ダンテ『神曲』地獄篇第1歌でボキャブラ・アップ:第40連句

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【C.H.Sisson英訳】
And then you will see those who, though in the fire,
Are happy because they hope that they will come,
Whenever it may be, to join the blessed;
【Mark Musa英訳】
And later you will see those who rejoice
 while they are burning, for they have hope of coming,
 whenever it may be, to join the blessed―
【野上素一和訳】
また火中にあって満足している者も見るであろう。
それはいつのことかわからぬが至福の人の群に
入る希望をもっているからなのだ。
【平川祐弘和訳】
火の中にあって満足している人々も見るだろう、
いつかわからないが、幸(さち)ある人の群に
入れてもらえるという望みをつないでいるのだ。

【語句】
come to do=~するようになる、~するに至る。
whenever=(譲歩節を導いて)いつ~しようとも。
the blessed (ones)=天国の諸聖人。Musaの英訳ではthe blessedの最後のeの所にアクサングラーヴ(フランス語。イタリア語では「アッチェント・グラーヴェ」と言います)が打ってあります。これは各行10音節で統一しているため(原文は11音節)、blessedをそのまま/blesid/と2音節で発音(形容詞)すると11音節になってしまうので、あえて/blest/と1音節で発音(過去形・過去分詞)させるためだと思われます。
later=後で。
rejoice=喜ぶ、うれしがる、祝賀する。
while=~する間。動作や状態が継続している時間・期間を表わす副詞節を作り、節中に進行形が多く用いられます。
火中にあって満足している者=「煉獄」(浄罪界)にいる魂の状態を言っています。

【解説】
 ウェルギリウスはこれからダンテが訪れる「永劫の世界」、すなわち「地獄」「煉獄」「天国」を予め順番に説明しています。ちなみに「煉獄山」の構造は次のようになっています。
煉獄前域:煉獄山の麓。小カトーがここに運ばれる死者を見張っています。
第1の台地:破門者。教会から破門された者は、臨終時に悔い改めても煉獄山の最外部から贖罪の道に就きます。
第2の台地:遅悔者。信仰を怠って生前の悔悟が遅く、臨終時にようやく悔悟に達した者はここから登ります。
ペテロの門:煉獄山の入口。それぞれに色の異なる3段の階段を上り、金と銀の鍵をもって扉を押し開きます。
第1冠:高慢者。生前、高慢の性を持った者が重い石を背負い、腰を折り曲げています。ダンテ自身はここに来ることになるだろうと述べています。
第2冠:嫉妬者。嫉妬に身を焦がした者が瞼を縫い止められ、盲人のごとくなります。
第3冠:憤怒者。憤怒を悔悟した者が朦朦たる煙の中で祈りを発します。
第4冠:怠惰者。怠惰に日々を過ごした者がひたすらこの冠を走り回り、煉獄山を周回します。
第5冠:貪欲者。生前欲深かった者が五体を地に伏して嘆き悲しみ、欲望を消滅させます。
第6冠:貪食者。暴食に明け暮れた者が、決して口に入らぬ果実を前に食欲を節制します。
第7冠:愛欲者。不純な色欲に耽った者が互いに走り来たり、抱擁を交わして罪を悔い改めます。
山頂:常春の楽園。煉獄で最も天国に近い所で、かつて人間が黄金時代に住んでいた場所とされます。
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