『表記揺れ』について考える① ~表記揺れとはなにか~

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こんにちは、しじま@やさしい校正屋さんです!

今回から三回に分けて、校正する上で避けては通れない『表記揺れ』というものについて、色々な角度から考えてみたいと思います。
とはいえ決して堅苦しい話ではありませんので、ちょっとしたコラムを読むような感覚で、どうぞ気楽に読んでいただけたら嬉しいです!

さて、校正をする上で、誤字脱字とならんで指摘することが多いのが『表記揺れ』です。
表記揺れを簡単に説明すると、同じ作品内で用いられている同じ語句が、箇所によってひらがなだったり漢字だったりと表記の仕方がブレてしまっていること……といった感じしょうか。
何か意図がある場合を除き、一般的にはなるべく表記の仕方を統一した方が自然で読みやすく、文章としても美しいとされています。

例を挙げてみましょう。
 その川は茶色く濁り、昨夜の雨で増水している様子であった。
「本当は川沿いに遊歩道があるんだ。あそこにうっすら道が見えているのが分かるか?」
「どこだ、まったくわからないよ。それにしてもひどいありさまだな」

「分かる」という動詞に注目してみてください。
一人目の台詞では「分かる」と漢字表記になっていますが、二人目の台詞では「わからない」とひらがな表記になっています。

当方の校正では、こうした箇所について「表記揺れの可能性がある」として、ひとまず指摘のマーカーを付けるようにしています。
ただし、実際に表記を統一するかどうか、またどういった表記に揃えるかは、作者に判断を委ねております。

絶対にこうするべき!という正解はございません。
(市場に出回る商業の出版物であれば、出版社ごとの方針など一定のルールもありましょうが、個人や同人の作品においては判断基準は人それぞれです)
面倒だから表記揺れは気にしない!というのも一つの選択肢です。
またどういった表記に統一すべきかについても、自身で明確な基準を定めていないという場合は、文章を広範囲で比較して、一番多そうな表記に揃えてしまうというのも、校正後の修正作業を考えると正直楽チンではあります。

さらに申し上げますと、先程の例文が実はそもそも表記揺れではないパターンというのもあり得るのです。
もし二人目の登場人物が、ひらがなでしか喋らないという設定をもつキャラクターだとしたら……。
その場合、この箇所のひらがな表記は絶対に維持しなければ、大切な設定を生かすことができなくなってしまいますよね。
ただ機械的に表記を統一すれば良いというわけではないところが、表記揺れを考える上で難しいところです。

当方では校正を始める前に、表記揺れの統一を望むか否かの意思確認を、依頼者様に行うようにしています。
またお預かりする作品の登場人物についても、可能な限り基本情報を尋ねたり調べたりすることで、例えば先程のひらがな口調などの設定を踏まえた校正を行えるよう、努めております。

……といったところで、今回はここまで!
次回は、表記揺れをなくし、表記統一をする効果や意味などについて、もう少し考えてみたいと思います。

当方では校正の正式依頼の前に、必ずお見積をさせていただいております。
とりあえず見積だけして欲しい、見積を見てから検討したい、という方も大歓迎です。
今はまだ執筆途中だから、ざっくりとしたページ数や文字数しか伝えられない…という人も、依頼にご興味があれば是非お声がけいただければ幸いです!
ご不明点や不安な点についても、お気軽にお問い合わせくださいませ。

皆様のお力になれることを、心より願っております。
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