分詞構文の訳し方について、『適当に訳せ』と指導される先生がおられます。
確かに分詞構文は、複数の解釈が可能になる場合もあり、小説などではあえて分詞構文を用いることで、読者に想像を膨らませる意図で用いる場合があります。
しかし、英語指導の場面では必ずしも『適当に訳す』と教えるべきだとは思いません。
以下の空欄を埋めて見てください。
『ご飯をたくさん( )ので、お腹が苦しい。』
この空欄が埋められない生徒はかなりいます。文章に触れる機会が少ない生徒の場合、そもそも日本語が出てこないのです。
さて、このような生徒に『分詞構文は適当に訳せ』と指導するとどうなるでしょうか。
講師側が当然出てくるだろうと期待する日本語が出てこないのです。
以前に接続詞の話をしましたね。もしご興味があれば下記をどうぞ。
接続詞の場合は、適切な接続詞を選択できるように、日本語で接続詞について指導します。
今回の分詞構文ではどうするか。
私は分詞構文の訳し方を提示します。
(同時性)
~しながら
(理由)
~なので
(時)
~する時
(連続)
そして~
をまず基本として教えます。生徒の習熟度に応じて、下記も追加します。
(条件)
~すれば
(譲歩)
~だけれども
さらに習熟度が十分な生徒には、状態動詞が来る場合は『理由』『譲歩』の用法、動作動詞がきている場合はそれ以外の用法になるということも伝えます。
これを『いらないいらない。分詞構文は適当に訳す!これで十分だから!』とおっしゃる先生の気持ちはわかります。
ただ、先ほど書いたように、適当に訳そうとしても日本語が出てこない生徒はたくさんいます。
そして、仮に日本語が出てくる生徒であったとしても、いったんは訳し方を教えるべきだと思います。
暗記しろとまではいいませんが、こんな用法があるんだといったん頭に入れておくことで、適当に訳す時にも適切な訳が出てくるのではないでしょうか。
譲歩や条件の用法はそんなに頻繁には出てきません。いつも適当に訳して『~しながら』『~なので』と出てくるのに、いざ『条件』の用法に直面した時に、何も教わってなかったら出てこない場合もあります。
『そういえば条件用法があった気がするな』という記憶があるからこそ、適当に訳せる場合もあると思うのです。
予備校講師の先生の指導法は『既習者向け』なのです。
学校の授業でいったん分詞構文の訳し方を教わっている前提があることにより『いらないいらない。適当に訳すんだ』が生きてくるのです。
そう教わった後も、問題集などで分詞構文に触れるたびに『これは条件用法である』といった解説を無意識に読むのです。
こうやって、前提知識と予備校の先生から教わったことが、一見矛盾するようで実は相補って、生徒の英語力となっていくわけです。
ついでに申し上げます。
『分詞構文は適当に訳せ』はより正確にいうと、『分詞構文は同時性が根底にあり、その上で理由や条件などの意味が加わる』です。
かなり上級クラスを担当する先生の中には
分詞構文は『~と同時に』と訳したら意味はわかると指導される先生もいます。
これは抽象度が高く、かなりの国語力を必要とする指導法であり、生徒を選ぶでしょう。
学校の授業が実際にはベースとなっていることもあるので、安易な学校批判は考えものですね。