The pen is mightier than the sword.(ペンは剣よりも強し。)
Truth is stranger than fiction.(事実は小説よりも奇なり。)
「新聞の自由は、如何なる民主国家においても生活の要素である。」(ウィルキー「演説」)
「新聞は世界の鏡である。」(エリス『印象と論評』)
「新聞は一般庶民の教授である。」(ヘンリー=ビーチャー『プリマウス説教集』)
「アメリカにおいては大統領は4年間統治するが、ジャーナリズムは永久に支配する。」(ワイルド『社会主義における人間の魂』)
新聞は絶対読まなければなりません。情報戦略を持たない人が何事か成そうとしても、それは無理な話です。例えば、世界の覇権国家・アメリカの政治を動かしているのは、政権、連邦議会、メディアの三極であるとされます。今や「三権分立」の「三権」に加えて、マスコミは「第四権力」として、侮れない存在となっているのです。重要な政治的動きも経済動向も社会の変化も、ある一定レベルに達すると新聞で取り上げられるテーマとなり、場合によっては世論形成に向かっていきます。もちろん、メディアとしてはテレビもラジオもインターネットも出版物もありますが、現行媒体としては巨大な知的インフラたる新聞の存在は無視できないところです。全体としてはオンラインが主流となりつつありますが、少なくとも就活期などには紙媒体を目を通した方が良いでしょう。採用する会社の役員クラスで、日々紙媒体としての新聞に目を通していない人はまずいないと考えられるからです。
新聞を情報ツールとして使いこなすには、おそらく3~5年はかかると思われますが、とにかく急いで定期購読に入りましょう。とりあえず、読売・朝日・日経がすぐに候補に挙がりますが(他にも毎日・産経・東京などいろいろとありますが)、まずメインを決めましょう。ジャーナリズムとしての総合力なら読売、サイエンスやヒューマニズムにセンスを発揮する知的な朝日、経済関連ならダントツの日経など、それぞれ特徴がありますから、目的や相性に応じて選ぶとよいでしょう。ここで重要なのは、可能であれば複数紙を取って、比較分析をすることです。マスコミは必ず偏っているものであり、「中立公正な立場」など存在しません。1紙しか取らないと、その紙面で取り上げられている視点・見解を鵜呑みにしてしまう危険があり、そもそもそこで取り上げられていないものに関しては、知りようがなくなってしまうからです。したがって、例えば読売-産経、朝日―毎日といった系列の似た新聞を取るのではなく、読売―朝日、読売―日経、朝日―日経というように異系列の新聞を取るのがベストです。
逆に英字新聞の場合は、読売を読んでいる人なら同系列のジャパン・ニューズで読んだ方が先読みしやすくなります。ジャパン・ニューズなら米ワシントン・ポスト、英ザ・タイムズなどの記事も出てきて、非常に参考になります。日本の新聞では禁じ手とされるレイアウトも、英字新聞ではバシバシ出てくるので、日本の新聞に慣れた人には最初は違和感もあるでしょう。英字新聞としては、他にも単体の英字新聞として知られるジャパンタイムズなどがあります。
【ポイント】
①テーマを決めたらスクラップを
新聞で取り上げられている全ての分野に関心を持つ必要はありませんが、とりあえず、自分の関心領域、必要分野に関しては切り抜いておきましょう。最初、熟読を始めた段階では、あれもこれもと関心が出始めて、あっという間にスクラップがたまってしまうことがあります。これは半年、1年経ったら、「情報の見直し」をする必要があるということです。いったん、期間を置いてみると、その情報の重要度が下がってくる場合があり、吟味して、活用度・重要性の高い情報のみを残すべきです。これは本も一緒で、集めることに満足していても意味がありません。2年間、開くことの無かった本は死蔵といってもよいでしょう。時を見て、処分することも必要なのです。
②新聞は読み捨てるものです。
ある程度、知識が蓄積されてくると、読むスピードが格段に速くなってきます。これは新たな情報のみにアンテナを張っておけばいいからで、「情報の取捨選択」が素早くできるようになるからです。実は「速読(speed reading)」は新聞で最も訓練されるのです(一般書でもできますが、時間がかかります)。なぜなら、新聞は「読み捨て」るものであり、必要な有益情報のみピックアップするという姿勢が確立されやすいからなのです。