手紙シリーズ お侍の文(ふみ)

記事
小説
  「打下九十郎から鼓下善十郎への手紙」

前略
突然の文、お許し願いたい。
拙者 原黒藩組頭、打下九十郎と申します。
御貴殿とは面識は御座いませぬが、兼ねてよりお噂では覚え目でたし人と
音に聞き及んでおります。

この度、文をしたためたのには、拙者いささか腑に落ちぬ事がござっての
事で、御気分を害される事があらば平に御容赦願います。

早速では御座ざいまするが、覚え目でたし鼓下善十郎殿。
何卒拙者の問いにお答えいただきたく、よろしくお頼み申します。

拙者は日頃より、何かにつけて口の中で舌を鳴らすらしく、
城内では舌打苦十郎と呼ばれ嫌われておるようなので御座る。
しかしながら拙者にはあまり覚えが無く、どうやら無意識
つまり癖となっているよで、いささか困っている次第で御座る。

お噂では、御貴殿も口の中で舌を鳴らしておられるご様子。

しかしながら御貴殿は舌鼓を打つ、微笑み善十郎と呼ばれておられるとか?
拙者と御貴殿、同じく舌を鳴らしておるのにもかかわらず、何故このような
雲泥の差が生じるのか?
解せぬ! 全く解せぬので御座る。
是非とも、御貴殿のお考えなどをお聞かせ願い、どうすれば人から覚え目でたし人と言われ喜ばれるのかを、ご伝授願いたいので御座る。

誠に勝手な願いで御座るが、どうか
悩み苦しんでいる拙者をお救い願いたい
                             敬具

広宗藩組頭 鼓下善十郎殿
                  原黒藩組頭 打下九十郎

この文にはあえて間違いを作ってあります
この間違いに気づかれた方もおられるかと思いますが、気にされずお読みください

次回は
「鼓下善十郎から打下九十郎への返事」をお楽しみに


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