付録商法と、Amazonのレビューは全然効かないのか?

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 2024年4月末、ココナラ初の公式ガイドブックとなる『ココナラ スタートブック』が、宝島社のTJムックという形で発売されました。
 その直後の5月16日に、テレビ東京系の『カンブリア宮殿』で、ココナラの特集が組まれました。

 私はその回の『カンブリア宮殿』を、ハードディスクに録画した上で実際に視聴しました。
 さらに、私は『ココナラ スタートブック』を実際に書店で購入して読んだ後、速攻でAmazon.co.jpに『ココナラ スタートブック』のレビューを投稿したのですが、私の予想に反してAmazon.co.jpのレビューの数と、自分の投稿したレビューの得票数は伸びていません。
 この現状を見ると、もはや宝島社の付録商法や、Amazon.co.jpのレビューが全然効かなくなっているのではないかと、思わずにはいられません。

 私がAmazon.co.jpに投稿した『ココナラ スタートブック』のレビュー

 私は26歳だった2011年10月に、『もう読みたい本がない!』(幻冬舎ルネッサンス新書刊)で評論家デビューを果たしています。
 そのプロフィールには、「高校卒業後、本名の齊藤祐作でAmazon.co.jpに書籍のレビューを投稿し続けている」と書きましたが、39歳になった2024年現在もその活動は続けています。
 『ココナラ スタートブック』には、次のようなレビューを実際に投稿しています。


★★★★★ 齊藤祐作
 このスタートブックのクオリティーは、非常に高いと言う他ない!

 (2024年5月10日に日本でレビュー済み)
 「スキルを売り買いココナラ~」というCMでおなじみの「ココナラ」は、どのようにして活用すれば良いのだろうか?

 これは、スキルマーケットの「ココナラ」の活用法をTJムックという形でまとめたものであるが、このガイドブックのクオリティーは、非常に高いと言う他ない。
 この本の内容は「ココナラ」の概要と、「ココナラ」でのサービスの出品法と、「ココナラ」でのサービスの購入法の3部構成となっているが、各章の内容はどれも具体的な事例を交えながら、細かい所まで分かりやすく網羅的に示されていると言える。
 この本の初版には新規登録会員限定のクーポンも付いていたが、これほど本編の内容が充実していれば、わざわざ特典を付けなくても、「この本を買って良かった!」と思わせることができるはずである。

 私は社会保険保険労務士としての実績を積んだり、論考(オピニオン記事)等を発表したりする目的で「ココナラ」に登録しているが、はっきり言って、「ココナラ」ほど多種多様なプロが集結しているサービスは他に無いと思う。
 だから、「ココナラ」で「フリーランスとしての実績を積みたい!」「いろんなプロのサービスを購入したい!」などと考えているのであれば、迷わず最初にこの本を読んで欲しいと思う。


 このようなレビューを発売直後に、速攻で投稿すれば、それが呼び水となって当該商品の売れ行きが一気に伸びるはずです。
 しかし、投稿から1か月経っても、Amazon.co.jpのレビューの数はそれほど増えていません。
 その影響からか、「参考になった」票も全然伸びていません。
 そう考えると、短期間で大量の「参考になった票」の獲得を狙った、私の目論見は大きく外れたと言わざるを得ません。

 私のAmazonレビュアーとしての実績

 この記事を拝見した人の中には、本当に私の投稿したレビューがあるのか、実際に確かめてみた方もいると思われます。
 「齊藤祐作」という文字をクリックすると、私の投稿したレビューがズラズラズラ・・・と一覧になって表示されると思われますが、実はこのアカウントは3代目です。

 2003年~2006年までの4年間使用していた、初代のアカウントにはレビューが118本あります。
 「参考になった」票は、通算で1045票に達しています。

 2007年~2022年までの16年間使用していた、2代目のアカウントにはレビューが325本あります。
 「参考になった」票は、通算で5277票に達しています。

 2023年から使用している、現行のアカウントにはレビューが33本あります。
 「参考になった」票は、通算で99票に達しています。 

 初代から3代目までを合算すると、レビューの本数は476本と、「参考になった」票の総数は6421票となります(レビューの本数と、「参考になった」票の総数はいずれも2024年11月30日時点)。
 いずれのアカウントにも「齊藤祐作」という名が使われていて、尚かつ書籍のレビューが全体の95%超を占めているため、同一人物であることがすぐ分かるはずです。

 付録商法の限界と消費者の感覚のマヒ

 今回の件で私が感じたことは、2つあります。
 1つは、「付録商法が完全に限界に来ているのではないか?」ということです。
 ご存じの方も多いと思われますが、出版物の売上は1996年の2兆6564億円をピークに減少傾向が続いていて、2023年にはそれが電子書籍を合わせて、1兆5963億円にまで落ち込んでいます(出版科学研究所のデータより)。
 そのような出版不況の中、宝島社はムックを中心とした、付録商法で何とか売り上げを確保してきた側面があります。

 もちろん、付録商法は今に始まったことではありません。
 『りぼん』(集英社)や、『ちゃお』(小学館)や、『なかよし』(講談社)や、『コロコロコミック』(小学館)などといった低年齢層向けの漫画雑誌(月刊誌)には、昭和時代からさまざまな付録が付けられていました。
 学研が2010年まで発行していた『●年の科学』にも、付録の実験道具が付いていました。

 だが、近年はその付録商法が、明らかに過熱していると言えます。
 2010年代に流行した「AKB商法」(CDに握手券などのおまけを付けることで、熱狂的なファンに当該CDを大量に買わせる手法)が、雑誌およびムックの付録頼みの傾向をより一層加速させたと言えます。
 そのような行き過ぎた付録商法によって、日本の消費者の感覚がマヒしていった結果が、

  付録(初版限定で付いているクーポン券)の中身がショボい
 →コスパが悪いから、『ココナラ スタートブック』を買いたくない! 

 という事態につながったのだと思われます。

 呼び水にもならないAmazonのレビュー

 もう1つは、「★5つのレビュー1本だけでは、呼び水にもならないのではないか?」ということです。
 特に、近年の日本では「ハズレを引きたくない!」という思いが若者を中心に、一層強くなっているように感じます。
 ライターの稲田豊史氏の取材によると、映画興行の現場の人(この方は相当なベテランと思われる)はこう嘆いていたと言います。
 書籍でも、その傾向はほとんど変わりません(『映画を早送りで観る人たち』{光文社新書、2022年}161ページの記述より)。


 「信頼している人が勧めている、確実におもしろいと評判の作品しか観に行かない人が、昔よりずっと多い。皆、冒険しなくなっている。だから、当たる作品と当たらない作品の二極分化がはなはだしい」


 もちろん、私もこのような状況を、黙って見ていたわけではありません。
 私は高校を卒業してから20年以上、Amazon.co.jpで書籍のレビューを投稿し続けてきましたが、その中には、自分が最初のレビューの投稿者であった(自分が投稿するまでは、Amazon.co.jpのレビューの本数がゼロだった)ものも数多く含まれています。
 このような形で、ほとんどの人が注目していない書籍にスポットを当てることで、活字の読書離れを少しでも食い止めようと考えていたわけです。

 だが、コスパ・タイパ至上主義が進行すると、レビューが全然付いていない商品は、

  みんなが注目していない商品
 →コスパが悪い(その商品を推しても、友達が誰も乗ってこない)から読みたくない!

 という理由で、十把一絡げに選択肢から除外されてしまうことになります。
 当該レビューがどれほど秀逸なものであった(ビブリオバトルで入賞するほどのレベルであった)としても、その傾向は変わりません。
 むしろ、私のような昭和生まれの人が推す作品だと、特にZ世代の若者たちから、「上から目線で『正しい観方』なんて教わりたくない!」と反発されてしまうのがオチです。

 ★5つのレビュー1個よりも、★1つのレビュー100個の方が良い?

  ただ、こう書くと皆さんの中には、「肝心の話題作が期待外れだったらどうなのか?」と疑問に思う方がいるかも知れません。
 もちろん、作品の中には★1つのレビューが大量に付きまくっているものも数多くあります。
 それならば、「★1つのレビューが大量に付きまくっている駄作ではなく、レビューの数は少ないけれども、評価の極めて高い作品を選んだ方が、コスパが良いのではないか?」と思うのも、ある意味で自然なのかも知れません。

 だが、現代の日本では若者を中心に、「共感強制力」がかつてないほど強まっている側面があります。
 「共感強制力」は、博報堂メディアパートナーズ・メディア環境研究所の森永真弓氏が提唱した言葉ですが、端的に言えば、これはLINEの既読スルーを絶対にしてはならないことでもあります。
 つまり、彼らにとっては仲間との話題に乗れる(面白かったら「面白かった」と、つまらなかったら「つまらなかった」という反応を速攻で返す)ことが至上命題となっているわけです。
 極端な話、作品のクオリティーは二の次になってしまっているわけです。

 これでは私がAmazon.co.jpに投稿する、1本の★5つのレビューが全然呼び水にもならないのも、ある意味で当然なのかも知れません。

 付録商法の過熱は、どのようにして抑えるべきか?

 ここからは、具体的な問題の解決策について提示しますが、現在のような行き過ぎた付録商法の解決には、法律によって付録の規制を強化することが必要だと考えます。
 つまり、付録の規制のレベルを、2000年以前と同程度に戻すわけです。
 日本雑誌協会が「麻薬」とも言える、付録の流通に関する自主規制の緩和に踏み切ったのは、出版物全体の売上が減少に転じ始めた2001年のことですが、それから20年以上経って消費者が「耐性」を持つようになった現在では、付録という出版物の売上を伸ばすための「麻薬」が効きづらくなっています。

 近年の日本では若者を中心に、オーバードーズと呼ばれる市販薬の過剰摂取が大きな問題になっていますが、これは薬物依存につながる、極めて危険な行為でもあります。
 薬物依存に陥った人と同じで、現在のような行き過ぎた付録商法を放置すると、出版業界全体が破滅してしまうことは目に見えています。
 そのような事態を防ぐためにも、付録の規制強化は今すぐやるべきではないでしょうか。

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