退却する勇気

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コラム
「銀は引く手に好手あり」将棋の言葉です。銀という駒は、攻めにも守りにも使えるとても便利な駒です。銀は斜め後ろに下がることができるのですが、前に進むばかりでなく、この斜め後ろに下がる(引くと言います)手に、時として良い手があると言う意味です。
 人生も似たようなところがあって、常に前に進むことは非常に積極的で素晴しいことです。でも長い人生の中には、根性とか努力とかがんばるとかではどうしようもないこともあります。
頭の上から、100トンの鉄の塊が落ちてきたら、逃げるしかないのです。どうしても、どうしてもだめだと思ったら逃げてもいいのです。一旦退却して、息を整え、元気を取り戻してから、また前に進めばいいのです。
 徳川家康も本能寺の変のときに、命かながら逃げ抜いて、後に天下をとりました。自ら下がるとか引くというのは、前に進む以上に勇気のいる場合があります。一歩引くことにより周りがよく見えることがあります。視界が広がるからです。
 がんばれるうちはがんばればいいのですが、本当に絶体絶命と思ったとき、本当にもうだめだと思ったら、逃げればいいのです。そういう気持ちを心のどこかに持っていれば、少し余裕が持てます。
 何が何でも逃げろと言っているのではありません。本当に、本当にどうしようもなくなった人へのメッセージです。大抵の人はそこまでいっていません。ほとんどの人はむしろ逃げてはいけないところで逃げています。
逃げてはいけません。でも逃げなくてはいけないときもあります。
「王の早逃げ八手の得」どうしようもなくなってから逃げるよりも、少し早めに逃げたほうが、8手も得をするという意味です。

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