「脳科学と深層心理学のコラボレーション⑥」 ~「人間性」の根幹に関わる「脳」と「心」のヒミツ~

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学び
(2)「人間性」で問題になるのは「前頭連合野」
③「人間性」が目指すのは「幸福」である
 「人間性」は「複雑な社会的人間関係」の中で発達し、「喜び」「満足」に至るのです。

「大人」~「脳科学」の観点から見た定義では、しっかりとした目的と計画を持ち、社会的規範と自分の置かれた状況に応じて適切な判断をしつつ、相手の気持ちを汲んで、言動と感情をコントロールできる人間とされます。

「小人」~「儒教」的倫理ではなく、「脳科学」的視点によれば、目的性・計画性に乏しく、規範意識や状況判断力が弱い、他人の気持ちが分からず、自分の言動と感情をコントロールできない人間とされます。

「理想的人間像」~「脳科学」の観点から見て、「脳内・脳間操作系」としての「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」が十分に発達すると、次のような人物になると考えられます。
◎前向きで、計画的、プラス思考。
◎個性的で独創的。
◎頭が良く、優れた問題解決能力を持つ。すなわち、「一般知能」が高い。
◎理性的で、自分の感情・欲望や行動をうまくコントロールができる。
◎良好な社会性・協調性を持ち、優しく、思いやりがある。
◎豊かな感情、やる気、幸福感、達成感を持つ。
◎幸福な家庭と社会的成功を得て、人生に成功する。すなわち、「IQg」が110以上。

「人間的未成熟」~逆に「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」がうまく発達しないと、次のような人物になると考えられます。
●無計画で刹那的。
●キレやすく、衝動的。
●頭が悪く、問題解決能力が低い。すなわち、「一般知能」が低い。
●状況を無視した自分勝手な行動や非社会的あるいは反社会的な行動を繰り返す。
●相手の気持ちがよく分からず、協調性や優しさが希薄。
●やる気や幸福感、達成感が欠如し、無感情にもなる。
●社会性や人間性が欠如し、幸福な結婚や社会的成功からも見放されて人生に失敗する。すなわち、「IQg」が90以下。
 最近ではIQが高くて勉強もでき、一流大学に入って一流企業にまで入りながらドロップアウトしてしまう若者や、一流大学を卒業して大学院に入りながら、受験や試験の成績は良く、知識は多いものの、問題設定能力と問題解決能力があ然とするほど低い大学院生が増えてきていますが、彼らにも「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」の機能低下が確認されるというのです。
 分数ができない、ことわざや四字熟語の意味が分からない、難しい漢字が読めないなど、大学生の学力低下は深刻であり、旧帝大の大学院生の学力が短大生と同程度だという調査もあるぐらいですが、もっと深刻なのは様々なアンケート調査でも「幼稚」「無責任」「自分勝手」「ウソつき」「将来の展望がない」「目標がない」「刹那的」といった大学生像が浮かび上がってくることであるといいます。
 さらには学校へも行かず、職もなく、働く意欲を喪失した「ニート」(NEET=Not in Education, Employment or Training)が2000年頃から急増し、現在では80万人もいるとされますが、「脳科学」的にも深刻な存在となっています。

「統合失調症」~多くの場合、「脳」の発達障害が原因とされ、胎児や幼少期に何らかの原因で「脳」がうまく発達しなかったせいで、「統合失調症」になることがあり、虐待などの過酷な環境が原因となることもあります。共通しているのは「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」の障害であり、特にその根幹たる「ワーキングメモリ」が衰えていて、重篤な場合は正常な社会生活も困難となります。「ワーキングメモリ」で重要な働きをしている脳内ホルモン「ドーパミン」の働きが悪化しており、「前頭連合野」のドーパミン受容体が減っていることが知られています。

「注意欠損多動性障害」(ADHD=Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)~いくつかのタイプがありますが、幼少期に多発し(7歳未満)、注意力が散漫で、集中できない、じっとしていられず、絶えず動き回る、キレやすく衝動的、授業中に立ち歩く、勉強に集中しない、などといった症状を示します。いわゆる「学習障害」に直結しがちな障害で、その多くは「前頭連合野」の機能障害です。したがって、「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」の障害です。アメリカ大統領ケネディやエジソンも「ADHD」であったことは有名で、日本の全児童の5%が「ADHD」だという統計もあり、40人クラスなら、1クラスに2人はいる計算になります。
 そもそも「注意」には、近くで何かが落ちて音がした時、反射的にその方向に意識が向くというような「受動的注意」と、自分の意志によって特定の対象に注意を払うことを言う「能動的注意」の2種類がありますが、「能動的注意」は「選択的注意」とも呼ばれ、学校で先生が字を書いている黒板に目を向けている時などに起こる意識で、同時に何かに注意する際に、その注意を妨害するものを排除する働きが伴います。
 「ADHD」は「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」の働きである「能動的注意」及び「自己制御」がうまく働かない病気であり、「前頭連合野」における「注意力」に関係する「ノルアドレナリン」の機能不全と、「集中力」の源である「ドーパミン」の機能低下が原因であることが分かっています。

「アダルト・チルドレン」~アメリカ大統領クリントンが自らそうであることを明らかにして脚光を浴びましたが、これも軽度な「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」の障害と考えられています。あくまで「自覚症状」であって「病名」ではないので、アメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM=Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)には載っていなません。このマニュアルは精神障害の国際的かつ標準的マニュアルとなっているので、精神科医は通常、最新バージョンのDSMに基づいて診断を下すのです。
 ちなみにジャネット・ウォイティッツによれば、「アダルト・チルドレン」の特徴は次のようであるといいます。
●何が正常かを推測してしまう。つまり、「これでいい」という確信が持てない。
●物事を最初から最後までやり遂げることが困難である。
●本当のことを言った方が楽な時でもウソをつく。
●情け容赦なく自分に批判を下す。
●楽しむことがなかなかできない。
●真面目すぎる。
●親密な関係を持つことが難しい。
●自分にコントロールできないと思われる変化に過剰に反応する。
●他人からの肯定や受け入れを常に求める。
●他人は自分と違うといつも考えている、と思っている。
●常に責任を取り過ぎるか、責任を取らなさ過ぎるかである。
●過剰に忠実である。無価値なものと分かっていても、こだわり続ける。
●衝動的である。他の行動が可能であると考えずに、1つのことに自らを閉じ込める。

「臨界期」(critical period)~「脳」を発達させる適齢期であり、「知性」の神経システムがドラスティックに変化して最も発達する時期を指します。
 例えば、生まれたばかりの赤ん坊は少なくとも1300億個以上の「ニューロン」が「大脳」にありますが、生後1年で「ニューロン」の85%は死滅し、大人のレベルに近づいてしまうといいます。ちなみに成人の大脳には約200億個の「ニューロン」があります。こうして生き残った「ニューロン」は豊かに発達し、「シナプス」も急激に増加して「神経回路」も複雑になるのですが、「シナプス」の急増も5~6歳頃をピークとして一転して減少に転じ、15歳頃には大人のレベルに近づくのです。
 このように「ニューロン」の大量死と「シナプス」及び「神経回路」の急速な形成と減少が「脳」の発達を特徴づけているのですが、これは生まれてからの「環境」を完全には予測することはできず、また、3万個にも満たない遺伝子だけできわめて複雑な「神経回路」を決めることは不可能だからです。そのため、生まれて間もない頃の「脳」は無駄とも言えるほど大きな可能性を求めて、「ニューロン」や「シナプス」を作り、多様な「神経回路」を形成し、その後、「環境」に合わせて無駄を捨て去り、適応した「神経回路」が生き残る仕組みとなっているのです。
 ちなみに、「脳」の機能ごとに「臨界期」が多少異なっていることが分かっています。
(1)視覚の「臨界期」=4歳頃まで。この期間にものを見ないで過ごしてしまうと、一生ものが見えなくなります。
(2)言語の「臨界期」=8歳頃まで。この時までに2つの言語環境で育った人は「初期バイリンガル」となりますが、2つの言語を共にネイティブ同様に話し、理解するため、「真のバイリンガル」とされます。これは「前頭葉」の「ブローカ野」の同じ領域が2つの言語を同じように扱うためです。この「ブローカ野」は「左脳」にある代表的「言語野」で、他に代表的な「言語野」として「側頭葉」の「ウェルニッケ野」があります。
 これに対して、「後期バイリンガル」は第二言語が如何に流暢に見えても、ネイティブには及ばないとされますが、これは「ブローカ野」が2つの言語用に区画化され、それぞれの言語は区画ごとに処理されるため、「臨界期」を過ぎてから獲得した言語用の区画の機能は母国語並みにはならないからです。
(3)絶対音感の「臨界期」=8歳頃まで。この期間に音楽の訓練を受けると60%ほどの子供が絶対音感を獲得でき、その後ではわずか2%しか絶対音感を身に付けられないことが分かっています。ここで100%ではなく60%なのは、「遺伝要因」があるからです。また、2%でも絶対音感を身に付けられるということは、「臨界期」を過ぎても可能性はゼロではないということです。
(4)「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」の「臨界期」=8歳頃まで。これは「アヴェロンの野生児」ヴィクトールや「狼少女カマラ」、アメリカのジーニーやレイシーなどのケース、真猿類の社会的隔離実験などによって検証されています。ちなみに「好きなことを自由に主体的にする」「好奇心、集中力、充実感を持つ」という行動によって「伝達物質」の1つである「ドーパミン」系がよく働き、「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」の成長が促進されるのです。

「両親の愛情」「豊かな社会的関係」~親の「過保護・過干渉」が子供に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。特に「母親の過保護・過干渉」「母子密着型の子育て」が問題であるとされています。
 例えば、「思春期挫折症候群」は「思考と判断能力の低下」「自己中心的、責任転嫁」「無気力、刹那的、憂鬱、被害妄想」などを特徴とし、具体的な行為障害としてはルーズな生活や親への反抗・暴力、校内暴力や登校拒否、引きこもり、非行などが見られ、自殺に至ることもありますが、この症候群になった子供の親の性格を調べたところ、「過敏で心配性」「完全欲が強く几帳面」という顕著な傾向があることが分かっています。
 すなわち、半数以上の親、特に母親が「過敏で心配性」だったことが判明しており、それ以外の性格、例えば「自己中心的」「依存的」「非社交的」「固執」「小心」などはほとんど関係がなかったといいます。このように親が「過敏で心配性」で、「完全欲が強く几帳面」であると、「過保護・過干渉」になる可能性が高くなるのです。
 あるいは「虐待」(「無視」を含む)や援助交際に代表される「劣悪な性関係」なども「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」の成長を阻害する大きな要因とされています。逆に「添い寝」「抱っこ」「母乳」などの「スキンシップ」や「語りかけ」などが「脳」の発達に非常に重要で、「脳幹」(特に「中脳」)の「ニューロン」群を刺激して、「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」などを分泌させ、「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」や「多重知性」を促進・発達させるといいます。実はこれも「母親」が重要であり、「父親」が語りかけても新生児の「言語野」は活動しないということです。
 さらに3歳頃から「臨界期」たる8歳頃までの「豊かな社会的関係」が、「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」発達にとって基礎的かつ決定的であるとされます。これには「仲良く」だけでなく「ケンカ」も時には必要で、「心の痛み」も「体の痛み」も「他人の気持ちを理解する能力」の発達に深く関係しているのです。

「幸福感」~心理学における統計研究で、「収入」「社会的成功度」「国家」「民族」「宗教」「性別」「年齢」等の要因は「幸福感」と無関係であることが分かっています。現時点で分かっている「幸福感」と結びつく「共通要因」は「遺伝」「家系」であり、もう1つは「結婚」です。ちなみに「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」が発達している人は離婚しない傾向が強く、持続的な「結婚」には高い「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」が不可欠で、そうした「結婚」こそが「幸福感」と結びついているというわけなのです。
 従って、「超知性」「統合知性」「人間性知性」「自我」「成功知性」を発達させれば「幸福な結婚生活」を送りやすくなり、また、遺伝学的に見れば、「遺伝的に幸福感を抱きやすい人」と「結婚」することも、「幸福感を抱きやすい子供」が生まれる可能性が高くなることから、「子供の教育」以前に「出会い」が重要ということにもなるでしょう。

「うつ病」~「幸福感」の減退・欠如と「うつ病」は結びついていることが多く、「幸福感」が少ない人に「うつ病」患者が多いことが分かっています。その特徴は「感情障害」であり、特に「幸福感」や「安心感」が減退、もしくは欠如しており、いつも憂鬱で、物事を悲観的に考え、しかも自殺志向があって、実際に自殺に走るケースも多いのです。近年、増加している自殺者のほとんどが「うつ病」患者だという報告もあります。
 注意力や集中力が減退し、活動量も低下して、食欲などの欲望がなくなり、夜眠れなくなり、寝ても早く起きてしまうのです。欧米では1年当たり、人口の3~6%が「うつ病」になっているといいます。「ストレス」が原因だと考えられていますが、「ストレス」に最も敏感な「大脳」領域が「前頭連合野」であり、「脳」レベルで言えば、「伝達物質」である「セロトニン」の機能不全が主要因とされます。

【参考文献】
『幸せになる成功知能HQ』(澤口俊之、講談社)
『心が脳を変える 脳科学と「心」の力』(ジェフリー・M・シュウォーツ、サンマーク出版)
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