キャンパスライフ充実編⑮:単位は上手に取りましょう。

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Hoist your sail when the wind is fair.(順風に帆を揚げよ。)
He who hesitates is lost.(ためらう者は負ける。)

 大学に入れば、学生の義務として単位を取らなければなりません。中にはそれまでの学校生活の延長のようにして、無遅刻・無欠席の「皆勤賞」を誇る真面目人間もいますが、これは愚の骨頂です。「価値判断」と「現実的対処」ができていないからです。もちろん、真面目な人は「真面目なだけじゃダメだ」と言われると、「そんなことを言われても自分はこれ以外できない」と言いたくなりますが、そろそろ次のステップに入る頃だと考えましょう。「要領」も身につけるべきだということです。最近では社会人でありつつ、通信制大学・大学院で学ぶ人も増えてきましたが、ある意味で通学より実が問われ、レポート、テスト、スクーリングをしっかりこなさなければなりませんので、「要領」が悪いといつまで経っても卒業できないということになりかねません。
 通学授業の中には講義・演習(ゼミ)・実験などがあり、出るべき価値があるもの、出なければならないもの、単位さえ取ればいいもの、とはっきり分かれてきます。授業概要などで内容を吟味し、自分が学びたいと思うもの、進級上や資格取得上、必要なものをよく見極めて受講登録をするわけですが、残念ながら日本の大学の教授・准教授は研究のプロではあっても、教育のプロであるとは限りません。アメリカの一流大学ではこの点、厳しく、研究に専念できるポストがある反面、学生の評価は契約更新や昇進の重要なファクターとされ、学生が理解しづらい、意欲をそがれる授業などもってのほかです。
 したがって、授業の中には教授本人が書いた本の内容を1年かけてやるだけのものもあり、そんなものはその本を買えば、1週間で終わる内容ですから、1年かけて出席する意味はありません。出席を取らないようなら、さっさと見切りましょう。基本的に出席が厳しいのは語学系、資格関連系、ゼミ系なので、それ以外はテストかレポートで単位を取りさえすればいいのです。また、最近ではコロナ下でのオンライン化で、リアクションペーパーを毎回提出させて実と取る授業や、オンデマンドで好きな時間に受講すればいい授業も出てきましたが、頭のいい人と友達になって対処すれば、いくらでも道が開けます。ノート係を割り振って共同で対処するような、チームワークのいいクラスに恵まれればそれを利用し、バラバラなクラスなら試験前1週間には必ず出席して、隣の人と友達になり、その場でノートを借りてコピーし、授業中のうちに返しましょう。要領の第一は「友達づくり」「コミュニケーション能力」であり、個人の能力で何もかも対処しようとするとすぐに限界にぶつかってしまいます。
 4年生になって卒業がかかっている時には、試験が終わった後、ヤバイ科目は必ず教授の研究室か家に電話を入れて、「就職が決まっているんです。レポートでも何でも出しますから、お願いします」(「追試でも何でも受けます」とは絶対言わないことです)と泣きを入れましょう。たいていは自分の担当科目のみで卒業を1年延期させ、決まっていた就職も棒に振らせるという事態は避けるものです(たまに鬼のように厳しい人がそれでも落として就職をフイにさせることもありますが)。しかし、間違っても手土産を持って訪ねることはしてはいけません。これをすると、どんな人情家の教授にも「良心の反動」が起きます。あくまで学問に対する誠意を示すべきです。時にプライドもかなぐり捨て、なりふり構わぬ死に物狂いさを見せることも必要です。
 レポートは慣れないうちは大変ですが、有用です。最初は独創的なペーパーを書こうとするよりも、数冊の本から使える箇所を抜き出し、論理骨格を組み立た上で肉付けして仕上げましょう。本を探すことも、何が使えるか、見抜けるようになるのも訓練です。後々、社会に出てからも文章作成能力は必要とされるので、コンスタントに一定レベル以上の文章を書けるようにしておきましょう。ちなみにレポートは「調べて分かったこと」をまとめるものですが、論文は「問いに対する答え」を書くものです。先行研究を調べ、何が分かっていて、何が分かっていないのか、課題の状況を把握した上で、どのような方法論を採用してこれに取り組むのか、そして、結果として何が新たに結論づけられ、何が今後の課題として託されるのか、「学問への貢献」として取り組まれるべきもので、その価値は「問い」によって8割方決まっていると言っても過言ではないのです。

【ポイント】
①「単位の取りやすさに関する情報」は必ず手に入れて、楽勝科目で固めましょう。
 大学にもよりますが、新歓期にはたいてい授業の単位の取り易さに関する「楽勝単位表」(「鬼仏ランク表」とか呼び方はいろいろあるでしょう)が配られています。これは先人達の苦労と知恵の集積ですから、なるべく入手して活用しましょう。サークルに入っている人であれば、先輩から「単位の取りやすさに関する情報」を入手することは容易です。敢えて単位が取りにくい難関科目に挑もうとする殊勝な人もいますが、なるべく楽勝科目で固めた方が有効時間を生み出すことができます。「たかが単位、されど単位」なので、抜かり無く手を打ちましょう。

②なるべくいい成績を取っておくと、編入学・留学の際に便利です。
 昔は、大学の成績は得点によって優・良・可でランク分けされていましたが、現在は世界標準GPA(Grade Point Average)で評価されるのが普通です。例えば、得点は次のようにGPA換算されます。
100~90点(A+、または秀の評価)→4
89~80点(A、または優の評価)→3
79~70点(B、または良の評価)→2
69~60点(C、または可の評価)→1
59~それ以下(D、または不合格)→0
そして、「単位数×GP」の総和を「総履修単位数」で割ってGPAの平均値を出すわけですが、標準は2.4~2.8程度であり、3以上あるとかなり優秀ということになるでしょう。卒業するだけなら「C」ばかりでもいいわけですが、編入試験や留学などのことを考えるとあまり芳しくない成績は考えものです。やはり、取れるだけ「A」を取ってGPA平均値を上げておくのが賢明でしょう。

③卒業論文は極力書きましょう。
 最近はゼミに出て単位を取れば卒論は取らなくてもよかったり、理系で卒業研究をすれば卒論は不要というケースも多くなってきました。しかし、理系はともかく、文系であれば卒論を書くことは学生生活の締めくくりとして取り組むべきです。単に卒業したいだけなら2週間~1カ月でも完成できます。期限内に納得いくものができなかったと言って、さらに1年留年する人もいますが(こういう人は文学部に多いものです)、不十分でも形を作り、現時点での結果を出す方がよいと言えるでしょう。もちろん大学院進学・留学を目指す人、研究者を目指す人なら、評価対象となるので「質の高さ」も要求されます。おそらく初めての本格的論文であり、問題の所在を発見することも分析することも容易ではなく、苦労することは目に見えていますが、曲がりなりにも1つの形を作ることで学生生活に決着をつけ、達成感をもって次のステップへと踏み切ることができるものです。
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