教養としての近代思想⑪:生の哲学と実存主義

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ショーペンハウアー:生存への非合理的(盲目的)意志が世界の根源であるとし、ニーチェらに影響を与えました。

盲目的意志:生存への不合理な意志のこと。ショーペンハウアーは、苦悩からの脱却にはこの意志を否定しなければならないとしました。

ベルクソン:フランスの哲学者。創造的な生命の流れ(生の躍動)を根源的な実在とする「生の哲学」を説きました。

生の躍動(エラン・ヴィタール):ベルクソンは、創造的な生命の流れは自己防衛の本能に基づく閉鎖的な社会から普遍的な人類愛に基づく社会へと人間を向かわせ、その転換は人類愛を備えた人物の創造的行為によって成し遂げられるとしました。

創造的進化:他の社会に対して排他的な閉じた社会から、普遍的な人類愛に基づく開いた社会へと創造的進化を図るためには、人類愛を実践する開かれた魂を持たなければならないとしました。

キルケゴール:デンマークの有神論的実存主義の先駆者。真の信仰を問う視点から、人間は神の前の単独者として存在しているという事実を見据えるべきとし、平均化・画一化した当時の社会の中で人々が本来の自己のあり方を見失い、欺瞞的に生きていると批判しました。

単独者:産業革命後、機械の歯車のようになって大衆の中に埋没する人々を批判し、神の前にただ単独者となる時、人は本来の自己を取り戻す(宗教的実存)と説きました。

実存の三段階(実存の質的弁証法):世界のあり方を説明する従来の哲学に対し、主体的真理を求めることが重要だと考え、人間が現実に生きている主体的な自己のあり方である実存に至る段階を美的実存・倫理的実存・宗教的実存として示しました。

美的実存:「あれも、これも」と欲望に導かれて、快楽を求める生き方。しかし、結局のところ、心が満たされないばかりか、かえって自己を見失うことによって、やがて絶望に陥ることになるとしました。

倫理的実存:「あれか、これか」の決断をし、責任を持って良心的に社会生活を営む生き方。だが、倫理的に生きようとすればするほど、かえって自己の無力さに絶望することになるとしました。

宗教的実存:絶望の果てに罪の意識におののきながらも、神と向かい合うことで、信仰に生きること。ただ一人単独者として神の前に立つ宗教的実存に至る時、神との本質的な関係を取り戻すとしました。

ニーチェ:ドイツの無神論的実存主義の先駆者。古代の周期的な時間観に示唆を受け、あらゆることが目的もなく無限に繰り返される循環的な時間(永劫回帰)の中で、そのことから目をそらさず、自らの人生を「ならば、もう一度」と肯定的に引き受ける(運命愛)、超人としての生き方を模索しました。超人は生を肯定し、西洋の伝統的な道徳に囚われず、力への意志を体現しており、自らの手で新しい価値を創造するとしました。

ニヒリズム(虚無主義):伝統的な価値や真理を否定する立場。ニーチェは従来の価値を否定し、虚無の中から新しい価値を創造していく能動的ニヒリズムを主張しました。

ルサンチマン(怨恨):弱者が強者に対して抱く憎悪や復讐心のこと。ニーチェは、19世紀末のヨーロッパ人がニヒリズムに陥っている原因はルサンチマンに基づくキリスト教道徳にあると指摘し、キリスト教の道徳を奴隷道徳と呼びました。

奴隷道徳:ニーチェは、キリスト教の倫理観と結びついた西洋の理想主義は奴隷道徳であり、理想主義を支えている善悪の区別は自分よりも優れたものを憎悪するルサンチマンに基づいているとし、尊いものと考えられてきた人間性はむしろ克服されるべきものだと考えました。

永劫回帰:世界が無意味な永遠の繰り返しであること。

運命愛:無意味な繰り返しである自己の運命を受け入れること。

自己愛:自己の世界を愛して、自己満足にひたること。
超人:従来の価値(キリスト教道徳)を破壊し、自分の力で生きる意味や目的を創造する者。

力への意志:自己を伝統的な価値や社会の通念への従属から解放して、自由な価値創造の主体として肯定する意志のこと。常に自己を成長させ、新しい価値を創造する意志のこと。

ヤスパース:有神論的実存主義の立場に立つドイツの哲学者。限界状況に直面した時、人間は有限性を自覚し、超越者と出会い、そして、実存的交わりによって本来的な自己を取り戻すことができると説きました。

限界状況:死・苦悩・争い・責めなど、人間の力では変えることも乗り越えることもできない状況。

実存的交わり:他者と真実の自分を探究し合うこと。

ハイデッガー:人間は近代技術を用いることで自然を対象化し、支配するようになりましたが、人間も機械の部品のようになり、自己を喪失していると指摘しました。このように日常性の中に埋没した人間が「存在のよびかけ」に応えて有限性を自覚する(あらゆる瞬間に到来し得る死を自覚する)ことで、没個性的な生き方から脱し、本来的な自己を取り戻すことができると述べました。

現存在:存在の意味を問うことができる唯一の存在者としての人間のあり方。

世界内存在:人間は世界の中に投げ出されており(被投性)、そこで他者や物事との関係の中で日常を生きる人間のあり方。

ダス=マン(ひと・世人):日常性に埋没した非本来的な人間のあり方。平均化され、本来的自己を喪失した存在。

存在忘却:日常に埋没して自己固有の存在を忘れている状態。

故郷の喪失:近代技術社会の中であらゆるものが技術の対象と見なされ、人間が本来の存在を見失っている状態。

死への存在:ハイデッガーは、人間は誰もが自分の死を引き受けなければならず、死の自覚を介して初めて、本来的な自己のあり方を獲得することができると考え、本来の自己へと至るためには、死への不安から逃避することなく、死への存在であることを自覚しなければならないとしました。

サルトル:フランスの無神論的実存主義の作家・思想家、『弁証法的理性批判』『嘔吐』。第二次世界大戦後、人間においてはあらかじめ決まった本性はなく、人間の本質は自由であるが、人間は自らに対してだけでなく、社会に対しても責任を負っているとして、積極的に社会参加しなければならないと呼びかけました。

『嘔吐』:主人公が公園のマロニエの木を見て、存在の偶然性を発見する場面を描きました。

「実存は本質に先立つ。」:人間の自由は自己のあり方を自分で選択していくところにあるとする考え方。まずこの世に存在し、そこから自由に生き方を選択する中で自己の本質を作り上げるという人間のあり方。

アンガージュマン(社会参加):人間は社会に自分を投げ込むと同時に、その自由な選択の責任を全人類に対して負うとしました。すなわち、人間は他者との関係の中で存在しており、選択は他者との関係において行われ、他者を巻き込まずにはいられないため、全人類に自己をアンガージュマンさせて生きているのであるとしました。

即時存在:それ自体で存在する本質で規定された事物。

対自存在:自己を意識し、自分を新たに作っていくことのできる人間。

カミュ:フランスの無神論的実存主義の作家・思想家、『シーシュポスの神話』『ペスト』。人間の生が不条理であることを示し、その中で生き続けることを人間の運命としました。

『シーシュポスの神話』:ゼウスに背いて「無意味」という罰を受け、山の上から転げ落ちる岩を運び上げることを無限に反復するシーシュポスの姿が描かれます。

『ペスト』:アルジェリアの町で伝染病と戦う人々を描きました。

ブーバー:ユダヤ人の宗教哲学者。互いに人格として認め合う「我-汝」の関係を理想としました。

レヴィナス:リトアニア出身のフランスのユダヤ系哲学者。ナチスに家族を虐殺された経験から、他者の異質性を認めず、自己に同化する全体性を批判し、他者の存在を受け入れ、その苦痛に責任を負うことが倫理の出発点になるとしました。

全体性:他者の異質性を認めず、自己に同化する考え方。

顔:他者とは、私とは絶対的に異なった独自の「顔」を持つものとして現われ、常に私の理解や予測を超える存在であるとしました。
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