編集者のつぶやき その2  ~行間を読む贅沢~

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コラム
日本語って美しいと思いますか?
私は思います。

小説だと、当たり前ですが、日本語が
いっぱい並んでいて、一つ一つ「美しい!」
なんて味わっていたら読むのも一苦労ですが(笑)、
たくさんある文章の中に、きらりと光る一文を
見つけると、とてもうれしくなります。

ぐさりと心に刺さる一言、と言ってもいいですね。
こう書くと、なんか嫌味な言葉なのかな、と
思ってしまいますが。
言い直します、心に響く一言です。

詩や歌の歌詞などだと、
もっとわかりやすいですね。

あとは、行間というのがあります。
つまり、「書いていないところ」を「書いてある文章」
で想起させるという技です。
これはかなり上級者の技ですが……。

イメージがいっぱいふくらむ文章というのは、いい文章です。
読者のイマジネーションをどこまでも広げていく文が書けると、
すばらしい作品が書けます。

「本当に大切なものは、目に見えないんだよ」

どこかの王子様の声が聞こえてきましたが(笑)、
本当に大事なことは書かない、というのも
かなり上級者の技ですね。

「好きだ」とか「愛してる」とか書かないで、
愛を想起させること、究極の好きを表現することが
できたら……素晴らしいですね。

そしてそれは「色気」に繫がってきます。
文章には、その人独自の「色」が出ます
イマジネーションを想起させる文章は、
その「色気」が匂い立つように、色濃く出るようになります。

それこそが、小説の究極の姿かな、と思ったりもします。
といっても、実際に編集の仕事をやっていると、
そんな「目に見えない」ふんわりしたものにうつつを抜かしていないで、
目の前の原稿をしっかり読んでください、という感じなのですが(笑)。

たくさんある文章の中の一つを、じっくりじっくり味わってみる
そして、たった一文を味わうように書く……、
そこから想起される行間を心の糧にする、というのも、
「小説」を楽しむ贅沢な時間かもしれません。


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