上司の言葉にムカムカする部下の話
私はハラスメントトラブルにおいて「ハラスメントの境界線」を意識しないようにお願いしています。
その代わり、トラブル当事者の心理状況に注目します。
部下Aさんが上司Bさんから「ふむ。悪くないねえ。」と言われるたびに心のなかで「ムカムカする」というご相談がありました。
「悪くない」ってことは、良くもないってことですよね。それを何度も言うのはパワハラですよね。
という私への問いかけに対し、私は部下Aさんに、
上司Bさんは、その「悪くない」という言葉をどういう心理状況で伝えていましたか?
と質問しました。
すると、「私の仕事にケチをつけたいのでしょう。」と言います。
そこで私は、
「上司Bさんに真意を聞いてみたことはありますか?」
と聞くと、そんなことはしていないし、できないとのことでした。
その解釈は当たってるの?
では、ケチをつける意図でそう言った可能性は何パーセントですか?
と聞くと、うーんとしばらく考えてから、
A:「90%です。」
私:では、残り10%はどういう心理だった可能性がありますか?
A:「わかりません。」
私:上司Bにその真意を聞けないというのなら、私から聞いてみましょうか?
A:「それもしないでいいです。」
私:どうして?
A:「なんとなくイヤなんです。」
と、こんな感じのやりとりをしました。
そこで私は、上司Bの同僚であるCさんに、
Bさんは部下に対して「悪くない」という言葉を使いますか?
と聞いてみたところ、
Cさんは、
「あー、よくあるねえ。あれは彼にとって「良い」という意味の誉め言葉なんですよ。」
とのことでした。
言葉の解釈は、このように人によっていろいろです。
として、必ず誰かの解釈が間違っているということです。
私たちの解釈はこのようにけっこう高い確率でよく間違えるのです。
私たちが相手に真意を確認したくない理由とは
「悪くない」という上司Bの言葉が、
Aさんにとっては「ケチをつけている」ことに。
Cさんにとっては「誉め言葉」として解釈されている。
でもAさんは上司Bの真意を正すこともなく毎日ムカムカしながら働いている。
こういったことを避けるためにはどう考えたらよいでしょう。
私は、
「真意を確認すること」
を推奨します。
それを難しいと思う気持ちはわかりますが、「なぜ」難しいと思うのでしょうか。
AIに聞いてみると、こんな回答でした。
・聞くとケンカになるかもしれないから
・本当に悪口だとわかるのがこわいから
・相手に「うるさい」と思われるかもしれないから
以上
ご機嫌をとりながら我慢する生き方
さて、ひとつずつ考えてみてください。
私たちは「こういう理由」で言葉の意味を確認しないまま、ムカムカ、イライラして、陰で相手を憎んだり恨んだりしているのです。
でもこれって、かなり愚かなことだとは思いませんか?
聞き手側の悲観的な予測は、かなり高い確率でハズレています。
人は、特に日本人は、未来を予測するときに「悲観的に」予測するクセがあります。
イヤな未来を予測しておけば、対策を講じて嫌な未来を回避しやすくなる。
という生存本能がそうさせるのでしょうが、現代社会では、たかが上司のご機嫌を取り損ねるくらいのことで、生存が脅かされることはないでしょう。
ただ、そうやって他人のご機嫌をとりながら密かに我慢をするという生き方が、人類をここまで存続させ発展させてきたことも事実。
で、私たち人類はまだこの「相手の真意を確認せずに我慢してムカムカする」という手法を続けてゆくべきなのでしょうか。
答えは明確です。
時代に合わない考え方は捨てましょう
我慢をする。つまり、本音を隠しながらイライラ・ムカムカし続ける。
そして我慢できなくなって会社に訴える。そしていきなり法律問題になる。
これはかなり愚かな現象だと思うのです。
AI化が進めばさらに相互理解が重要になります。
AIが瞬時に行う「情報の同期」を私たち人間は、できないばかりか誤解し合ってばかり。
これでは人間が果たせる役割は少なくなる一方です。
言語は相互理解のための道具。
お互いに気持ちを誤魔化すために言葉を使うのはもう時代遅れです。
自分一人で解決できないなら、周囲の人の協力を得てでも相互理解を実現しましょう。
他人に迷惑をかけたくない?
いやいや、人間は助けあう生き物。
そこがAIにはない「良さ」ではないですか?