『表記ブレ』について考える② ~表記統一の意味や効果~

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コラム
こんにちは、しじま@やさしい校正屋さんです!

『表記ブレ』について考えるブログ、第二弾です。
前回は表記ブレとはなにか?ということについて書きましたが、今回は表記を統一をする意味や効果について、深堀してみたいと思います。

今回もコラム感覚で、サクッとお読みくださいませ!

さて、前回の記事では、以下のようなことを書かせていただきました。
・一般的にはなるべく表記の仕方を統一した方が自然で読みやすく、文章としても美しいとされている
・当方では、実際に表記を統一するかどうか、またどのように統一するかは作者に判断を委ねている
・個人や同人の作品においては、絶対にこうするべきという正解はない

このようにまとめると、これをお読みの方の中には「じゃあ、表記統一するメリットや必要性って特にないじゃん!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、表記統一にも意味や効果はちゃんとございます!

まずは以下の例文をお読みください。
 日曜日の公園。男の子たちが元気におもちゃの武器を振り回して遊んでいる。
「いくぞ、オレの必殺技! スーパー超イナズマ斬り!」
「僕の方が早いもんね、ファイヤースピードショット!」
「はい効かなーい、おれは今、最強バリア中だから効かなーい!」

さて、ここに登場した男の子の数は二人でしょうか、三人でしょうか。
一人称の表記が違う=別の人物としてカウントし、三人として読み解いた方も少なからずいたかもしれません。
一方で、もしこれが表記ブレで、本当は二人だったとしたら…。
作者と読者の間で認識のズレが生じたまま、物語が進行することになってしまいますね。

こうした齟齬は、時に作品全体に対する理解や解釈のズレにもつながりかねないため、決して軽視できない問題です。
また、一人称や二人称、あるいは特定の語句の表記が、漢字なのか・ひらがななのか・カタカナなのかは、キャラクターの個性を演出する、大切な設定になっていることもしばしばです。
人物ごとの表記をしっかり統一できていなければ、違うキャラクターの台詞として勘違いされてしまったり、二次創作においては誤りとして読者から厳しい指摘が入ったりすることもあり得ます。

このように、表記統一を行うことが重要になる場面もたしかに存在するのです。
言い換えれば、表記ブレをなくすことは、上記のような読者による勘違いや、誤表記への指摘といったリスクを取り除くことにもつながるわけです。

もう一つ、表記統一が作品にもたらす効果についても考えてみましょう。
以下の二つの例文を見比べてみてください。
 春の日差しは暖かく、心が優しい気持ちで満たされるのを感じた。庭に咲く花々を、こんなに愛おしく思ったのは初めてだ。このこころに溢れる感情を、歌や絵にすることができたのなら、きっと美しい芸術が生まれるに違いない。心とは、なんと素晴らしいのだろう!
 春の日差しは暖かく、こころが優しい気持ちで満たされるのを感じた。庭に咲く花々を、こんなに愛おしく思ったのは初めてだ。このこころに溢れる感情を、歌や絵にすることができたのなら、きっと美しい芸術が生まれるに違いない。こころとは、なんと素晴らしいのだろう!

いかがでしょう。
一つ目よりも二つ目の例文の方が、『こころ』というものがこの文章において何か特別なキーワードになっているという印象が生まれませんか?

仮にこれを、感情を持たないロボットが少しずつ心を得ていく物語の一部としましょう。
作者はロボットの初々しい心を表現するために、あえてひらがなで『こころ』と表記することに決めました。
しかしその表記の統一が不十分であれば、一つ目の例文のようにその意図が充分に伝わらない可能性があります。
あるいはひらがな表記の箇所についても、「漢字に変換し忘れたのかな?」と流されてしまうかもしれません。

せっかく大切な意味を込めたはずの言葉が、表記ブレによって印象に残らなくなってしまうのは非常にもったいないことです。
表記統一には、その作品における言葉のひとつひとつを上手に活かす効果も期待できるのです。

少し長くなりましたので、今回はここまで!
次回は、何故表記ブレが起きてしまうのか、表記ブレを防ぐにはどうすれば良いのかを考えてみたいと思います。

当サービスでは、作者の意向を大切にした校正を目指しております。
例えば表記統一についても、「表記ブレの有無はチェックして欲しいけど、この単語だけはあえて表記をバラバラにしてるからチェック対象から外して欲しい!」とか、「主人公の一人称がちゃんとカタカナでボクになっているか不安だから、特にしっかりチェックして欲しい…」など、具体的な要望がございましたら、遠慮なく依頼時にリクエストください!

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