採用は数字が動くまでに時間がかかるからです。
外に頼むなら、何を任せて、何を自分の手に残すかを先に決める。それだけで、同じ「外に頼む」でも結果はかなり変わると思います。
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