☀ある気象予報士の話☂
■私は、ある地方のテレビ局で気象予報を担当している。
といっても、週末の朝、ほんの数分の出演だ。定年を迎えた後、
再雇用で安い給料にも文句を言わず、のんびりと続けている。
ほかにこれといった生きがいもないし、どのみちそんなに忙しい生活でもない。
■大きな台風が来るわけでもなく、
地震の速報が入るわけでもない平穏な朝には、
女子アナと掛け合いをしながら天気予報を伝える。
それが、わたしのささやかな仕事だ。
■そうした仕事の中で、
わたしがひそかに楽しみにしているのが、
=オヤジギャグ=だ!
■いや、ジョークと言いたいところだが、
やはり「オヤジギャグ」のほうが正しいと思う。
■たいてい、思いつきで即興で、やる。
■晴れた日には、
私:「今日は、天気も快晴!心も解晴(かいせい)ですね!」
なんて言ったりするわけだが、
・ほとんどの場合) 女子アナは、軽く無視するか、
女子アナ:「・・・またですか~?」と冷たく ツッコまれる 事が多い。
■それでも、視聴者の誰かが、
“ くすっ “ と、笑ってくれたら、それでいい。^^
■日本人だけではなく、人間は、かなりダジャレ好きだと思う。
真面目な会社名や広報なんかにも、よくダジャレチックなものが見られる。
■ 「ちかん、あかん、助けなあかん!」・・・
■ましてや、最近では、外国人タレントさんまでもが、
番組の中でダジャレをぶっこんで来るのをよく見かける。
■でも、ここだけの話、正直に言えば、私は、
▶「おいおい、スベっているぞ!!!」と、言いたくなる事がよくある。
■じゃあ、
自分のギャグが100%受けるか?というと、
それもまた違うのだが……。
■そんなある秋の日のこと。
・🍁 『紅葉』 が、始まったばかりの穏やかな朝だった。
■その日も、
いつものように天気図を前に、晴れやかな顔でカメラに向かう。
そして、ここゾ!とばかり、 “ ウケ狙い “ で、一言かました。
■「こんなに木々が美しくなると、
紅葉だけに、気分が 『高揚』 してきますね!」
私にとっては、よくあるひねりを加えたつもりの言葉だったが、
■その瞬間!
相方の女子アナが間髪入れずに返してきた。
「そうですね!まさに! 紅葉、行 『こうよう!』ですね!」
一瞬、わたしは言葉を失った。・・・
■ここまで見事な切り返しが返ってくるとは!思わなかったのだ。
■心の中で「おぬし、なかなかやるな!」と感嘆していた。
■普段、どちらかといえば、オヤジギャグに対して、
冷静で控えめな女子アナばかりなのだが、
■彼女のこの切り返しは、
まるで! MLBの最速ピッチャーが、自信満々に投げた
=ど真ん中の100マイル越えのストレート=が、大谷翔平に、「スコーン!!!」と、
ライト場外に、ホームランを打たれたような痛快感だった。
■負けたー!いや、完敗だー(´;ω;`)ウッ…!
でも、不思議と悪い気分はしなかった。
■むしろ、清々しいほどの 完敗 だった。
■そして、その日 わたしの一日は特別なものに変わった。
何故か?心が軽くなり、久しぶりに、
=「今日はいい日だったなあ。」=と思えた。
■人生というのは、劇的な変化などほとんどない。
・毎日が穏やかに過ぎていく中で、
時折いいことがあれば、そんな一瞬にすがりたくなるのかもしれない。
■最近は、嫌なニュースばかり目につく。
・自然も・政治も・経済も、家庭の中でも・・・、
■そして、
人間はどうしてこうも悪いことばかり
覚えているのかと思う事がある。
■心理学では、
=喜びよりも悲しみのほうが、2倍以上強く記憶に残る!=
と聞いたことがある。
■だからこそ!
“ 小さな喜びを忘れない努力 “ が、
必要なのではないだろうか?
■わたしは、その日の帰り道に、こう考えた。
■「この気持ちを忘れないために、メモを取っておこう!」と、
■些細な出来事だったとしても、
こうやって書き留めておけば、いつか嫌な事が起きた時、
それを読み返して心を切り替えることができる!かも?しれないと、
【スマホ・メモ】 した。
■こうしておけば、いつでもカンタンに、 “キーワード検索 “ できる!
→便利な時代だ!^^
■その後、わたしは毎日一つ。
「今日の良かった事(TGT=today’s good thing)」を、記録するようにした。
■もちろん、
毎日が「紅葉行こうよう!」みたいな名場面になるわけではない。
■ときには、「下手な洒落は、やめなしゃれ!」程度の内容のときもある。
■でも、それでいいのだ。
■こうして、わたしの小さな日常は少しずつ輝きを増している。
■もしかしたら?
これが=老後の新しい生き方、楽しみ方=なのかもしれない。
■今日もまた、
手帳にペンを走らせながら、わたしは明日の天気を思う。
そして、スマホにTGTをメモする。
■紅葉の次は、冬の寒さがやってくるだろう。
■それでも、
心の中には、 “ 小さな春 “ が、訪れたような気がしている。^^