33年間のブラック企業生活で、
実際にあった話と、そこから得た教訓をシェアしたいと思います。
今回は、その第1弾です。
※※※
「アイツらほんとにバカだな〜」
「ですね〜」
ニヤニヤと笑い合うB部長と、その仲間たち。
まるで、教室の後ろでたむろしてる不良連中のノリだ。
B部長を中心に、
現場を映すモニターを眺めながら、人をバカにするように笑っていた。
これは、私が40代、品質保証部で働いていたころの話です。
◇あざ笑う上司たち
この会社は、食品の製造工場。
現場の一角にある事務所には、モニターがあり、
工場の映像がリアルタイムで
映し出されている。
ある日、工場の機械が大トラブルを起こしていました。
生産ラインはストップし、復旧のメドがたたない状況に……
顧客からも、
「いつ直るのか?」
「納期に間に合うのか?」と、問い合わせの嵐だった。
モニターには、故障した機械の前で、
必死に修理をしている、20代〜30代の若手たちの姿。
機械のなかにもぐり込んだり、
工具や部品を取りに走りまわったり、
なんとか直そうとする彼らの姿は、必死そのものだった。
B部長と仲間たちは、
その光景を、ただの見物客のように笑いながら見下していた。
「なんで直せねぇのよ! なぁ!」
「ですね〜、アレじゃだめっすね!」
そう言いながら、誰一人として手を貸そうとはしない。
まるっきり他人事だ!
しかも、モニターに映ってるのは、B部長の部下たちだ。
こいつら!
『なんで、なんで他人事みたいなことが言えるんだ!』
見ているだけで、心底イライラし、
握りこぶしがブルブルと震えてきたのを覚えている。
◇30年前の機械
その機械は、導入から30年以上が経過していた。
若い現場の担当者たちには、扱い方はもちろん、
修理方法も十分に教えられていない。
この会社に、まともな教育プログラムなんてないのだ。
そして、B部長こそが、
その機械に最も詳しい人間だった。
彼が現場に行けば、すぐに解決するはず。
なのに——
「関係ねぇよ!」 と言わんばかりの態度。
私は『お前、いい加減にしろよ!』と、
ぶん殴りたくなる気持ちを必死におさえ、
「手伝ってもらえませんか?」 と、
B部長に頼んでみた。
◇まさかの切り返し⁉
B部長は、真顔でこう答えた。
「なんでよ?」
「あんくらい、直せなきゃダメなんだよ!」・・・と。
…いや、いや、いや。
あなたが行けば一発で直るでしょう!
顧客からも催促がきてるっていうのに!
あまりの冷たさと、危機感のなさに、
フツフツと怒りが込み上げてくる。
若い担当者たちはまだ、
B部長の仲良しグループに入っていなかった。
…だからなのか?
自分になついてない部下は、簡単に突き放すという冷徹さ。
心の中で『こいつ、マジで信じられない』と呆れ、
私は現場へと走った。
◇大きな代償
なんとか現場スタッフたちの奮闘で、機械は修理できた。
だけど、B部長が動かなかったことで
修理に時間がかかりすぎてしまった。
納期も半日以上も遅れて、顧客も怒りまくっている。
結果的に、お客様にいちばん迷惑をかけてしまった。
そして、私の立場は品質保証。
顧客への謝罪と報告書を書くのが私の仕事だった。
◇「原因:B部長の怠慢」
報告書を書きながら、何度も思いました。
この原因は、「B部長の怠慢だ」と。
でも、それを書くことは許されなかった。
対外的な報告書に、内部の問題を書くことはできない。
結局、言葉を慎重に選び、
遠回しに『機械の故障による遅延』とだけ、
記載するしかできなかった。
『これが現実か…』
叫びたくなる気持ちを押し殺し、
私は真実を伏せた報告書を書くしかできなかった。
それがB部長の責任逃れを手伝うと分かっていても。
◇環境を変える選択肢
もし、今これを読んでいて、
似たような理不尽な状況に置かれているなら——
どうか、私のように 耐えつづけないでほしい。
「この職場にいるしかない」
「がんばれば良くなる」
「いまさら遅いし…」
そう思い込んでしまう前に、
もう一度 自分に問いかけてみてほしい。
「このまま、ここで時間を使い続けていいのか?」
環境の影響は大きい。
どんなに努力しても、報われない場所は確かに存在する。
でも、だからこそ
「自分が本当にイキイキと働ける場所はどこか?」
よく考えてみてほしい。
理不尽な環境に、耐え続けるのではなく、
自分の未来を守るために行動する勇気を持とう。
「ここではない場所」 に目を向けた瞬間、
人生は変わり始めるから。