『ホー、アレは、バキュームキスという種類だったのね!!』
数年前にカメラマンである友人が長く住んでいたアメリカを後にして
日本に帰ってきた。
アメリカを拠点とし、世界中を旅して回る中で
これからは日本を拠点として活動する事を決断した様子。
その頃、日本で久々の展示会をするということで
会場の写真のsettingとバランスを一緒に見てくれないか?。
受付でも2、3日で良いから華を添えてくれ、との依頼。
二つ返事でミーティングに参加した時、
私は彼に
◾️ダウニーの香りが鼻につくから半分の量にしろ、
さもないと来場者に良い記憶を与えない。
と彼に言ってその場を後にした。
展示会が終わったある日、彼が食事に誘ってきたわ。
お礼を兼ねて、どこでも好きなレストランに連れて行くと。
『食事はどうだっていいから、
砂のベッドに横になりたい!!』
私がそう言うと、
『ハイハイ、分かりました。おっしゃる通りにいたします。』
と彼。
ブウォンブゥぉんいわせながら登場したランドクルーザーのサイドシートには
赤飯おにぎりとたまごサンド、スタバの激アツコーヒーが用意されている。
ずっと前、何かの拍子に私の言った
【時間のない時にでも、移動しながらいただける大好物】を
彼は覚えていたの。
季節がちょうど今くらいで、
夕刻には少し肌寒いくらい。
私の言った【砂】とは、きっと彼の脳に浮かぶ場所の【砂】。
彼に行き先を告げなくても、その場所に向かうだろう、
私はサイドシートでSADEを聴きながら赤飯を頬張っている。
車を走らせると、私の意図した方向へブンブン向かっていく。
西の夕陽が、東の空に転写されて、まるで朝焼けのよう。
ある空間の一線を抜けると、
甘いピンクの潮の香りが一気に広がってきた。
窓を開けて思い切り深呼吸をしたら、
肺の中までしっとりしてくる。
車を降りると、
ピンクグレーの波打ち際がおいでと誘ってきたの。
夏の記憶が残る真っ赤なエスパドリーユを脱ぎ捨てて、
水と砂の境界線に近付いていく私。
彼は木綿のタオルケットを抱きながら、
小走りで私にやっと追いついた。靴下も脱いで、カワイイね!!
『ステラの砂のベッドは、ここだろ??』
『そうよ。此処!!』
ずっと向こうまで広がる夕刻のピンクグレーの砂浜に、
彼はタオルケットを敷いてくれた。
サーファーが波の上で360(three-sixty)を決めている。
スープ(波が崩れた後の白い泡)までも、ロゼ色に見えてきた。
砂のベッドの上で、胡座をかいている彼が
『スープがシャンパンに見える。ステラ、クリコのロゼを買いに行こう!!』
と真顔で言うので、また脳内をハックされていたかと思いながら、
『ううん。今欲しいのは、キスの情報なのよ。あなたのアメリカ生活の中で
一番ロックオンしたKISSを、情報としてもらえない??』
『いいよー』のYOの口の形になった彼の唇の上には、
もう私は早速唇を重ねていたのだけれど。
ん?口の中の圧力が高まっていくゾ・・・・。。
ぬゥおォー、これは息が出来ないというより
しなくていいタイプのキスなのか⁉️
高血圧の薬を明日病院にもらいに行かなきゃいけなくなるかも。w
『アツいねー!!』
横を通り過ぎるサーファーたちが
同じような文句を云って過ぎ去っていく。
こっちは感情ツメタく情報収集中ですよー!!
究極に息が出来なくなったところで
一向に圧力をかけたKISSをやめない彼の両目のマブタを
ビヨーンとつまんで目を開けさせて、
【もう結構!!】と意識を送る。
二人で大笑いをして、
私『これはロックオンしちゃうね!!』
彼『ステラの彼に怒られないかな??』
私『もちろん、ちゃんと報告しておくから大丈夫よ。』
彼『おい!!』
それから数年後、ある無料動画サイトでアダム徳永氏がKISSのついての
動画を出されていて・・・
アメリカ帰りの友人と交わしたあのKISSが
【バキュームKISS】なるものと判明。
最上級のキッスみたい!!
次の彼の展示会で、アダム徳永氏の存在を彼に吐露する自分の姿が
脳裏に浮かぶのは、いうまでもない⁉️