三重県桑名市、カスハラに切り込んだ‼

三重県桑名市、カスハラに切り込んだ‼

記事
コラム
こんにちは。
脱公務員キャリアコンサルタントのしーもです。

令和7年4月1日に施行された三重県桑名市の「カスタマーハラスメント防止条例」に基づき、
この度、顧客が運送業者に行った過大請求や暴言に対し、カスタマーハラスメントに該当すると認定しました。

自治体によるカスハラ認定は全国初のケースとなりました。

都道府県でも、政令市でもなく、人口14万人弱の「桑名市」がこの大きな一歩に踏み込んだのはとても意味があることと思います。

■この条例の意味するところ

昨今カスハラが社会問題化していますし、あるデータでは公務員は民間の3倍の頻度のでカスハラを受けているというものもあります。

公務員に対するカスハラが深刻化している中で、単純に「来庁者等による職員へのカスタマーハラスメントの防止に関する条例」とか、市を守るための条例や規則を作るのではなく、

もっと広く、官民問わず市内でカスハラを防止しましょう!という条例にして、機運を醸成するという方法はとても良いですね。

いくつかの自治体で既にこうした「カスタマーハラスメント防止条例」の制定の動きが広がっています。
北海道、東京都、群馬県などでも同様の条例が制定されています。

こういうものを作った以上、役所自身がカスハラに対して寛容ではいられなくなります。

市内の事業者さんから、カスハラに遭ったと相談を持ち込まれるようになるわけですから、当然、役所の窓口自身もカスハラに屈するわけにはいかなくなります。

そりゃそうですよね、カスハラの相談を受ける窓口の隣の窓口で、市民のカスハラに屈している姿なんて見せられませんから。

全然頼りにならないって、信用ガタ落ちになりますからね。

つまり、これまでは相手は市民だから…と反論せずに、職員が我慢したり、職員の頑張りに依存していた面が大いにある訳ですが、これからは、そういう疑わしい事案はどんどん表面化して、対処していこうという流れにもっていきやすいという効果が期待できそうですね。

■桑名市の条例は一味違う

また、東京都や北海道、群馬県のカスハラ条例と、桑名市の条例が大きく違うのは、カスハラに対する具体的な措置までを盛り込まれているという点です。
(確認又は認定)
第8条 就業者又は事業者等は、その顧客の言動がカスタマーハラスメントに該当すると考えられる事案が発生したときは、規則で定めるところにより、市長に対し、確認(当該行為者を特定することなく、当該言動がカスタマーハラスメントに該当すると判断をすることをいう。以下同じ。)又は認定(当該行為者を特定し、当該言動がカスタマーハラスメントに該当すると判断をすることをいう。以下同じ。)を求めることができる。
2 市長は、前項の規定により就業者又は事業者等から確認又は認定を求められたときは、委員会に諮問しなければならない。
3 委員会は、前項の規定により市長から諮問を受けたときは、調査審議の上、その結果を市長に対し答申をしなければならない。

4 委員会は、前項の規定による調査審議(認定に係るものに限る。)の際、やむを得ないときを除き、当該認定の求めに係る行為者の意見を聴取するものとする。
5 市長は、第3項の規定により諮問に対する答申を受けたときは、確認又は認定を行うかどうかの決定をし、規則で定めるところにより、当該就業者又は事業者等に対し、その旨を報告するものとする。
(カスタマーハラスメント事案に対する措置等)
第9条 市長は、確認又は認定を行ったときは、次に掲げる措置(第2号に掲げる措置にあっては、認定を行ったときに限る。)を講ずるものとする。
(1) 当該カスタマーハラスメント事案について、その概要(桑名市情報公開条例(平成29年桑名市条例第1号)第7条に規定する不開示情報を除く情報であって規則で定めるものをいう。)を公表すること。
(2) 当該カスタマーハラスメント事案における行為者に対し、規則で定めるところにより、警告すること。
2 市長は、前項第2号の規定により警告したにもかかわらず、その状況の改善が不十分であると認めるときは、氏名その他の当該行為者を特定することができる情報であって規則で定めるものを公表することができる。この場合において、市長は、規則で定めるところにより、当該行為者の意見を述べる機会を与えるとともに、委員会の意見を聴くものとする。
桑名市カスタマーハラスメント防止条例から抜粋

条例第8条では、就業者や事業者が、顧客の言動がカスハラだと考える場合に、市長に対して確認、認定を求めることができる、と規定されています。

例えば、ある企業や店舗で発生したカスハラ事案に対して、
これってカスハラじゃないですか??
と、警察でもなく、裁判所でもなく、「市長」に確認や認定を求めることができるというものです。

確認の求めがあった市長は、いきなり自分で判断するのではなく、まずは第三者委員会に諮問し、諮問を受けた委員会が審議して結果を市長に答申し、最終的に市長が決定を下す、という流れになります。

今までだったら、そういう相談があった場合は、
警察にご相談されるか、損害賠償であれば弁護士さんに相談されてみては?
という対応だったのが、相談窓口としての役割を持つということですから、また一つ仕事が増えたのは間違いないですね。

カスハラが増えて、役所の仕事が一つ増えていく、、一体これはどういう世界なのでしょうか…
(これが複雑化する社会において公務員がどんどん忙しくなっている構図でもあります。)

また、第9条では、認定したカスハラ事案について、概要の公表、行為者への警告、警告に対して改善しない時は氏名の公表という措置まで規定されています。

役所で起きたカスハラ案件ということでもないのに、第三者である市が行為者に対して警告までしてくれるんですね。

改善されない場合には、氏名公表までされると。
かなり踏み込んだ条例になっているなという印象です。

■思い切った判断

それだけに、条例の運用には慎重になってしまいそうなところですが、
今回のカスハラ認定の件は、市は本気だよ、という姿勢を示す意味でものすごく大きな一歩だったと思います。

事務局の職員さんも勇気のいることだったのではないかと思います。

だって、カスハラの行為者からしたら、企業相手に無理難題を言ってたら、ある時突然役所が間に入ってきて、

これはカスハラです。
改善しないなら氏名を公表します。

って言ってきたら、火に油を注ぐようにキレそうですよね。

警察が出てくると、急に大人しくなる人は多いですが、役所が出てきてシュンとなった人なんて見たことありません。

むしろ、近隣トラブルの相談を受けて、役所がお話を伺いに行っただけで、
なんやお前らっ!ゴラァ!!
って、顔見ただけでキレられたことは何度もありますけども…

なので、警告書を発送して届いたら、今度は役所に怒鳴り込みにくるんじゃないかと思うと、担当の職員さんは、いつ来るかとヒヤヒヤしながら仕事をしてないといけないので、ちょっと気の毒な気もします。

■氏名公表はかなりの罰となりえる

現在、公表、警告の段階ですが、今後改善されない場合には氏名を公表するという措置が取られることになります。

SNSなどの発達した現代において、氏名を公表されるというのは、かなりのインパクトになってくるのかなと思います。

罰金などの刑事罰、過料といった行政罰でなくても、氏名公表されること自体がある種の処罰として成立する時代になっているわけですね。

”晒す”という言葉がこんなにも大きな意味を持つようになるとは、昔では考えられない時代になりました。

なにかやらかしたら、すぐにSNSに晒され、個人が特定され、、、誹謗中傷の矢が飛んでくる

もちろんそんな世の中が良いとは微塵も思っていませんが、、、

条例を審議した議会でも、そのことは議論になったようです。

慎重論もあったようですが、実効性のある条例を作るべきという強い想いから可決に至ったようです。

それだけカスハラが社会問題化していることに対する危機感を持っていたということなんですね。

もちろん、やみくもに氏名を晒して断罪することが目的ではなく、あくまでも適切な手続きと慎重な判断のもとに行われるという点は重要ですし、そうしたルールを定めたことで、カスハラ自体の抑止・抑制に繋がっていくのが本来のあり方ではないかと思います。

一方で、そうでもしないとカスハラに歯止めが効かない社会になってしまったことは大変残念なことではありますね。

全国初のニュースとして取り上げられたことを受けて、他の市町村でも条例制定に向けた動きが加速していくといいですね。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら