笑顔と感謝を忘れたくない私が、なぜあの広告に違和感を覚えたのか

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なぜ、私はあの広告に腹が立ったのか

「本を出したい。でも、何から始めればいいのか分からない」
「できればお金はかけたくない。できるなら“0円”で出せたら…」
そう思う気持ちは、痛いほど分かります。
だからこそ、私は昨日、あるSNS広告を見て強い違和感を覚えました。
――「商業出版を0円で実現」
その言葉を見た瞬間、正直に言えば、腹が立ちました。
怒りというよりも、「これから本を出したい人が誤解してしまう」ことへの危機感です。
私は30年以上、出版社に身を置き、300冊以上の書籍を編集してきました。
講談社、主婦の友社を経て、現在はひとり出版社を経営しています。
その私が、はっきり言います。
商業出版を“0円で実現する”という表現は、現実を無視しています。

私が見てきた「一冊の裏側」

紙の本を1冊出すには、どれだけのコストがかかるか。
編集費、デザイン費、組版、校正、印刷、製本、流通、営業、倉庫保管、返品対応…。
さらに著者への印税。
出版社は、1冊の出版に400万円以上、場合によってはそれ以上を投資します。
これは「費用」ではなく、ほぼ“出資”です。
売れる保証はありません。
しかも今の出版業界は、返品のスピードが非常に速い。
書店に並んで2週間。売れないと判断されれば、返品対象になります。
戻ってきた本はどうなるのか。
出版社の倉庫に積まれます。
倉庫代は決して安くありません。
在庫を抱えるということは、毎月コストが発生し続けるということです。
このリスクを背負って、出版社は企画を通しています。

「フォロワー」と「ファン」は違う

よく言われます。
「SNSフォロワーが多ければ出版できますか?」
答えは、ケースバイケースです。
10万人の登録者がいるYouTuberでも、
それが“フォロワー”なのか、“ファン”なのかで話はまったく変わります。
本を確実に買ってくれる5万人のファンがいるなら、話は別です。
しかし、バックボーンのない状態で「企画力だけ」で出版社がゴーサインを出すことは、今の時代、ほぼありません。
これは冷たい話ではなく、現実です。

だからこそ「企業出版」が存在する

では、なぜ数百万円〜1000万円規模の企業出版が存在するのか。
「高い」と感じる方もいるでしょう。
しかし、出版社が400万円以上を投資する構造を考えれば、その金額が一概に暴利とは言えないことも分かるはずです。
本を出すということは、
それだけの資本とリスクが動くプロジェクトなのです。

夢を壊したいわけではない

私は、夢を壊したいわけではありません。
むしろ逆です。
本を出したい人に、正しい知識を持ってほしい。
誤った期待で時間やお金を失ってほしくない。
「0円で商業出版」という甘い言葉に心が揺れるのは自然です。
でも、その裏側を知らないまま進むことは、あまりに危うい。
どうか、冷静に考えてください。
出版は、魔法ではありません。
地道で、リスクを伴う、れっきとしたビジネスです。
だからこそ、本当に価値がある。
私はこれからも、業界の内側を知る人間として、
きれいごとではない現実を伝えていきます。
それが、本を出したい人への、私なりの誠実さだと思うからです。
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