こんにちは。
丁寧な暮らしを志しつつ、その実態はこだわりの強さゆえにレジで挙動不審になる自意識過剰な主婦です。
皆さんは、買い物中に「レジの人に中身をジャッジされている」という、あの得も言われぬプレッシャーを感じたことはありませんか?
わたしは週3回、その戦場に身を投じています。
今日は、近所に自然食品店がない絶望から生まれた、私のスーパー潜入記をお届けします。
聖地なき街のサバイバー
本当なら、わたしは木の温もりあふれる自然食品店で、店主と今年のお米の出来について語り合っているはずでした。
しかし、現実は非情です。
わたしが気軽に行ける距離内に、そんなオシャレな聖地は存在しません。
昔は週一くらいで自然食品店に買い出しに行っていたけれどもう面倒で。。
わたしが通うのは、黄色い看板に親指を立てたクマが躍る、その名も『新鮮激安パラダイス・ラッキー』。
「1円でも安く!」という怒号が聞こえてきそうなこの混沌の地で、私は一人、真実の食材を求めて徘徊しているのです。
伝説のバイヤーKとの「秘密の通信」
この『ラッキー』、一見するとジャンクな特売品の山ですが、実はある「狂気」を秘めた仕入れ担当が潜んでいます。
わたしは彼を、敬意を込めて「バイヤーK」と呼んでいます。
Kは時々、山積みの特売品の棚の真横に、突如として「それ、ここで売れるの?」と二度見するような逸品を投入してくるのです。
それはまさに、わたしに向けられた挑戦状。
わたしはカゴを手に、静かに頷きます。「ええ、受けて立つわよ、K……」。
わたしとKとの、音なき連帯責任によって回収される最近の「ラッキーの四天王」がこちらです。
・北海道産大豆100%使用の納豆
(豆の『意思』を感じる。大豆を食べてる!と感じられる存在感)
・遺伝子組み換え飼料混入率5%以下の牛乳
(この『5%以下』にこだわるバイヤーKの誠実さに痺れる。この牛乳をマサラチャイに仕上げる時間が至福)
・農薬・化学肥料不使用の小松菜
(激安野菜の中で、一人だけ凛としたオーラを放つ孤高の葉物)
・おからを使用した無添加油菓子
(映えとは無縁。だが、圧搾一番搾りの菜種油を使用した、わたしの理性を崩壊させるとんでもない魔の茶色いお菓子)
レジの門番・佐藤さんという名の審判
そして、最終決戦の場。
レジの女王、佐藤さん(推定58歳・勤続20年)です。
週3回、寸分違わぬこの「ガチなラインナップ」を差し出すわたしに対し、彼女の態度は常に一定です。
だがしかし、わたしには聞こえるのです。彼女の心の、あの冷ややかな声が。
「……また来たわね、『5%以下』の女」
佐藤さんの指先が、わたしの「おから菓子」のバーコードを読み取る瞬間、わずかに動きが止まった気がしました。
(心の声:あんた、毎回それ買ってるけど、どうせ家に帰ってから一人で一袋いっぺんにたいらげてるんでしょ? バレてるわよ、その食欲。その袋のズッシリ感、結構な油よ……?)
ギクッ……。
ひどい! ひどいわ、佐藤さん!
「おからだからヘルシー」という免罪符を盾に、袋を開けた瞬間、ボリボリとノンストップで完食してしまっていること、なぜわかったの!?
無添加だからって、一気に700キロカロリーも摂取したら意味ないじゃない。そんなわたしの絶望的な矛盾まで、佐藤さんはスキャンしているというのでしょうか。
こだわりが強いって、少し不自由で、愛おしい
本当は、同じ価値観の人に囲まれて、安心して買い物をしたい。
でも、この『ラッキー』という名のカオスの中で、バイヤーKが仕掛けた「本物」を、佐藤さんの視線を浴びながらレジを通す。
そして帰宅後、丁寧な暮らしのフリをしながら、無添加(だけど驚異の700kcal)なおから菓子をタイビールを飲みながらマッハで平らげる。
これこそが、現代に生きる「自然派主婦」のリアルなサバイバルなんだと最近は思うようになりました(ちなみに昔は油菓子はめったに食べませんでしたね)。
「〇〇円になります。」
お会計を済ませ、クマのキャラクターが描かれた自動ドアを出る時、わたしは少しだけ誇らしい気持ちになります。
「佐藤さん、また明後日。わたしが買わなきゃ、あのおから菓子、棚から消えちゃうもんね(私が全部食べるしね)。」
今日もわたしは、自意識過剰の塊となってレジへと突き進む。
皆さんのカゴの中には、「これだけは譲れない、レジの人にどう思われても買う!」という相棒や、つい「いっぺんに食べてしまう」魔のハイカロリーお菓子はありますか。
孤独なこだわり道を、一緒に笑い飛ばしながら歩んでいきましょう!