小説【毎朝、あなたに恋をする】

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段々と冬から春になり始めた今日この頃。

👱🏻‍♂️【おはようございまーす!!】

パソコンのZOOMから聞こえる元気な声。
昼間ならWeb会議とかになるけど、このZOOMは違う。今は朝の6時だから。

👱🏻‍♂️【今日も朝活始めましょう!!】

ここは朝活をするオンラインサロンのZOOMだから。
大学生の時に映像制作サークルに入っていた私。
ひょんなことから私の作った映像を見た企業の方から動画編集の依頼を受けて以来、動画編集者として活動していた。

大学を卒業しても大好きな映像制作の仕事は続けたくて、副業で動画編集を続けている。
でも、大学の勉強や本業のお仕事と並行で動画編集やるのってすごく大変。
時間がいくらあっても足らないの。

そんな時に見つけたのが朝活のオンラインサロン。

「(オンラインサロンって、胡散臭いそう…)」

そう思っていた私。
だけど、何故か心惹かれて騙されたと思って入会。
すると、ビックリするくらい作業が捗った。朝って集中力が日中よりも高いらしい。
それに朝から作業すると一日が充実した感じでキラキラするの。

👱🏻‍♀️【ミカちゃんって、なんでいつもそんなにキラキラしてるの?】

って友達に聞かれるくらい。
お仕事も動画編集も楽しくて仕方がない。

毎日でハッピーな私にある日、新たな春風が吹いた。

『はじめまして。キム・ジョンホです。韓国のソウルで会社員してます』

「(うわぁ…!!キレイな人…!!)」

👩🏻【日本語お上手ですね!!】

『仕事で日本に関わりがあるんです。朝活の時間でもっと日本語の勉強がしたいと思って。どうせなら日本語が使える環境に飛び込もうと思って、入会しました』

キレイに整えられた黒髪に、キリッとした目元、薄くキレイな唇。カッコイイよりもキレイと形容するのが良いのではないかと思うほどの容姿を持ったその人。
ハニカム笑顔も流暢な日本語で答える声も、頬を赤らめさせるには十分だった。

『皆さん、よろしくお願いします』

👩🏻👱🏻‍♂️👨🏻‍🦰👨🏻👩🏻‍🦰【【【【【よろしくお願いしまーす】】】】】

みんなが口々に挨拶をする中、私は一人頬の赤さを感じながら拍手することしかできなかった。

「(私、どうしちゃったの…?/////)」

キムさんは毎朝朝活のZOOMに顔を出した。
お話はオンラインサロンの主催者さんがしゃべるから、声なんて聞けない。
それでも顔を見れるだけで嬉しかった。ZOOMを切る時に手を振りながら微笑む顔を見るだけで、一日分の幸せが充電されるような気がした。
そんな日々が毎日続き、朝がより一層楽しみになった。

👩🏻‍🦳【なんか良いことあった?】

「えっ?」

休日のお昼時。ランチを食べていると、一緒に来た親友のサクラに聞かれた。

👩🏻‍🦳【朝活始めてからのキラキラとはまた違ったオーラを感じる】

「えぇっ?」

👩🏻‍🦳【あれ?気付かなかったの?まるで恋してる乙女みたいな、そんなオーラしてる】

「こ、恋っ!!!?」

2年前元彼にこっぴどく振られて以来、恋なんて御免だと思っていた。
そんな私が恋!?
一体、誰に!?

👩🏻‍🦳【なんか出会いでもあった?サロンに新しい人入ってきたりしてない?】

思い当たるのはキムさん。

「新しく韓国の人が入ってきたくらい…」

👩🏻‍🦳【どんな人?どんな人?】

ウキウキしているサクラにキムさんのことを話す。

すごくキレイな人だということ。日本語の勉強を頑張るために、あえて日本のオンラインサロンに入ったこと。お仕事で日本に関わりがあること。すごく日本語が上手なこと。

「私が知ってるのは、このくらいだよ?オンラインで顔合わせてるだけの相手、好きになる?」

👩🏻‍🦳【バカだなぁ。一目惚れしたんだよ。ひ・と・め・ぼ・れ】

「えーっ!!!?」

ひ、一目惚れ…。

👩🏻‍🦳【顔見れるだけでも嬉しいんでしょ?】

「うん」

👩🏻‍🦳【一日幸せな気持ちになるんでしょ?】

「うん」

👩🏻‍🦳【それが恋してる証拠!!】

私が…、キムさんに恋…。

👩🏻‍🦳【良いねぇ…。遠くの人と繋がって一目惚れとか…】

サクラが何か言っていたけど、これが恋なのかも分からない私はうるさく高鳴る胸を抱えてボーッとオシャレなランチを見つめていた。
次の日の朝。いつものようにZOOMを起動して朝活に参加する。当然のようにキムさんもいるわけで…。

「……っ/////」

昨日のサクラの発言のせいで、キムさんの顔を見ると頬が赤くなってしまう。

👱🏻‍♂️【そういえばジョンホさん、ソウルは今どんな感じですか?】

主催者さんが急にキムさんに声を掛けた。

えっ…?声聞けるの…?

『はい。ソウルは今…』

わぁ…‼︎キムさんの声聞けちゃった…‼︎

思わず聞けてしまった素敵すぎる声に、頬が熱くなる。

👱🏻‍♂️【良いですね‼︎ソウル、いつか行ってみたいです】

『是非、遊びに来てください』

笑顔を見せるキムさんに、頬はもうカンカン。

👱🏻‍♂️【今日の夜はオンライン交流会です‼︎皆さん是非ご参加ください‼︎】

そっか。今日はオンラインの交流会か。

「(キムさんも出るのかな?お話ししてみたい…)」

邪な動機かもしれないけど、夜の交流会に参加することにした。
交流会を楽しみにお仕事を頑張って夜になった。いつものZOOMにみんなが集まる。

👱🏻‍♂️【1対1で30分お話ししていただきます。それでは皆さん、いってらっしゃい‼︎】

画面が切り替わって、お話しする相手が表示される。

『こんばんは』

「(キ、キムさん…⁉︎)」

画面に現れたのは、キムさんだった。

「よ、よろしくお願いします…‼︎」

お話してみたいと思っていたキムさんが現れて、思わす声が上ずる。

『ミカさんだよね。毎朝いるの見かけるから、話してみたかったんだ』

「あ、ありがとうございます…‼︎私もキムさんとお話したかったです…‼︎」

『嬉しいな。あっ、キムさんなんて呼ばないでジョンホオッパとかで良いよ。歳、俺より下だよね?』

確かジョンホさん35歳だから、私よりお兄さん。

「分かりました。じゃあ、ジョンホオッパで」

『じゃあ、俺はミカちゃんって呼ぼうかな』

それから2人で色んな話をした。どんな街に住んでいるのか、どんな仕事をしているのか、何が好きなのか、どうして朝活を始めたのか。
ジョンホオッパとのお話は楽しくて楽しくて、それでいて幸せで仕方がなかった。30分なんてあっという間に過ぎてしまった。

『また話したいな。Xのアカウント教えて?DMするから』

「は、はい…!!」

Xのアカウントを教えると、すぐに来たフォローの通知。シンプルなアカウントはジョンホオッパらしいもの。

『それじゃあ、また朝に』

「はい。また朝に…」

そう言って画面が切り替わって黒くなった。
私はその場で声を上げずに叫んだ。

「(キャーッ!!ジョンホオッパと繋がっちゃった…!!嬉しすぎる…!!)」

夢心地でふわふわして、眠る時まで甘いときめきは続いた。

それからちょくちょくDMをするようになった私達。他愛もない話だけど、楽しくて通知が来るたびに幸せな気分になった。

「(私も韓国語勉強しようかな…?韓国語でジョンホオッパとお話したい)」

そう思って、韓国語を勉強し始めた。
2人でZOOMすることになった時、

『あっ、ミカちゃん。来た来た』

「안녕하세요,ジョンホオッパ」

韓国語で挨拶したら、

『韓国語覚えてくれたの?』

と喜んでくれた。

「ジョンホオッパと韓国語でお話したくて」

『嬉しいな。分からない所あったら、いつでも聞いてね?』

「はい。私も日本語分からない所あったら教えます」

『うん』

キラキラな笑顔。

本当に素敵すぎる…。

1時間、ジョンホオッパと楽しくおしゃべり。

『本当にミカちゃんと話すの楽しいな』

「そう言ってもらえて嬉しいです」

『そうそう。オフ会の通知見た?』

「見ました!!」

『俺、参加しようと思ってるんだよね。ミカちゃん、来る?』

ジョンホオッパ、日本に来るの!?本物のジョンホオッパに会えるの!?私、ジョンホオッパに会いたい!!

「行きます…!!絶対行きます…!!」

『楽しみだなぁ。ミカちゃんに会えるの』

「私も楽しみです…!!」

『そろそろ時間だね。また朝に会おう』

「はい…!!」

画面が切れた瞬間、ベッドに飛び込む。

「(キャーッ!!ジョンホオッパに会える!!日本で!!楽しみすぎる!!あっ、そうだ!!何着ていこうかな?サクラにも相談しなきゃ!!)」

ウキウキと幸せな気持ちになりながら、オフ会の日が来るのを私は待っていた。

オフ会当日。朝活のZOOMで見慣れた顔ぶれが集まって、楽しい時間が過ぎる。

🧑🏻‍🦰【ミカさんの動画、いつも見てるよ!!】

「ありがとうございます」

メンバーと話していると、隣に誰かが座ってきた。

『隣、良いかな?』

ジョンホオッパ…!?

「は、はい…!!どうぞ!!」

ジョンホオッパが隣にやって来た。
近くで見る実物のジョンホオッパは、ZOOMで見る何倍も素敵。

『ミカちゃん、結構人気者なんだね。話せないかと思ったよ』

「えぇっ!!そんなことないですよ…!!」

『でも、話せて嬉しい。本物のミカちゃんだ』

嬉しそうに笑うジョンホオッパに胸がキュンとする。

「私も本物のジョンホオッパに会えて嬉しいです」

『そういえば、ミカちゃんって彼氏とかいるの?』

「えぇっ!?い、いないですよ…!!/////」

『ミカちゃん可愛いから彼氏いるのかと思ったよ』

「いやいや、そんな…/////」

ジョンホオッパからの褒め言葉に顔が赤くなる。

👩🏻【何、話してるんですか〜?】

他のメンバーが会話に入ってきて、それ以上は何も聞かれなかったけど。
顔の赤さがバレないように、飲んでいたカシスオレンジを一口飲んだ。
それから他のメンバーも交えながらおしゃべりしたりして、楽しいオフ会はあっという間に時間が過ぎていった。
ジョンホオッパは最後まで私の隣に座っていた。

👱🏻‍♂️【じゃあ今日はオフ会ありがとうございました!!また明日、朝活で会いましょう!!二次会に来られる方は着いてきてください!!】

主催者さんの声で楽しいオフ会はお開きになった。
二次会に参加しようとメンバーの後を付いていこうとすると、

『ミカちゃん』

「??」

ジョンホオッパに声を掛けられた。

『ちょっと良いかな?』

「はい…」

何だろう?

すごく真剣な面持ちのジョンホオッパ。

どうしたんだろう…?

頭の中でグルグルと考えていると、ジョンホオッパが口を開いた。

『ミカちゃん、好きだ…』

ふわっと春の優しい風が、頬とベージュのトレンチコートを揺らした。

「えっ…?/////」

ジョンホオッパの言葉に耳を疑った。

「(ジョンホオッパが…、私を好き…?)」

『最初にZOOMで見かけた時から"可愛いな"って思ってたんだ。いつもZOOMで見る声も知らないミカちゃんのこと、どんな子かすごく気になって…。
交流会の時に、画面にミカちゃんが出てしてすごく嬉しかった。話しやすくて、ずっとしゃべっていたくて…。DMしたり、2人でZOOMしたりしてるうちにどんどん好きなっていたんだ。
オフ会があるの知って、ミカちゃんに会いたくて日本に来たんだ。実物のミカちゃんもすごく可愛くて、独り占めしたくなった…。他のメンバーと話してるの見て、正直嫉妬した…』

ゆっくりゆっくり私に近付いてくるジョンホオッパ。

『ミカちゃん、俺と付き合ってくれないかな…?』

そっと手を握られる。

「わ、私もジョンホオッパのこと素敵だなって思ってました…」

『うん…』

「だから、あの…。よろしく、お願いします…/////」

『良かった…』

「えっ…?/////」

グッと腕を引っ張られて、気が付いたら私はジョンホオッパの腕の中。

「あ、あの…/////」

『ミカちゃん、一個わがまま言っても良いかな?』

「は、はい…/////」

『今夜はこのままミカちゃんのこと攫いたい…』

「えっ…?/////」

抱き締められる力が強くなった。

『毎朝ZOOMで会えるけど、本物のミカちゃんの声や感触は会わないと分からない…。明日には韓国に帰るし、今夜だけでも一緒にいたい…。このまま2人で抜け出そう…?』

私の手を引いて歩き始めたジョンホオッパ。

「あ、あの…!!/////」

『俺に攫われて…?』

春の優しい風に乗るように、ジョンホオッパは私を攫っていった…。


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