番外篇:NFTはどうなるのか?

記事
IT・テクノロジー
NFTのもろもろの問題
さて、今回は、シリーズのブログの番外篇で、NFTについてのお話です。

端的にいって、NFTについてのもろもろの問題、課題、みたいなのは、Wikipediaの「非代替性トークン」(つまり non-fungible token の日本語訳)のページに結構最初のほうから書かれています。このWikipediaのページを書いた人自身は、NFTに対して、かなり悪い印象を持っているような感じがするのですが、それを差し引いても、一般的にNFTを扱っている人の多くが知らされていないいろいろな問題を提起している点で、是非ともNFTをやっているとか、やろうとしている、みたいな皆さんには読んでいただきたいと思います。

で、私のほうも、こちらのブログで、その問題点の幾つかを指摘しておりますが、そのあたりも含めてNFTには、いろいろ問題があると思います。
まず、NFTとは、っていうあたりのおさらいになりますけど、NFTというのは、non-fungible token (非代替性トークン)なんですけど、fungibleは、「取り替え可能、別のもので代用可能」という意味なんで、それが non-で否定されているってことは、取り替え不可能ということで、トークンは、まあ短い文字列みたいな意味ですね。

ということで、なんか、モノ、例えば、画像とか、動画とかドキュメントとか、あるいは実体のあるモノでもよいですが、そういうモノがあったとして、これに、NFTというIDコードを与えましょう、ということです。で、NFTには、そのデジタルコンテンツの制作者(のID)とか、制作日時とかがあったりします。

これは、新しい概念ではなくて、通常の家電製品とか自動車とかの工業製品にも、製品型番(機種名と色などのオプションの一部も含まれたりする)と製造番号(工場出荷時の通し番号)がついていますので、この製品型番と製造番号を合わせたものは、NFTそのものですね。その工業製品の製品型番と製造番号があるから、どの製品型番のどの製造番号のものが、誰に売られたか、っていうのは、一応記録されていますよね。

たとえば、自動車の場合、日本では車検とかあるし、リコールとかあったりすると、自動車販売会社は、どのお客さんがどの製品型番のどの製造番号の自動車を持っているか、という情報はちゃんと記録されているので、それぞれの自動車の修理履歴とか、車検の状況とかも全部把握できています。

ですから、実体としてデジタルデータであるようなデジタルコンテンツでも、同じことをしましょう、というのがNFTの基本。ですから、たとえばアートな画像とかを、誰かが制作して、それにNFTを与えると、NFTが画像を表すIDとなって、その画像がネットワーク上で流通して複製されて、いろいろな人の目に触れたりする中で、実際には誰が著作権をもっていて、誰が利用権をもっていて、というのの変化の履歴とかがブロックチェーンに記録される、ということです。

つまり、自動車の製品型番と製品番号で、その製品としての自動車が誰が使っているか、などが自動車メーカーや自動車販売会社のところで記録されている、っていうのと同じことを、デジタルデータ(デジタルコンテンツ)でもやっていて、その際、記録はブロックチェーンに改竄されない形で入っていますよ、というのが、NFTとブロックチェーンによるデジタルデータ流通の仕組みになります。

NFTは、製品型番?それとも製造番号?その両方?
ここで、デジタルデータのNFTのちょっとややっこしい問題は、NFTは自動車などの製品型番と同じもの、とは言えるけれど、製造番号の部分は含まないということです。

それは、実体のあるモノは、自動車でも家電でも、買った所有者が、それを複製して、全く同じものを造るなんてことは、普通できませんから、その工業製品を製造したメーカーできっちり製品に製造番号をくっつけることができます。でも、デジタルデータであれば、コピーは簡単にできてしまうし、WEBページなどは、アクセスされるたびに、その複製されて配信されるわけですから、その都度、コピーに製造番号をつけるということは大変難しいです。

せいぜい、アクセスカウンタを設けることで、幾つコピーされたか、をカウントすることはできそうですが、アクセスされたあと、ダウンロードされて、それが複製されてさらに配信された、とかいう場合は、アクセスカウント自体もきっちりカウントするなんてことはできません。

つまり、デジタルデータのNFTは工業製品の製品型番と同等のものではあるが、工業製品の製造番号は含まれないから、デジタルデータがネット上で流通し、拡散していく状況を、たとえブロックチェーンをつかって記録していたとしても、きっちり追いかけることは難しい、ということになります。

このあたり、もともとの発想として、ブロックチェーンが仮想通貨(暗号資産)の送金データを記録するものだったというのと関係があります。
通貨の場合は、たしかに紙幣には製造番号が付いているかもしれませんが、銀行の預金は金額だけが重要で、その金額を構成する紙幣(通貨)の製造番号は必要ないわけで、だからbitcoinなどの仮想通貨では、金額の移動(送金)のデータだけがブロックチェーンに記録されているわけです。それとNFTとの関係も同じこと。つまり、NFTは製造型番だけで製品番号は基本的にはない、という話です。

現状、NFTは一品モノに限定されている
ということで、デジタルデータは、本来、ネットワーク上でどんどんアクセスされて、流通して、さらに複製されて、拡散していくものなのに、NFTと結びつけられたデジタルデータは、一応、名目上複製禁止としなければならないわけです。つまり、一品モノです。

デジタルデータを制作した人が、入札やオークションの形で、欲しい人一人だけに売り、その取引情報がブロックチェーンに記載され、買った人は、それを密かに見たり、利用したりして楽しむ、というのが基本です。

で、これに合致した形で、NFTがもっとも普及しているのは、実は、SNSのアイコンです。NFTとして買って、それをSNSのアイコンとして使う。一品モノなので、そのNFTを買っていない人は同じアイコンを使うことはできない。だからアイコン市場ではNFT化されたアイコンが売れている、とか。

それと、もう一つは、楽曲のNFTによる配信で、多数の人に同じ楽曲を配信するけれど、配信されるごとに、楽曲にオマケの画像とかを個別に添付して、買う人一人一人に別のNFTを付与が付与されたデジタルデータを配信する、というマコトに面倒な仕組みもあります。同じ楽曲にたくさんのNFTにして一品モノにしてやろうという涙ぐましい努力のようにも感じます。

ということで、NFTは原則一品モノ、あるいは一品モノのように流通させる場合にしか、使えない、ということは、一般的にインターネット上で配信されているようなブログ、SNSの投稿記事、報道各社の記事、小説、エッセイなどなどは、NFT化されることは有り得ない、ということです。つまり、NFTは、最初から非常にニッチなものだったと言う結論になります。

NFTは、不正コピーや不正配布を抑制できない
もう一つの問題は、NFTの仕組み上の話です。NFTは結局、一品モノの取引にしか使えないけれど、その一品モノの取引も、すぐに不正コピーや不正配布の対象になるのです。それは二つの理由によります。
1)正規にNFTとして購入した人が悪いやつだった場合。
2)ブロックチェーンの情報からNFT化されたデジタルデータの実体の場所がバレた場合。

まず、正規にNFTとして購入した人が悪いやつだった場合、NFTとしてデジタルデータを購入して、即座にそのデジタルデータをコピーして、複製して、みんなに配ってしまった、という場合です。仮にNFTがしっかり一品モノであった場合は、購入者も一人しかいないので、そのNFTのデジタルデータがネット上で流通している場合は、たった一人の買った人が悪いので、まあ、なんとかなるでしょう。でも、同じNFTを多数の人が買った場合、悪い奴がだれなのかを特定するのはかなり面倒です。でもまあ、これは買う人のモラルの問題。

でも、2番目のブロックチェーン情報からNFT化されたデジタルデータの実体の置き場所、URLがバレたりすると、これは結構厄介です。

NFTはあくまでもトークンであって、デジタルデータそのものではないので、NFT化されたデジタルデータの実体というものは、ネットワーク上のどこかに置いてあるわけですね。そのネットワーク上の場所、URLがブロックチェーンの内容からバレるのはどうにもなりません。で、バレたら、そこは直にアクセスされて、いくらでもアクセスし放題になりますよね。今度は、だれが悪いやつかは、ほとんど特定不可能。って意味では、ブロックチェーンに記載する情報は、きっちり暗号化しておく必要もありそうです。もちろん、URLは公開でも、買った人だけにパスワードを与えて、パスワードがないとURLにアクセスできない、とかなら、多少は安全ですが、でも、その買った人が悪いやつだったら、そのパスワードを配ってしまったら、1の問題も発生するわけですし。

そして、一旦、NFT化されたデジタルデータが外部(制作者と買った人以外)に漏れたら、その後は、そのデジタルデータ自体が、NFTから引き離されて、そのまま、普通にネットワーク上に拡散します。不正コピーされ放題、不正配布され放題です。

つまり、NFTというのは、実は、ネットワーク上の不正コピーや不正配布などを抑制する仕組みではないし、じゃあなにかというと、NFTを買った人が、たんに、「正規に入手したぞ」ということに自己満足を得るためだけのもの、ということで、SNSのアイコンのような極めて限定的な利用方法しかない、というのが現状です。

で、実際、このココナラでも、note でも、ネットワーク上でデジタルコンテンツを有料配信できたり、マネタイズできたりする仕組みはいろいろあって、それがNFTを利用する必要もなく、普通に運用できている、っていうあたりからして、やっぱりNFTって一部の人だけのものじゃないか、みたいな話になります。

実際、テレビニュースなどでも、NFTの話は取り上げられていますが、どうも、ここで書いているようなNFTの問題点みたいなことには一切触れず、あたかもNFTがネット上の不正コピーや不正配布の問題を解決したかのような扱いをしているのは、ミスリーディングだと思うし、そして、それだけミスリーディングをしているにもかかわらず、たとえば、TwitterとかでNFTに関係してそうなアカウントを調べてみると、フォロワーが1万人以上の人なんて、すごく少ないわけです。私が大好きな邪馬台国とか卑弥呼とか古墳とか日本古代史みたいな人のほうが、フォロワーが1万人以上の人が結構いたりするし。だいたい日本でNFTがらみの人は、せいぜい10万人いるかどうか。

その意味でも、NFTの今後の可能性を考える上で、安全で、かつ不正コピーや不正配布などをちゃんと抑制できるような仕組みがないとだめだろうという話になってくるし、かりに、そういう仕組みがあれば、NFTはもっともっと普及して、現在、インターネット上で無料で流通しているようなデジタルデータ、コンテンツがすべてNFTとして流通するようなWeb3っぽい時代になっていくと思います。

ということで、対策を二つに分けて考えてみます。

安全なNFTの仕組みはあるのか?
まずは、NFT化されたデジタルデータの安全な保管方法のようなことを考えてみます。NFTは、しっかり安全なCMSで管理されている必要があります。つまり、NFTとして購入したユーザだけが、そのデジタルデータをアクセスできるようにする、という必要があります。

実は、これは従来から普通に存在する技術です。たとえば、新聞各社が記事の一部を有料配信していたり、あるいはこのココナラブログでも、有料ブログの配信をしていますけど、その場合、ちゃんとお金を払って買った人(あるいはサブスクで登録している人)が、そのサイトにログインした状態であれば、有料記事にアクセスできるようにする、という方法です。別にブロックチェーンで管理する必要もありません。単純に、サイトにログインしてしているかどうかを確認し、ログインしている人には、テンポラリーなセッションIDなどと呼ばれるIDを付与し、ユーザのIDとセッションIDがマトモであれば、まともなユーザであり、そのユーザが、有料記事をアクセスする権利があるかどうかを調べて、アクセスを許可する形になります。

ただ、新聞社やココナラがやっている方法は、新聞社一社のやココナラのサイト内でのみ有効なユーザIDとセッションIDなわけで、これが越境、つまり、ココナラでログインしている人が、新聞社の有料記事を見る、とかいうのは無理です。NFTで良いのは、あるNFTが同じブロックチェーンと紐づけされていると、そのNFTを買ったNFTマーケットとは違うNFTマーケットで売ることができたりする点です。

つまり、そこは、分散型のプロトコルとして、あるサーバにログインしたら、そのサーバと連携している別のサーバ上のNFT化されたデジタルデータにアクセスするのをきちんと管理する、ということが必要です。
これ、実は結構簡単なようで面倒でしたが、弊社では、NFTプラットフォームである HOTPortでそれを実現しています。HOTPortが稼働している複数のサーバそれぞれで、それぞれのユーザがサーバをまたいで、取引したり、別のサーバ上のデジタルデータを買ったり、買って有料部分にアクセスしたり、ということができるような仕組みを作っています。

で、それができる理由は、取引を管理するブロックチェーン chainmail が、多次元的なもので、ユーザのログイン管理やNFT化されたデジタルデータの管理と直結しているからです。また、NFTとして付与されるIDに工夫がされているからです。そのIDのデータ構造については、本日投稿のブログに書いておきました。
つまり、HOTPortでは、安全なNFTの仕組みは実装されている、といえます。これは、現状のNFTとはもともとの発想が違うところから出て来たから、といえます。っていうか、つい先月まで、HOTPortがNFTだとは気がついていなかったわけで、NFTよりずっと安全だぞ、といってきたのに、先月に突然、「あ、HOTPortって、NFTじゃないか?」
となったわけです。

不正コピーや不正配布を抑制できるNFTの仕組みはあるか?
次にに、不正コピーや不正配布を抑制する仕組みはあるか、という点です。

実は、NFTは、bitcoinなどの仮想通貨(暗号資産)から派生した考え方ですね。その仮想通貨と、NFTとの関係については、こちらのブログでかなり詳しくかいておきました。
で、このブログに、ちょろっと書いた話ですが、NFT化されたデジタルデータ不正コピーや不正配布をさせない方法は、実は無いのです。どんなに鍵をかけても、どんなに対策しても、悪いやつはいるので、かならず悪いことします。だから、不正コピーや不正配布をさせない方法は、無い。でも、無いけれど、抑制する方法はあって、それは、元祖仮想通貨であるbitcoinの場合を考えるとわかります。

bitcoinでは、マイニングというものがあります。これでみんなで競争して、ブロックチェーンに鍵をかけるための特殊な大きな整数を探索する、というものです。これで探索してうまくブロックチェーンに鍵をかけられれば、bitcoinが貰える、という仕組みですね。で、これはbitcoinのブロックチェーンを改竄したり不正に取引したりするよりも、鍵をかけるための整数を探索するほうが、はるかに簡単で、しかも、利益が得られるわけです。

つまり、これと同じ仕組みを、NFTでも、利用すればよいのです。つまり、NFTの取引市場で、まともに取引したほうが、それをNFT化されたデジタルコンテンツを不正コピーして配布したりするよりも、「儲かります」という仕組みがあれば良いわけです。もちろん、不正コピーや不正配布はしたらダメで、禁止事項です。だから、不正コピーや不正配布してバレたら、犯罪行為だし、損害賠償請求くらいされます。でも、不正がバレにくく、かつそれで儲かったら、不正をする人は必ずいます。でも、面倒な方法でバレにくい不正をするよりも、正当な方法で取引したりして、不正をしないほうが、儲かるなら、話は別です。

参加者が儲かるNFT取引市場を創る
株式市場は魅力的ですよね。投資家さん、個人も機関投資家さんも、株を取引しています。なぜ取引するか、というと、キャピタルゲインがあるからです。つまり、安く買った株を、高くなってから売れば儲かるからです。
もともと、株式市場というものは、株式を発行する企業が株式を買った人達、つまり株主に、企業の儲けの一部を配当として渡すことで、成り立っていました。つまり、企業業績が良いと、配当が上るから、その配当を得るために、その企業の株を買う、というわけですが、みんながその企業の株を買いたいときは、株価が上るので、今度は、既に株をもっている人は、買ったときより高い値段で売って、キャピタルゲインを得る、という話です。実際、株式市場では、企業各社が配当を払うと、その分だけ株価が下がったりします。でも、最近では配当の無い企業も増えていますから、その場合、なぜ株価があがるのかは、大変謎な部分があります、、あのかの有名なAppleとか。

まあ、それはおいといて、NFTでのデータ取引も、株式市場のような形で、売ったり買ったりして、儲ける仕組みがあれば、かなり多くの人がNFT取引に参加するようになるでしょう。ところが、デジタルコンテンツには、その買ったり売ったりで儲ける仕組みというのは、全くと言って良い程無い。NFTも、新しいNFTの売り出しのときは、入札などで高値で落札されるようなことがありますが、その後、別のところで、更に高値で売って儲ける、というのは、実は難しいのですね。

一つには、ほとんどのNFTが、実質一品モノだから、所有者はつねに一人だけ。しかも、世の中に一回紹介されたNFTは、その劣化コピーであれ、出回り、最初に落札された価格より値上がりする可能性は非常に小さい。それと、NFTでは、そのNFTのデジタルコンテンツの制作者が、その後の取引に対して、ロイヤリティを求めたりするので、最初に買った人が多少プレミア付きの高値で売れたとしても、その売れた部分の一部がロイヤリティとして支払うので、売って儲けることは難しいわけです。つまり、一品モノのNFTの取引は投資対象にはならない、というわけです。NFTで儲けることができるのは、制作者だけです。それも、高値で落札されるようなコンテンツを制作する人だけが、ごく一部の人だけが儲けることができるのです。これじゃあ、NFTが株式投資ほどに流行ることはないでしょう。

まずは、NFTが一品モノという点をやめましょう。NFT化したデジタルコンテンツは、できるだけ安く、みんなに買ってもらって、一方で、たくさん売ることで、大きな売上が得られ、かつ、買った人も、なんらかの方法で、売ったり、買ったりして、儲けることができる方法、それが求められているわけですね。

では、そこで、まず、株式市場のように、NFT化されたデジタルデータを、たとえば、1万件を一つあたり100円で売る、というのが考えられます。非常に優れたデジタルデータだった場合、1万件はすぐに売れてしまうでしょう。で、1万件売れてしまったら、欲しい人は、100円以上のプレミア価格でも買いたいと思うでしょう。そうすると、買って持っていた人が、110円とか150円で売る、というようなことが起こる。すると、欲しい人は、それを買う。で、値上がりしそうなNFTであれば、値上がり期待で、最初から100件とか1000件とか大量に買って、そして、プレミアがついた途端に、150円で売り抜ける、とかすると、100円で、1000件買っていれば、150円で1000件売ると、5万円の売却益が入りますので、ちょっとしたお金になります。で、こういう場合、1万件売り出しても、みんなが1000件くらい買うなら、市場参加者は最初は10人しかいないわけです。それでも、制作者は10万円の売上になりますから、悪くないです。普通に100円の固定価格で売り出しても、1万件も売れるにはかなり時間がかかりますが、相場がからんで儲かるとなれば、買う人はたくさん買うこともあるので、たくさん売れるわけですね。ここで重要なことは、相場ですね。相場があれば、そこで儲けるチャンスが生まれるということです。

さて、これは上手くいくでしょうか?

6、7年前に、IoTデータを、株式と同じように取引できる市場を創ろうとした企業がありました。オムロンっていうんですけどね。その事業は、結構あちこちで企画を宣伝していたようですが、どうも、それがモノになった様子はないです。まだ、NFTなんてほとんど知られていない時代でしたから、NFTとは無関係なものだったのですが、どうも、株式市場と同じ形式での取引市場というものは、デジタルデータやコンテンツではうまくいかないように思います。

現状、デジタルデータやコンテンツによるマネタイズは、大部分が広告収入によるもので、一部は、新聞社がやっているような有料記事配信で、そういう有料記事配信のほとんどは、サブスク型ですよね。Youtubeは、広告収入とサブスク型の両方です。株式市場型の取引市場、っていうのも、そう簡単ではなさそうです。やっぱり、デジタルコンテンツやデータは、コピーがいくらでもできるので、株式市場のように、発行株式を一定にして、プレミアをつけるような市場にする、っていうのは無理なんですね。

やっぱりダイナミックプライシング?
ということで、弊社が提案するのは、ダイナミックプライシングの導入なんです。

これまた、bitcoinの発想と似たものかもしれません。bitcoinでは、マイニングでbitcoinが貰えますが、その際のブロックチェーンを閉じるための鍵となる整数を見つける問題は、どんどん難しくなっているし、しかも、一回のマイニングで貰えるbitcoinの量もどんどん少くなっているわけです。で、bitcoinの市場価格が初期にくらべて、どんどん上がっているのは、本質的に、bitcoinの価値がどんどん高くなるような仕組みがあるからですね。それと、bitcoin自体の需要が増えれば価値が上る、けどマイニングは難しくなり、ますます需要が高くなり、ということで価値がどんどん上る仕組みになっています。

それをNFT取引市場に応用するとすれば、まさに、ダイナミックプライシングです。あるデジタルデータが発売されたら、その売れた数が増えるほど、価格が上昇するという仕組みです。

通常のダイナミックプライシングは、飛行機のチケットとか、スポーツ観戦チケットなどのように、チケットの販売数に上限がある場合に使われていて、たとえば、飛行機のシートが、例えば、100席分として、20席とか売れた段階では空き(80席残っている)が多いから、安く売る(供給超過状態)、でも、だんだん売れてきて90席まで売れると、空き(10席しかない)が少ないから高くなる(需要超過)という、ミクロ経済学の需要供給をちょっとだけ展開した形で価格設定されているわけです。

で、デジタルコンテンツは基本的に供給量は無制限です。いかに需要があろうが、それにほぼ即応して配信できるわけです。にも拘わらず、ダイナミックプライシングにして、売れれば売れるほど値上がりする、という仕組みを入れるわけです。これは、WEBページの価値は、見る人の数で決まる、みたいな話に基づきます。ページのアクセスカウントとか、PV(ページビュー)とかですね。みんなが見るページはそれだけ価値ある情報を発信しているから、みんなが見る。だったら、見るために、多少お金を取るとしたら、つまり有料配信するとしたら、最初のうち買う人が少ないときは価格を安く、売れた数に応じて、価格を上げていく、という仕組みです。ただ、安い時に買った人が、売りに出したら、その分供給が増えるので、価格が下る、という単純な仕組みになります。また、安い時にたくさんかって、高くなって、全部売り抜ければ、かなり儲かるでしょうが、ただ、安い時にたくさん買っているうちにもどんどん値上がりしまし、高くなってたくさん売りにだしたら、暴落することもあります。だから、投機的に売買する場合にもリスクはしっかりある。で、良いコンテンツなら儲かるかもしれないからたくさん売れるし、みたいな株式市場と同じ相場を形成することができます。で、弊社はこれで特許を出願し、特許第6313532号として登録されました。

ただ、この仕組みをちゃんと実現するとなると、売れた数の確認、売りにだされた数の確認、取引の記録などなど、けっこうちゃんとやらないといけない。そこで、ブロックチェーンのようなものをつかって、取引管理をしっかりやるようにしているうちに、結局NFTのようなことをしていることになったというわけですね。

売れれば売れるほど、値上がりする、というのは、他に面白いことができます。

あるデジタルコンテンツXが売りに出されたとします。そしてその著作物Xがそれなりに売れたところで(つまり価格も上がったところで)Xから派生した二次的なコンテンツYが登場します。たとえば、Xが小説で、Yはその小説の英語訳とかです。すると、Yがバズった場合、Yが売れた分だけ、Xも値上がりする、という価格の連鎖ですね。これも上記特許に書いておきました。

ということで、この特許にもなった価格決定法、ダイナミックプライシングの発展的なもの、実は特許を出願したときには、ダイナミックプライシングの存在も知らなかったんですけど、これを、デジタルコンテンツにおける価格決定法として、普及させようというのが、AWExionで、そのためのサーバサイドしすてむとして開発したのがHOTPortなんです。さて、上手くいきますかどうか。

ココナラにて、出品のサービスについて
さて、長くなりました。これでおしまいにします。
一応、弊社といたしましては、ココナラサービスで、以下の二つを出しております。いずれも、弊社のHOTPortを用いたサービスです。
まず、最初は、HOTPortのソースコードから、お客様が必要としている部分を切り出して、カスタマイズして、お届けするサービスです。ついで、HOTPortを、お客様のサーバ上で構築するサービスです。他にも、いろいろありましたら、是非、を声をかけてください。



サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す