『表記揺れ』について考える③ ~表記揺れの原因と対策~

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こんにちは、しじま@やさしい校正屋さんです!

引き続き、『表記揺れ』について考えるブログになります。第三弾です!
前回は表記統一の意味や効果について深掘りをしました。
(未読の方は是非、併せてご覧いただけると嬉しいです!)
今回は原点に立ち返りまして、そもそも何故表記揺れが起こるのか、その原因や対策を考えてみたいと思います。
どうぞコラムのような感覚で、気楽にお読みくださいませ!

表記揺れは何故起きてしまうのか。
それが分かったら苦労しないよ!という声も聞こえてきそうなテーマです。
全てのケースに当てはまる原因をピタリと言い当てるのは至難の業ではありますが、多くの表記揺れを引き起こしている要因の一つとして、「PCやスマホ等の文字入力時の、漢字変換のしやすさ」があると思われます。

今の時代、ほとんどの方は、原稿を初めからPCやタブレット、スマホなどで書いていらっしゃるのではないでしょうか。
(反対に、一度紙の上にきっちり全て書き出してから、それをPCなどに打ち込むという方法を取っている方は少ないと思われます。)
PCなどで文字を入力する際、非常に便利なのが漢字変換機能、ならびに変換予測機能です。
これらの機能のおかげで私たちは、手書きではとっさに書けなかったり、書き間違えてしまったりする文字まで、容易に漢字で記載することができています。

しかし時に私たちは、その容易さに引きずられるあまり、どこからどこまでを漢字変換をすべきかの匙加減を見失ってしまいがちです。
またその時々の予測変換に無意識に左右され、次第に表記の方針の軸がブレてしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。
それこそが、表記揺れが生まれやすい原因だと考えられます。
例文を挙げてみましょう。
(漢字変換前の文)
きょうからここが、わたしたちのあたらしいおうち。やねのうえのきれいなかざみどりに、わたしはあいさつをします。「はじめまして。どうぞよろしくおねがいいたします!」


(変換後の文①)
今日からここが、私たちの新しいおうち。屋根の上のきれいな風見鶏に、私は挨拶をします。「はじめまして。どうぞよろしくお願いいたします!」


今日から此処が、私達の新しいお家。屋根の上の綺麗な風見鶏に、私は挨拶をします。「初めまして。どうぞ宜しくお願い致します!」

初めに断っておきますと、これはどれが正しいのかを問うものではありません。
仮に上記の文が実際の原稿だったとして、どの程度漢字に変換するかどうかは、個々人の好みや作風、作品の設定などにも左右されるはずです。

ここで注目したいのは、PC等での文字入力において、②の文章レベルまで漢字変換をしようと思えば、いくらでも簡単にできてしまうという点です。
入力時に変換予測にも表示される以上、変換すること自体は誤りではないかもしれません。
しかし作品全体で同等のレベルの漢字変換を行い続けなければ、いずれどこかで表記揺れが発生してしまうでしょう。
これが漢字変換機能の、便利ゆえに匙加減の難しいところなのです。


では次に、上記を踏まえて、表記揺れへの対策方法を考えてみましょう!

真っ先に行える対策としては、「絶対に表記揺れを起こしたくない語句を洗い出すこと」です。例えば登場人物たちの一人称や二人称、作中の重要ワードなど、絶対に表記を統一しなければならない語句は、原稿に取り掛かる前に簡単にリスト化しておくとよいでしょう。執筆時の意識づけというだけでなく、後々チェックを行う際にも確認漏れを防げます。

その次にできる対策としては、「頻出語句の表記方針を決めておくこと」が挙げられます。
例えば「私たち⇔私達」「できる⇔出来る」「わかる⇔分かる」「座りこむ⇔座り込む」など……文中によく出てくるものの、表記の絶対的な正解もない語句について、ある程度「ひらがなにしよう」「漢字にしよう」と方針を決めておくということです。
これまで無意識に書いていたような語句でも、自分なりの基準を定めておくだけで、表記揺れを減らす手助けになるものです。

そしてこれらの対策は、実は校正作業にも非常に役に立ちます!
というのも、校正時に上記で事前に対策を行った「表記揺れを起こしたくない語句」「頻出語句」を優先的かつ意識的に確認するだけでも、最低限の表記統一が完了するからです。
ご自身で校正をする際、時間や手間で苦労をしているという方がいらっしゃいましたら、是非試してみてください。

ですが、それだけで全ての表記揺れを防げるかと言うと……残念ながらおそらく無理です!!

対策してもやはり表記揺れが発生してしまう。
自力の校正にはどうしても限界を感じる。
手間がかかりすぎて時間が足りない。
そんな方々にこそ活用頂きたいのが、当方でもご提供しているような校正サービスなのです!
校正を専門的に行っている他者の目を通すことで、より広く、細かく表記揺れを発見することができるのはもちろんのこと、他者に指摘をしてもらうことで、自分では気付いていなかった表記のクセを再認識することができるというメリットもございます。
「自分はこの語句について表記揺れを起こしやすいんだな」「全体的にひらがな表記の方が多い傾向にあるんだな」というような、校正サービスを通して見えてくる自身のクセを、今後の作品づくりに活かしていくこともまた、表記揺れへの対策になることでしょう!

以上で、三回にわたってお送りしてきた『表記揺れ』について考えるブログを締めくくりたいと思います。

当方では、校正をご依頼いただく作品の文字数やページ数について、上限は設けておりません。
初めて形にする小さな作品も、渾身の大作も、等しく真剣に取り組ませていただきます!
校正を依頼するにあたってご不明な点や不安な点がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

皆様のお力になれることを、心より願っております。
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