いつもお世話になっております。
私は千葉県印西市に在住する、社会保険労務士の齊藤祐作と申します。
私事になりますが、6月6日は私が法的に、発達障害者でなくなった日でもあります。
私は大学4年生だった、2008年に発達障害(アスペルガー障害)の診断を受けて、精神障害者手帳を取得していましたが、それから8年後の2016年6月6日付で、住んでいる千葉県から精神障害者手帳の返還命令を受けました。
こちらが実際に、千葉県から受けた通知です(注:鈴木栄治は森田健作知事{当時}の本名。議会だより等は「千葉県知事 森田健作」と表記されていたが、公文書だけは「千葉県知事 鈴木栄治」となっている)。
図1:私が実際に受けた精神障害者手帳の返還命令の通知
この通知を受けた印西市も、当時の板倉市長の名前で、私に書面を送ってきました。
図2:印西市が私に送ってきた書面
精神障害者手帳は、原則として2年ごとに更新(等級の再判定)をすることになっていますが、精神障害の等級が軽くなって、最終的に非該当にまで至るのは珍しいことだと言います。
これを受けて、私は6月15日(千葉県民の日)に印西市役所で、障害者手帳返還の届出をしました。
こちらが実際に提出した、障害者手帳返還届です。
図3:実際に提出した障害者手帳返還届
後で印西市の障害福祉課に問い合わせたところ、2016年に命令という形で精神障害者手帳を返還したのは、私ひとりだけでした。
そこに至るまでの経緯は、拙書の『発達障害者の才能をつぶすな!』(幻冬舎ルネッサンス新書刊)にもはっきり書いてあります。
障害者手帳を取得してまで就職するしかなかった理由
ここで、私が障害者手帳を取得してまで、新卒での就職を選んだ理由について書きますが、実は私は2度、就職活動をした経験があります。
池袋にある、東京電子専門学校の電子技術科に在籍していた2004年~2005年にも、私は就職活動をしましたが、その時は同期の中で自分1人だけが、企業などの内定を取ることができませんでした。
それで「努力が足りないのか!」と思った私は、急遽、千葉工業大学の一般入試を受けることを決めました。
この一般入試に合格して、当時の生命環境科学科に入学した私は、4年後(2008年~2009年)に2度目の就職活動をしましたが、結局、私は何十社受けても、一般の枠の内定を1つも取ることができませんでした。
それで私は、ASD(アスペルガー症候群)の診断を取って、障害者枠で千葉県の佐倉市にある、株式会社Hに入社することになったのです。
もちろん、就職留年という手も無かったわけではありません。
しかし、私は両親から、「学費を出すのは6年まで」と早くから言われていました。
私の場合、18歳から20歳まで2年制の専門学校に在学していたため、1度でも留年することが許されない状況下にありました。
しかも、当時はまだ「卒業後3年間は新卒扱い」という通達が出されていなかったため、新卒時に就職できないと、その後の就職が極めて難しい(ニートないしはフリーターが事実上確定してしまう)事情がありました。
だから、障害者枠を使ってでも新卒で就職するしか無かったわけです。
こうして株式会社Hに入社した私ですが、私は正社員ではなく、1年ごとの契約社員という形での入社だったため、時給換算の賃金は正社員で採用された同期(大卒初任給)の8割に過ぎませんでした。
しかも、進路が決まったのは研究室の同期の中で一番最後(卒業直前の2月)でした。
これらの影響で、自分は社会から「劣った人材=優秀な人材ではない」とみなされているのだという考えを、強く持つようになりました。
プロ野球で言えば、支配下ではなく、育成枠で入団したようなものです。
私が実践していた発達障害者でなくなるための努力
それで、私は障害者枠での就職が決まった時から、優秀な人材になるための努力を始めることにしました。
並行して、発達障害に関する書籍を読み漁るようになりました。
Amazon.co.jpで私が投稿したレビューを見ると、この時期(2008年頃)から発達障害に関連する書籍が激増していることが分かるはずです。
当時読んでいた発達障害に関する書籍は、下の写真のようなものです。
図4:発達障害に関する書籍の例
この『大人のアスペルガー症候群』(佐々木正美・梅永雄二監修、講談社こころライブラリー、2008年)は、文字通り大人のアスペルガー症候群(ASD)の特徴を100ページのイラスト版という形でまとめたものですが、見方を変えればこの本で書かれている特徴に当てはまるものが多いほど、ASDと診断される可能性が高くなるわけでもあります。
それで、私はASDでなくなるために、自分の行動を徹底的に矯正することにしました。
要は『大人のアスペルガー症候群』などで書かれているようなことと、全く逆の行動を取るわけです。
<ケース1>
例えば、自分の仕事が終わったけれど、周囲が忙しそうにしている場合は、どうすれば良いのでしょうか?
図5:ケース1のイラスト(出典:『大人のアスペルガー障害』48ページ)
このイラストのように何もせず、仕事を手伝わなかったり、定時で帰ったりすると、いくら仕事ができても「協調性のない奴だ!」「付き合いの悪い奴だ!」と思われて、ASDとラベリングされてしまうことになります。
だから、自分の仕事が早く終わったら、たとえ専門外であっても自ら率先して仕事を手伝うようにします。
<ケース2>
もう1つ例を挙げますが、相手が打ち合わせに2~3分遅れた場合は、どうしたら良いのでしょうか?
図6:ケース2のイラスト(出典:『大人のアスペルガー障害』54ページ)
この時、イラストのように烈火のごとく怒ったりすると、「融通の利かない奴だ!」「こだわりの強い奴だ!」と思われて、ASDとラベリングされてしまうことになります。
だから、些細なことであれば絶対に怒らず、平然と打ち合わせに入るようにします。
もちろん、内容はこれ以外にもまだまだ沢山あります。
本記事の最後には、ASD診断テストも付けていますが、このテストで「同じやり方を何度も繰り返し用いることが好きだ」「同時に2つ以上のことをするのは難しい」などといった項目に多く当てはまるほど、ASDと診断される可能性が高くなります。
それをさせないため、私は同じやり方を繰り返さないようにしたり、同時に2つ以上のことができるようになるためのトレーニングを積んだりしました。
このような方法で性格・特性を変える努力を続けた結果、私は大学卒業から7年後(最初にASDの診断を受けてから8年後)の2016年6月に、住んでいる千葉県から持っていた精神障害者手帳の返還命令を受けるに至ったのです。
付録ーASD診断テスト
最後に、ケンブリッジ大学自閉症研究チームが作成した、ASD診断テストを掲載します。
この自己診断テストは、『隠れアスペルガーという才能』(吉濱ツトム著、ベスト新書)にも掲載されています。
この診断テストは50個の質問に、「①そうである」「②どちらかと言えばそうである」「③どちらかと言えばそうではない」「④そうではない(違う)」の4つの選択肢で答えるものです。
以下の質問の、①または②に該当する項目が多いほど、ASDの傾向が強いことになります。
目安は以下の通りです。
0個から14個:ASDとは言えないレベル
15個から34個:ASDのグレーゾーンだと疑われるレベル
35個から50個:ASDと診断される可能性が高いレベル
<質問>
1:何かをする時は、他の人と一緒にするより1人でする方が好きだ
2:同じやり方を何度も繰り返し用いることが好きだ
3:何かを想像する時、映像(イメージなど)を簡単に思い浮かべることができない
4:他のことが全然気にならなくなる(目に入らなくなる)くらい、何かに没頭してしまうことがよくある
5:他の人が気がつかないような小さい物音に気がつくことがある
6:車のナンバーや時刻表の数字などの一連の数字や、特に意味のない情報に注目する(こだわる)ことがよくある
7:自分ではていねいに話したつもりでも、話し方が失礼だと周囲の人から言われることがよくある
8:小説などの物語を読んでいる時、登場人物がどのような人か(外見など)についてイメージすることができない
9:日付についてこだわりがある
10:パーティーや会合などで、いろいろな人の会話についていくことができない
11:自分が置かれている社会的な状況(自分の立場)がすぐには分からない
12:ほかの人は気がつかないような細かいことに、すぐに気づくことが多い
13:パーティーなどよりも、図書館に行く方が好きだ
14:作り話に、すぐには気がつかない
15:人間よりもモノの方に魅力を感じる
16:それをすることができないとひどく混乱して(パニックになって)しまうほど、何かに強い興味を持つことがある
17:他の人と、雑談などのような社交的な会話を楽しむことができない
18:自分が話をしている時には、なかなか他の人に横から口をはさませない
19:数字に対するこだわりがある
20:小説などを読んだり、テレビでドラマなどを観ているとき、登場人物の意図をよく理解できないことがある
21:小説のようなフィクションを読むのは、あまり好きではない
22:新しい友人を作ることは難しい
23:いつでも、ものごとの中に何らかのパターン(型や決まりなど)のようなものに気づく
24:劇場に行くよりも博物館に行くほうが好きだ
25:自分の日課を妨害されると混乱することが多い
26:会話をどのように進めたらいいのか、分からなくなってしまうことがよくある
27:誰かと話しているときに、相手の話の「言外の意味」を理解することは難しい
28:全体よりも細部に注意が向くことが多い
29:電話番号を覚えるのが得意だ
30:状況(部屋の様子やものなど)や人間の外見(服装や髪型)などがいつもとちょっと違うのに、すぐ気づくことが多い
31:自分の話を聞いている相手が退屈していると、どのように話をすればいいのか分からない
32:同時に2つ以上のことをするのは難しい
33:電話で話をしているとき、自分が話をするタイミングがわからないことがある
34:自分から進んで何かをすることは苦痛だ
35:冗談がわからないことがよくある
36:相手の顔を見ても、その人が考えていることや感じていることがわからない
37:じゃまが入って何かを中断されると、すぐにそれまでやっていたことに戻ることができない
38:人と雑談のような社交的な会話をするのが苦手だ
39:同じことを何度も繰り返していると、周囲の人からよく言われる
40:子供の頃、友達と一緒に、「〇〇ごっこ」をして遊ぶこと(ごっこ遊び)はあまりなかった
41:特定の種類のものについての(車について、鳥について、植物についてのような)情報を集めることが好きだ
42:あること(もの)を、他の人がどのように感じるかを想像するのは苦手だ
43:自分がすることはどんなことでも慎重に計画するのが好きだ
44:社交的な場面(機会)は苦痛だ
45:他人の考え(意図)を理解するのは苦手だ
46:新しい場面(状況)に不安を感じる
47:初対面の人と会うことは苦痛だ
48:社交的ではない
49:人の誕生日を覚えるのは得意だ
50:子供と「〇〇ごっこ」をして遊ぶのがとても苦手だ